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海外移住を考えたら知っておきたい5つのこと

日本は"治安や医療、仕事の機会"などの面から、国際的には住みやすい国と評価を受けており、移住したい国ランキングでも、カナダに次いで堂々の2位です。

しかし最近では、政治不信や気候変動、人口密度の高さに嫌気がさして、海外移住を検討されている方が増加傾向にあるようです。

今回は、「海外移住ってどうすればできるの?」という方に向けて、

まず知っておきたい5つのことについてお話したいと思います。


⑴【昨今の海外移住事情】

外務省の海外在留邦人数調査統計によると、2019年10月1日の推計で、海外に住む日本人は約141万人(長期滞在者は約89万人、永住者は約52万人)で、統計を開始した1968年以降最多となりました。

地域別では、北米が37%、アジア29%、西欧16%の順になっており、国別では、1位アメリカ、2位中国、3位オーストラリア、4位タイ、5位カナダとなっています。

アメリカは、温暖で過ごしやすい気候と美しい海が魅力的な、ハワイやロサンゼルスが人気ですが、アメリカの生活費ランキングで上位に入るほど生活費が高く、また、医療費も高いので民間の健康保険に入らざるを得ず(毎月300ドル程度必要)、移住するには多額の資金が必要です。


中国は、古来から日本との交流があった国で、文化的にも共通点が多く、日本人にとっては住みやすい国の一つです。日系企業の数が多く、現地採用などで仕事を見つけやすいというのも、移住しやすさのポイントとなっているようです。

オーストラリアは、広大な大地に広がる美しい自然や、年間を通じて温暖な気候から、近年、世界中から移住する人が増え続けています。移住者に人気の都市は、西オーストラリア州のパースで、世界でもっとも住みやすい町にも選ばれた大変美しい都市です。しかし、近年は人件費の高騰から、物価が日本よりかなり高くなっているようです。

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タイは、1年中温暖な熱帯雨林気候で、生活しやすい国として人気があります。一時期はタクシン政権と軍の衝突で、非常事態宣言も敷かれるほど情勢が不安定な状態でしたが、現在は軍の影響力はあるものの、民政になっているため表面上は安定しており、治安もそれほど悪くないようです。近年、タイの物価は上昇していますが、総合的には日本に比べると安いといえます。しかし、プーケット島など日本人観光客に人気のリゾート地では、観光地向けのホテルやレストランが多いため、お店によっては日本と変わらない価格設定をしている場合もあります。


カナダは、「世界の移住したい国ランキング」で堂々の1位です。理由は、カナダが移民大国であるのに失業率が低いことや、景色が美しくて地元の人々がフレンドリーであることなどが挙げられます。1番人気は、緑豊かな大自然を残しながらも、都会の魅力を併せ持った美しい都市バンクーバーで、世界でも住みやすい都市の1つとして知られています。


ちなみに、日本の一般財団法人ロングステイ財団が発表する「ロングステイ希望国・地域」のランキングでは、2006年以来ずっとマレーシアが1位という調査結果があります。日本人に人気の秘密は、物価の安さや過ごしやすい温暖な気候、日本人にも受け入れやすい現地の食事、比較的良好な治安、親日感情にあると言われています。アーティストのガクト(GACKT)さんが移住している国としても有名です。魅力的な町に一目惚れしたそうです。


⑵【費用及び生活費】

海外移住にかかる費用は大まかに、渡航費用と引っ越し費用、ビザ取得費用に分けられます。

渡航費用は現地までの移動にかかる費用です。事前に下見をする場合はそのための航空券代やホテル代もかかります。

生活費は、移住先や生活レベルによって大きく変わりますが、例えば最近人気のタイでは、一人暮らしだと80,000円~149,000円/月が目安となります。

家賃:(1LDK)35,000円~87,000円

水道光熱費:8,000円~12,000円

食費:30,000円~40,000円

携帯料金:2,000円~3,000円

交通費:5,000円~7,000円


海外移住における住居ですが、多くの国では、外国人が土地を取得することを禁じています。しかし、マンションやコンドミニアム等の不動産は取得することができますので、賃貸で借りるか、買うということになるでしょう。

ただし、物価の安い国であっても、日本人に人気があるエリアのコンドミニアムは、日本の賃貸住宅と賃料が変わらないことがあります。

また、一軒家に住みたいという人は、一軒家を借りるか、または土地だけ借りて建物だけ自分で建てるという方法があります。

海外は日本とはまったく違う環境にありますので、住むところの環境をよく調べてから、購入または賃貸するということは必須です。

例えば、東南アジアの物件を探す場合、日当たりのいい部屋は暑すぎて人気がなく、北向きの部屋に人気があるとか、台風大国である東南アジアでは、日本では考えられないほどの台風が直撃しますので、その対策も必要です。


また、引っ越しに際しても、日本からの荷物は1か月以上かかるということもよくある話なので、入念な準備が必要です。

いずれにせよ移住先は、候補の国や街へ視察という形で、しばらく滞在して現地の情報を集めてから、判断するのが良さそうです。


⑶【ビザ・永住権取得】

移住目的で海外に滞在する場合は、ビザや永住権の取得が必要です。

ビザとは入国許可証としての役割を果たすもので、査証ともいわれ、国家が自国民以外に対して、パスポートが有効であり入国しても差し支えがないことを証明する書類です。

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 現地国籍の配偶者がいる場合を除いて、通常は就労ビザやリタイアメントビザを取得することになるでしょう。

ビザの申請は、渡航先の大使館や領事館の領事部で行います。

申請書類は申請書、パスポート、パスポート用写真1枚、手数料が基本となりますが、国によっては申請書をインターネットでダウンロードすることができます。

なお、国やビザの種類によっては、警察証明書や財政証明書などの追加書類が求められる場合があります。


「就労ビザ」は、日本国籍のパスポート保持者が、海外での就労を目的に渡航する場合に取得します。

ただ、仕事を得ながら海外移住したい場合には、日本で仕事を探してからでないと、現地での就労ビザが取れないケースがほとんどです。

日本人の労働許可が最も簡単に取得できる代表格が「寿司職人」です。

今やどこの国に出かけても、お寿司屋があるほど世界中で人気の料理店となっています。

寿司職人養成学校では、東京すしアカデミーが有名で、2002年開講以降、卒業生は4300名を超え、世界各地で寿司職人として活躍しているそうです。

就労ビザの取得条件や取得方法については、渡航先の国の大使館や領事館で確認しましょう。


「リタイアメントビザ」は、年金受給者などの退職者を対象にした「長期滞在査証」の通称で、「制度化」されている国では、手続きも通常の査証申請手続きに比べ簡素化が図られ、取得しやすいように配慮されています。

発給条件は国によって異なりますが、現地預金や資産証明が必要な制度の中で、最も安いのがタイの80万バーツ(約270万円)、人気のオーストラリアは、シドニーなど大都市は75万豪ドル(約6100万円)以上の資産提示および債権投資に加え、6万5000豪ドル(約530万円)以上の年間所得証明が必要になります。

リタイアメントビザの最大のメリットは「長期滞在」できることで、ビザの更新・居住許可の更新を繰り返すことで継続して滞在することができます。

反対に最大のデメリットは、一部の国を除き、就労が認められていないことです。

ですので、滞在の生活費をどのように工面するかが、最大のテーマとなります。


「永住権」とは外国人が、在留期間を制限されることなく滞在国に永住できる権利のことです。

日本に住む外国人は、日本に滞在している目的に応じたビザ(在留資格)を持っていますが、在留資格には「滞在期間の制限」や「活動の制限」があります。

 しかし、「滞在期間」や「活動」の制限を受けないものがあります。 それが「永住権」という在留資格です。

永住権を取得するためには、各国それぞれの条件を満たす必要があります。

例えば、外国人が日本の永住権を取得するためには、「素行が善良であること」、「独立した生計を営むことができる資産または技能を有していること」、「その者の永住が日本国の利益になると認められること」の条件を満たす必要があります。

ちなみに、世界で永住権取得が難しい国TOP5は、ドイツ、オーストリア、アメリカ、スイス、日本と言われています。


⑷【健康保険】

国民健康保険は、海外移住すると加入し続けることはできないので、海外で医療にかかれば、医療費が全額負担になります。

さらに、国によりますが、費用負担の割合が増えるだけでなく、医療費そのものが、日本に在住している時より、高くなることが多いです。

また、民間保険で病気やケガに備える場合も、海外医療保険料が割高になるため、支出が増えてしまいます。

ですので、海外移住している高齢者の中には、日本の住民票を抜かず、医療措置が必要な際は、その都度帰国する方もいます。

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住民票を抜かない場合は、健康保険料を支払う必要がありますが、海外の医療にかかる場合に比べて、割安になる場合が多いようです。

ビザを取得できれば、移住先の健康保険に入れることもありますが、条件もあるので、滞在予定国の保険について事前に調べておきましょう。

移住先を決めるポイントとしましては、治安や物価、気候などの住みやすさはもちろんのこと、医療や保険制度、衛生環境も考慮する必要があるようです。

医療については外務省が提供する「世界の医療事情」を参考にしてください。



⑸【年金】

20歳以上65歳未満の海外に居住する日本人(第2号,第3号被保険者を除く)は国民年金に任意加入することができます。

海外在住時に任意加入したうえで保険料を納めれば、死亡したときや病気やけがで障害が残ったときに、遺族基礎年金や障害基礎年金が支給されます。

任意加入の手続や保険料納付方法などは、最後に住所を置いていた地域を管轄する市区町村役場か社会保険事務所にお問い合せ下さい。


海外に住んでいる方も、海外にいながら年金を受給するための手続(裁定請求)を行ったり、すでに受けている年金を受け続けたりすることができます。

手続先は原則として、国民年金のみに加入していた方の年金については、日本における最終住所地の市区町村役場、厚生年金に加入していた方の年金については、年金事務所、共済年金に加入していた方の年金については、各共済組合となります。


海外において就労する方は、原則としてその国の年金制度等に加入することになりますが、日本との社会保障協定が締結されている国(ドイツ,英国,韓国,アメリカ,ベルギー,フランス,カナダ,オーストラリア,オランダ,チェコ,スペイン,アイルランド,ブラジル,スイス,ハンガリー,インド,ルクセンブルク,フィリピン)においては、日本からの派遣による一時的な就労(原則5年)の場合、日本の年金制度のみに加入することになり、その国の年金制度等への加入が免除されます。


また、保険期間の通算に関する規定を持つ協定が締結されている国(ドイツ,アメリカ,ベルギー,フランス,カナダ,オーストラリア,オランダ,チェコ,スペイン,アイルランド,ブラジル,スイス,ハンガリー,インド,ルクセンブルク,フィリピン)の場合には、年金を受けるために必要とされる年金加入期間は、日本と相手国との年金加入期間を相互に通算したものとなります。



最後に

将来的には海外移住をしたいな〜、とぼんやり考えていましたが、いろいろ調べてみると、簡単ではないことがよく分かりました。

本気で海外移住を考えるならば、事前準備(特に資金面)に、最低5〜10年は必要だと思います。

世界で通用する技能があれば、就労ビザを取って、働きながら海外で生活することも可能でしょうが、あいにく私にはそのような技能がないので、今から知恵を絞って考えていきたいと思います。








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