2006_1108世界一周part10227

人種のるつぼ(世界一周の旅~シンガポール③)

人種のるつぼなのはアメリカだけではない。シンガポールも立派な多民族国家だ。それは、駅で見た以下の看板からも明らかであった。

よく駅にある注意版だが、英語、中国語、マレー語、ヒンディー語の4か国語で書かれている。シンガポールに来る前、そもそも「シンガポール人」ってなんなんだろうと思っていたが、中華系、インド系等の民族的に圧倒的なマジョリティがいるわけではないんだなということがわかった。一つ不思議なのが、シンガポールの支配者層が昨年死去したリークアンユーを始めとしてほとんどが華人ということだ。華人がマジョリティではないマレーシアとインドネシアに囲まれたシンガポールで、何故華人が支配者層になっているかというと、イギリス植民地時代に大量の中国人移民が流入したからだそうだ。

シンガポールには、チャイナタウン以外にも、アラブストリート、リトルインディアと呼ばれる地域があり、その地域に行くと家の町並みはどれも似通っているものの、歩いている人の民族・服装が全く違っていたり、売られているものもその民族に合わせたものになっていた。何より、モスクや寺院がその地域の民族性を物語っていた。

アラブストリート

チャイナタウン

ヒンドゥー教寺院?

シンガポールでは何故人種差別が顕著ではないのだろうか。勿論差別そのものはあるだろう。ただそれが致命的な社会不安を招いているとは思えない。一つは、英語を主要な公用語とすることで多様性を維持しようとしているからだろう。どれか一つの言語が英語より先に来ても、それは反発を受けてしまうだろう。また、国自体が(最近は成長に陰りが見えるものの)高い成長率で成長し続けているからということもあるだろう。そのおかげであらゆる職種の職業が恩恵を受けている。

ただ、シンガポールが成長が止まってしまったときは一体何が起こるのだろうとも思う。カシオさん曰く、シンガポールは北朝鮮とも仲良しな独裁国家だが、経済がうまくいっており外交もそつなくこなしているから他国からもあまり反発を受けないそうだ。ただ、成長という条件がなくなったとき、英語だけが「シンガポール人」という連帯を繋ぎ止めるものとなったとき、この国がどうなるかには一抹の不安を覚える。

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