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アメリカ①アメリカ行きの飛行機で「使ってはいけない禁句」とは?

(1)親しみのある国アメリカ

日本人から見て最も身近な外国アメリカ。今でこそグローバル化が進み、多様性が認識され始めているとは感じるが、日本人にとって金髪碧眼の人を見ると”アメリカ人だ”と思ってしまう現象は長く続いた。これがペリーが開国を迫った時からなのか、または第二次世界大戦後に駐日米軍が増えてからなのかは分からないが、とにかく日本という国はアメリカの影響を大きく受けている。(イギリス編①参照)

アメリカという国はとにかく広い。私の初めてのアメリカの経験はハワイであったが、ここは果たしてアメリカと呼べるのだろうか。本土ということであればそれはエバー航空の時にさかのぼる。

(2)エバー航空時代

エバー航空はそれまで日本人客室乗務員は全員成田近郊に住むことになっていた。だがエバー航空が台湾ーロサンゼルス便を就航させることになり、それまで西海岸に就航がなかった関空を経緯することで日本人の取り込みを図った。そこで大阪ベースとして採用されたのが私たち2008年入社の同期だった。

アメリカという国はとても特殊だ。日本人のパスポートは世界で一番入国するのにビザが不要な国、として知られている。だがアメリカは日本人でさえESTAという事前認証サービスを経ていなければならない。そしてなんと日本人であっても、客室乗務員としてアメリカに飛ぼうと思うとアメリカビザを取得しなければならないのだ。

このビザは日本国籍であればほぼ却下されることはない。それどころか多くの国籍では3年間という有効期限の中、日本人は10年間の有効期間だったこともあると聞いている。一方で現在最も弱いパスポートの一つである”シリア人”の同僚は、「もらえないか、もらえても最長3か月」だそうだ。客室乗務員で世界中の同僚たちと働いていると、”日本人としての国際社会からの信頼”をひしひしと感じたものだ。とても誇らしい。

(3)私がやらかした失敗

さて、そんな私の本土デビューはエバー航空の客室乗務員としてLAに飛んだ時だった。エバー航空は台湾ー日本間の比較的短い路線をメインに飛んでいたこともあり、10時間を超えるフライトは新人には大変だった。だがこのフライトが良かった理由の一つは「大阪ーLA線には3人の日本人乗務員を乗務させる」という会社の意向があったことだ。大阪拠点の日本人CAはほぼ私たち同期しかいない。そして現地では2日または3日の滞在がある。必然的に同期とずっと一緒にいることになるので、毎回旅行気分だった。

ただアメリカ線、そんなに簡単なものではない。エミレーツ航空(客層はほぼすべてが”インド系アメリカ人”)よりもずっとず~っとましなエバー航空のアメリカ線のはず、なのだが、もうアメリカという国は本当にややこしいのだ。順を追って説明したい。

まず入国審査が煩雑だ。上にも書いたように、日本人でも一定のプロセスを経なければならないアメリカ。チェックインの時にグランドスタッフも対応してくれているので入国条件に問題はないのだが、困るのは機上で配る入国書類。これは当時は3種類あり、1つ目はアメリカ人・日本人や台湾人でも永住ビザのある人。2つ目は日本人でESTAで入国する人(ビザなし)。そして3つ目は主に台湾人が持っているビザ取得者用の書類だった。

これを毎回300人に「どの書類を書かなければならないのか」話を聞いたうえで時間内に配る、英語と日本語と中国語で。もう頭の中は大混乱だ。間違えた書類を渡してはいけない、お客様の入国に問題が面倒になってしまうから。

だが新人だった私。違う書類を渡してはいけないことばかりに気を取られ、アメリカ人は家族の筆頭者が一枚だけ書けばいいということをずっと知らなった。ある日でかいアフリカ系アメリカ人のおばちゃんに何度か「4枚も書かなきゃならないの?」と聞かれつつ、「子供の分も含めて4枚書いてください!」と渡したのだが、結局間違いだったのだ。未だに台湾人の先輩にこっぴどく叱られたのを覚えている。(おばちゃんは4枚をひらひらさせて怒っていたらしい)すみませんでした。

そして入国するのに長い列。私たちクルーは別のレーンがあるのだが、それでもアメリカは面倒くさい。お客様になると入国で1時間かかるなんてザラだ。ランダムに荷物を開けられる確率もとても高くて、もうアメリカに入国するだけで一仕事終えた気になってしまう。

(4)不思議の国アメリカ

アメリカという国の法律はとても不思議だ。明るくて同情的で、親しみのあるアメリカ人は多く、彼らのことは好きなのだが、どうも人権や権利、自由を尊重しすぎたせいでその解釈をおかしく法律にしてしまっていることが多い。

アメリカ行きの機内で、絶対に使ってはいけないと訓練で学ぶ言葉があった。それは

「Do you need a wheelchair?車いすが必要ですか」「handicapped」「disabled」などの言葉だ。

そう、日本で「障害者」ではなく「障がい者」と書くようになっているようなものだ。だがアメリカではこのような言葉を使うときは日本とは比べ物にならないくらいとても敏感になる。訴訟になりかねないからだ。"政治的に正しい(=politically correct)"かどうかで判断されるのだ。言い回し一つが「訴訟になりうるほどのセンシティブさを孕んだ問題」ということを理解させるためにわざわざCAに授業が行われるのだ。

(5)じゃあどう言えばいいの?

私の会社で第一声で必ず使え!と言われていたのは

「How may I best assist you?」(=どのようにすれば私が最もお役に立てますか)だった。

障がいのある方がいると手を貸さなければならないーこういった一方的な考えもアメリカでは問題になる。助けが必要でない方もいるからだ。障害のある人=困った人、というようなレッテルを貼ることが大問題なのである。

だから車いすをさっさと持ってきてはいけない。お客様に聞いてお願いされてから初めて、車いすを持ってくるのだ。

同じような理由で、機内に搭乗したり、飛行機を降りる順番も決めてはいけない。お客が自由に決める。どんなに周りに迷惑をかけようが、周りは受け入れなければならない。

本当に不思議な国だ。色んな問題意識が顕在化すると権利を主張する人が現れ、法律にしてしまう。そしてすぐに訴える。もちろん思いやりは最重要だが、そこまで権利を主張して認めてもらう必要はあるのだろうか?

ここ数日テレビをにぎわしているメーガン元妃を見ていると、不思議の国アメリカの権利を主張する姿をつい思い出してしまうのだった。

②に続く

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