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最近の性暴力に関する各種言説について

はじめに一つ断りを入れておきます。この記事は6月末ごろに執筆していたものでしたがなかなか筆が進まず、もはや「最近」ですらなくなってしまっていますが、記事中で言及している本多氏も、とうとう立憲民主党を追われたということもあり、いつまでも放置しておくわけにはいかないし、またどこかではこのことをはっきり主張しておく必要があるとも思いますので、そのまま公開することにします。

本多平直氏の発言は2~3周ほど遅れている

 少し前の話になるので恐縮ですが、立憲民主党の刑法改正案の党内論議で、本多平直氏が「50歳近くの自分が14歳と性交しただけで捕まるというのか」と発言し、議論を硬直させたほか、フェミニスト論客・ジェンダー保守派問わず激しい非難が起こるということがありました。

実際のところ、このような言説は刑罰法の論議としてはかなり周回遅れでした。成人と未成年の性的関係は他法規で罰することも可能であり、「いかなる理由をもってしても成年が実在の未成年と性的関係に及んではいけない」という規範自体は、今更覆しようがありません。ちなみに、彼女らがあえて刑法への記載を求めるのは、その罰が(彼女らの目線で)正しく運用されているか怪しいという一点にあります。

そしてこれはあまり語られていないことですが、同性同士の性的関係でも、成年女性と未成年男子の関係でも、同じように罰すべきという主張は、マスキュリズム側からもなされていたことでした。

もし50歳のおばさんが(まあそうでなくても成人済みだったら同じでしょうが)男子中学生の私と恋愛関係になったとしても、ある日ホテルに連れ込まれ「子供作りたくない?」「エッチなことしましょう」「ここにオチンチンを入れるのよ」などと言われたら、さすがに恐怖を感じますよ!というか初めてこの手のエロ漫画読んだとき恐怖しか感じませんでしたよ!もはやこれは定番のセリフになっていますし、それを喜んでいる男性読者は多いですが、あれは本当に漫画だから許されるものです。女が性暴力を受けている漫画を喜んで読む女性がいるように。

性暴力被害を訴えることは断じて「自慢」ではない

6月24日のクローズアップ現代で「男性への性暴力」が特集されましたが、とんでもないレビューがあったという話が飛び込んできました。それもよりによって赤木智弘氏によるものだそうです。彼は「社会進出して地位を得た女は専業主夫を養うべきだ」という論をかなり古くから(といっても十数年前のことですが)展開していた人で、貴重な「ジェンダー保守派でない反フェミニスト」の一人でしたが、この一件ですべての男性性暴力被害者を敵に回したと感じます。

実際この手の無理解は男性の間でも多いです。特に中高生では「たとえ逆レイプであっても童貞を捨てれた奴は神」みたいな考え方があって、私もそれによってかなり羨ましがられましたが、逆に「ああ、やはり男は男である(もしくは女でない)という理由だけで被害者になれないんだな…」と感じさせる要因にもなりました。

ロリコンにもロリコンになった経緯があるはず

ともあれ、本多氏の一件とフェミニストらからの猛烈な抗議によって、少年少女しか愛せなくなった人々(本当に性関係を持つことを望まないとしても)は大きな窮地に立たされたと思います。

かなり過激な言説かもしれませんが、あるフェミニストによれば、ロリコンの男は例外なく、たとえ架空のもの(二次元を指していると思われる)にしか性欲を向けられないとしても、少女を単なるオナホールとしてしか見れないし、思えないし、また扱えないといわれます。

しかし私は「ロリコンはそれだけではないはずだ」と思っています。ロリコンを敵視するフェミニストに少女の時に性暴力を受けていた例が多いように、ロリコンたち自身にも、自分が受けた性暴力を含めた、「異常な経験・体験」があるからこそ、そうなってしまった例が多いのではないでしょうか。願わくば、その経験・体験を持つ人たちに、もっと主張してほしいと思います。

その意味においても、「自慢」なんかではないのです。

私も時折女子中学生がヒロインのエロ漫画を「おかず」にすることはあります。しかしそれは「実際の女子中学生とセックスしたい欲求」をこれに向けているからではありません。私はその女子中学生から(現在の基準での)性暴力を受けた、またそのことを周囲に全く理解されなかった身であり、どこにもないその意義を求めるため、自分の壊れた青春を追体験するためにそうしている側面があります。

実は一年ほど前、ひとえ氏という方が少年少女型ラブドール規制論に関連して同様のことを主張しています。

さて、我々が規制と擁護の間で議論する際、どちらの立場であれ、当事者の意見が無ければ論として不十分であることを本文にて提示した。
しかしながら、現在のTwitter上において当事者の声を聞くことは困難な状況である。人口の5%、約200万人いる小児性愛者は沈黙を保っている。彼らは何を考えていのか、この沈黙が「自身が社会では決して受けられない欲求」を抱えているという自認を雄弁に物語ってはいないだろうか。
この小児性愛の問題に限らず、我々が悪辣と感じ反社会的な振る舞いを見せる人間は往々にしてある。
しかし、当事者の意見を不在に論を積み立てることは彼らの苦しみを透明化し、また誤った判断を下すことになる。
小児性愛が問題である、と考えるのであれば当事者の声を拾い上げる土壌を作ること、それは彼らを怪物ではなく一人の人間として敬意を払うことが必要である、ということを本文の結びとしたい。

余談ですが、エロ漫画の文化は、ロリコン向けだけを取っても、非常に表現の幅が広いです。中には女性作家が自分の受けた性被害を生々しく描いたもの現行法でも同意年齢に達していないような少女があえて成人男性を誘惑してセックスさせるものなんかもあるくらいです。

まあそう考えると、性的同意年齢が引き上げられてもエロ業界は意外に平常運転なんだろうなとも思います。しかしそれがいつまでも続くという保証は、全くありません。だからこそ、声を上げることが重要になってきているとも思います。

おまけ:鳳明日香さんet al.のツイートから