イタリア
「貨物船を抜けるとそこは晴天の霹靂だった」
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クロアチアのドブロヴニクからイタリアへはどう行くのが良いだろうか。
旅の予算を考えると、ホテル代も浮くことから夜行船に乗ってイタリアのバーリへ行くのが良いだろうと言う結果に至った。
フェリーのチケットを買うときに怖かったのは、席指定についてきちんと書いていないところだ。
日本語のブログを辿りながら、恐らくこのチケットを買えば指定席ありでいけるだろうと勘を巡らせネットで予約をした。
23時発の船だったので、チェックアウトを終えロクルム島でうさぎと孔雀と裸のおじさんを眺めたりしながら時間を潰し、22時ごろに船着場であろう付近に辿りついた。
ネットで予約したので、チケットカウンターの地図がメールで送られている、はずがない。どこにも書いていない。船着場には勿論'ふなつきば'の名前のごとく沢山の船が並んでいる。
さらに驚いたことに自分が買った船の会社名が書いてある船が一艘もない。
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とりあえず大きい船且つイタリア人が多そうな船を探し、なんとかたどり着くことができた。
イタリア人たちの怒涛の流れとは別のレーンに並び(イタリア人は出国審査がいらないらしい)パスポートを提示して無事に船に乗り込む。
幸運なことに指定席のチケットを無事に予約できていたようで、席についた。
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日本では中々ありえないことだが、席のナンバープレートが大方取られている。しかも「古くて取れてしまいました」とかではなく「これ、売れるんじゃない?」といった感じのあからさまな取り方をされ、名前を失った座席たちが悲しく並んでいた。
日本人で律儀なため、一つ一つ番号を数え自分の席に着く。
イタリア人たちに囲まれながら、イタリア語を音楽に(実のことを言うとそんな流暢なものではありませんでした。まさに'怒声'といった声たちが取り囲んでいたのです)
目を閉じることにした。
しかし、やはり取り囲まれている雰囲気がしてそっと目を開けると、私の席の横に、長と思われるイタリア人女性と前に座っていたインド系イタリア人カップル、その他のイタリア人、計6人くらいが立って身体をこちらに向け議論している。
「何か問題がありましたか?」と英語で言っても絶対に英語ではない言語で返ってくる。
とりあえず様子を見ることにした。「チケットを貸して」多分そう言っていたので見せると
長
「やっぱりね。彼女は席を間違えているのよ。」
その他
「全く困ったものだよ。イタリア語も話せないときてる。番号が違うと言ってるのに荷物を抱きしめたまま動こうとしないじゃないか」
インドのカップル
「でも彼女がくると私たちの間にくることになるんじゃない?」
長
「確かにね、じゃあこのままでいいかしら」
という流れ(イタリア語はチャオ!しかわからないので正しくは理解できていません)
に至り、私はその席から一歩も動かずに就寝へと入ったのだった。
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クロアチアの船着場。バーリに着くときにはクロアチアがとても懐かしく涙がでました。
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