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Keio FC代表が選ぶ、最旬中国発デザイナーズブランド5選(YUI NAGASE)

「今、アジア発のファッションブランドが熱い!」というのは、服好きであれば耳にしたことがあるのではないだろうか。今まで中国や韓国のファッションといえばファストファッションや所謂コピー品を思い浮かべる人が少なくなかったが、最近になってオリジナリティ溢れるアジア発ブランドが世界で注目を集めるようになっている。

今回は実力派が揃う中国人デザイナーにフォーカスし、私の完全な独断と偏見によるオススメブランドを5つ紹介する。どれもFARFETCHやSSENSEで毎シーズンチェックしているし、実際に購入したこともあるくらい私が注目しているブランドだ。国内で取り扱っているセレクトショップは少ないが、基本的にオンラインストアで手に入れることができるので、気になる方は是非チェックしてみてほしい。

1. SUSAN FANG(スーザン ファン) 

designer:Susan Fang(スーザン ファン)

SUSAN FANG 2023 resort backstage

「SUSAN FANG」は2015年にセントラル・セント・マーチンズ美術大学を卒業したSusan FangがCELINE(セリーヌ)やStella McCartney(ステラ マッカートニー)での修行を積み、2017年に立ち上げたブランド。2019年にはLVMH PRIZEのセミファイナリストに、2020年には雑誌『Forbes(フォーブス)』の「30 Under 30 ASIA」に選出された。

SUSAN FANG 2021aw

彼女のインスピレーション源は、美の知覚に関する概念と、自然界のフラクタル構造が持つ本能的な魅力。幾つもの生地を重ねて織ることによってユニークなシルエットと優れた伸縮性を可能にする「エアウィーヴ」という技術を得意としている。

ファンシーな色使いや独創的なパターン、そして革新的なテキスタイルが巧みに重なり合うことで、多幸感に満ちた幻想的なスタイルが生み出されている。また、デザインと生産における持続可能な手法の開発を重視しており、手工業に見ることができる職人的な彼女のものづくりに注目が集まっている。

2. SHUSHU/TONG(シュシュ トン) 

designer: Liushu Lei(ユートン・ジャン)・Yutong Jiang(リュウシュ・レイ)

SHUSHU/TONG 2022ss

Liushu LeiとYutong Jiangの男女デザイナーデュオによる「SHUSHU/TONG」。Simone Rocha(シモーネ ロシャ)で経験を積んだ彼らは、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションの修士課程在籍中であった2015年にブランドを設立した。

SHUSHU/TONG 2019aw

「少女の心を持ち続ける洗練された現代女性」というブランドコンセプトの通り、リボンやチュールといったガーリーなスタイルの中には、相反するダークな世界観と力強い女性像を見ることができる。

特に印象的だったのが東京で発表した19awのコレクション。フリルやフラワーモチーフによって一見可愛らしいルックにも思えるが、パールのアクセサリーに付いているのは紛れもない血。“愛してるって言わなきゃ殺す”というテーマからも分かるように、SHUSHU/TONGは難解な女心を巧みに表現する唯一無二のブランドである。

3. ANNAKIKI(アンナキキ) 

designer:Anna Yang(アンナ ヤン)

ANNAKIKI 2022aw

「ANNAKIKI」は中国人デザイナーのAnna Yangによって立ち上げられ、現在はミラノと中国を拠点に活動。2017年にはミラノ・ファッションウィークの公式カレンダーに参加した数少ない中国ブランドの一つであり、またAIを活用したコレクションを始めて発表したブランドでもある。

ANNAKIKI 2022ss

ANNAKIKIの最大の魅力は何といってもその大胆で未来的なデザイン。モノトーンをベースにメタリックなアクセントを加えた斬新なスタイルは、シュルレアリスム的な別世界の美しさを感じさせる。現在と未来という二つのアンビバレントな感情を持つ自分自身、そして時間・空間・精神というそれぞれの領域における衝突や矛盾がデザインの原動力となるのだ、と彼女は述べる。

4. YUHAN WANG(ユハン ワン)

designer: yuhan wang(ユハン ワン)

YUHAN WANG 2020ss backstage

ロンドンに拠点を置く「YUHAN WANG」は2018年にYuhan Wangによって設立。彼女はセントラル・セント・マーチンズ美術大学を卒業、その後MARNI(マルニ)やJW ANDERSON(JWアンダーソン)で経験を重ね、19ssシーズンにロンドン・ファッションウィークに初参加。そして僅か2年後の2020年にはLVMH PRIZEのセミファイナリストとなった。

YUHAN WANG 2021ss

「可愛らしさは人を惹きつけ、その心を動かし、そして柔らかさは女性に力を与える」というデザイナーの哲学によって表現されるのは、女性の強さと控えめな美しさ。どこか郷愁的な雰囲気を感じさせるYuhan Wangのスタイルは、中国の伝統的な女性らしさと西洋文化をミックスすることで生み出されたものだ。そしてパステルカラーの鮮やかな色彩や繊細な装飾、そして巧みで美しいドレープによって、より詩的でロマンチックなものとなり、私たちの心を掴んで離さないのである。

5. YUEQI QI(ユェチ チ)

designer:Yueqi Qi(ユェチ チ)

YUEQI QI 2021aw

「YUEQI QI」は2019年にYueqi Qiによって立ち上げられたブランド。彼女は2018年にセントラル・セント・マーチンズ美術大学のニットウェア専攻を卒業した。CHANEL(シャネル)の刺繍部門を担当した他、Dior(ディオール)やBALENCIAGA(バレンシアガ)でテキスタイルデザイナーとして活躍。2021年にGUCCI(グッチ)が始動したオンラインのコンセプトストア「Vault」で新鋭デザイナーとしてコラボレーションを果たす。そして自身のブランドを設立してから3年後の2022年には、LVMH PRIZEのセミファイナリストにも選出されている。

YUEQI QI 2022aw

YUEQI QIの特徴は、精巧なビーズ刺繍が施されたウェアや、翡翠・玉を用いたアクセサリー。彼女は中国の伝統的な職人技術を継承すると同時に、革新的な素材の探求と実験によって、過去・現在・未来を融合させた斬新かつ魅力的なスタイルを提案し続けている。

以上が、私がお勧めしたい中国発デザイナーズブランド5選である。どのブランドも、ただビジュアル的に可愛いだけではなく、中国の伝統的な文化や職人技術を守り、未来へ繋げていくという姿勢にロマンを感じる。また中国や韓国のデザイナーは日本文化に対する関心も強く、親近感を抱きやすいのも魅力の一つだろう。今後、より一層世界で活躍するに違いないアジア人デザイナーから目が離せない。

2022.11.05
YUI NAGASE(CHIEF)


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