見出し画像

メトロックという海の中、NEWSの波に空を飛ぶ。

毎年夏になると、家族で海に行くのが恒例行事となっていました。
浮き輪の真ん中を通って押し寄せる波に体を預ければ、足が砂浜からふわっと離れる感覚。
まるで知らない人たちと一緒に、その一瞬空へ飛んでるようなあの感覚がすきでした。

*****

日が傾き、橙色が滲み始めた16:50。
バンドメンバーの確認が終わって一瞬訪れた静寂の後、いよいよNEWSの出番。
映像が流れた途端、表面張力のようにギリギリまで高まっていた気持ちが一気にあふれて、これからあのステージに3人が立つんだという実感が急にわいてきました。

そしてついに、NEWSが登場。
お揃いのオレンジ色のつなぎがユニフォームみたいで、ワンチーム感があって、既に胸がいっぱい。
この時点で「思いっきりこの場を楽しんでやる」という気合が3人から感じられました。

そこからはもうあっと言う間で、すごい体験でした。 あんな大勢の中に埋もれたのも、一緒に弾んだり歌ったりしたのも初体験。
自意識が邪魔をして、普段のコンサートでは歌うことにすこし恥ずかしくなってしまう私だけど、あんな風にのびのびと歌った時の爽快感を今でも覚えています。



トップバッターは代表曲のひとつ「weeeek
大正解。最高のトップバッター。もはや最初からクライマックス。
もうね、跳ねる跳ねる。前も後ろも右も左も。自分の足で飛んでるつもりが、周りから押し上げられて飛ばされてるような感覚。
それは、子供の頃に波に乗り、砂浜から足がふわっと離れるあの無重力感と似ていました。

そんな私たちに負けじと思いっきり飛び跳ねて、全力で歌って、とびきりの笑顔を浮かべる3人。曲の終盤、「やっとここまできた」と喜びを噛み締めるかのようにそれぞれハグしていた姿に目が熱くなりました。
初めての野外フェスへの出演に加えて、この日は日曜ということもあって「明日っからまた日、月、火、ほら水、木回って金、土、日曜 僕ら日々を楽しんで生きてこう さあ行くぞ!」という歌詞が染みました。


勢いそのまま、「チャンカパーナ」へ。
チャンカパーナとバンドの相性が良すぎるのはEPCOTIA ENCOREや音楽で実感していたので、フェスのステージで聴けて嬉しかったです。
チャンカパーナって何回聴いても飽きないんです。他の曲に飽きがくるというわけじゃなくて、いつ聴いてもテンションが無条件であがる。いや、あげてくれる。すごいパワーがある曲だなと感じます。


2曲終わり、自己紹介含めたMCへ。
ここでは小山さんのMC力が存分に発揮されてて、ファンとしては勝手に鼻が高くなりました。
初めてNEWSを見る人、なんとなく知ってる人、NEWSファンの人。全員の腕を無理矢理引っ張るわけでもなく、だけど誰も置いていかないMCは、コンサートを創る過程でファンの目で見てくれる小山さんだからこそのやさしい職人技でした。
なにより3人のテンションがとても高い。楽しませようという気持ち以上に、本人たちが今この瞬間を楽しんでることが伝わってきました。


ここからは3人になってから生まれた楽曲「未来へ」「Tick-Tock
「未来へ」ではようやくサビで声が出せて本当に嬉しかった。気持ち良かったです。
コロナで制限されている時に芽が出たこの曲は、元の生活に戻って一緒に歌えるようになった時が花開く瞬間だと思っていたので、一緒に歌う系の中では特に感慨深くなりました。
「Tick-Tock」はお客さんの前では初パフォーマンスだったので、イントロを聴いた瞬間テンションが爆上がり。
MVの印象から閉鎖的なイメージがあったけど、広々としたあの場でも抜群に合っていて格好良かったです。


ガンガンに盛り上がった折り返し。 さあ次は何だろうと流れたイントロは「JUMP AROUND
聴いた瞬間、久しぶりに心臓がヒュッと止まりました。それくらいの驚きだったんです。
そこからしばらく「これからJUMP AROUNDを歌う」という事実以外なにも考えられませんでした。
ようやくパフォーマンスに集中できる意識が戻った頃、あんなに開放感のあるステージが閉ざされた地下空間に見えたんです。映像で見たEPCOTIAのように。 そうやってガラッと空気をかえることができるNEWSはやっぱりすごい。

それにしても、まさかまた聴けるとは思いませんでした。 シングル曲やお馴染みの曲の現体制バージョンはあれど、アルバム曲は今後あまり聴けないだろうなと思っていたので。
でも久しぶりに聴くと、クラップやサビのノリなど「めちゃくちゃフェス向きでは・・・?!」と発見することが出来ました。
引き継いだパートを歌う加藤さん、歌詞と声質がすごく合ってて艶めかしくてばっちりときめきました。


そして「夜よ踊れ
これもまさかこの場で聴けるとは・・・!
「裂けたドレス」と歌いながらつなぎをピラッとひろげる増田さんがあまりにも色っぽい。
言わずもがな、この日も増田さんの歌声はすみずみまで広がっていて、耳や心だけでなく肌で歌声を感じました。分身の術を取得してたら後ろの方でも聴いてみたかったです。
青空の下という健全な場で聴く「夜よ踊れ」はアンバランスさも込みでめちゃくちゃ良かったです。NEWSはロックやポップス、応援歌だけじゃない一面もあるってことが伝わると良いな。

いよいよ終盤に差し掛かり流れたのは「生きろ
私が加藤さんを、NEWSをすきになったきっかけでもある曲。初めてジャニーズのCDを購入した曲。テレビ番組で顔をぐしゃぐしゃにして歌う姿を見てアイドルという概念が覆された曲。
私にとって特別なこの曲をこの場で聴けたことと、気付けばすきになって5年経ったという月日の流れにグッとくるものがあり、噛み締めながら彼らが放つ熱を浴びていました。
NEWSの代表曲のひとつとして「生きろ」があがるのも嬉しかったです。


ここでまたMCを挟み(まさか音楽ツアーでこすりまくった「すきぃ〜」な加藤さんを拝めるとは思わなかった・・・高揚してノリノリな加藤さんは愛おしさが爆発して最高です。本も書けます)


ラストは「U R not alone

「拝啓あの日の僕へ今はココで立っています」
「誰かに笑われた夢を今もココで見続けています」

頭のこの歌詞が、今まで以上にくるものがありました。
あの日の彼らは、今、こんなにも素敵な舞台に立つ自分を見たらどう思うんだろう。歌う3人を見ながらそんなことを考えていました。

「やったことのない屋外フェスに呼んでもらえる。俺たちはそういう未来のためにがんばってきた」

これは「未来へ」前のMCで加藤さんが言ってた言葉です。
たくさんの “今”を積み重ねた先に、もっともっと素敵な“今”に立てる。そう信じて走り続けてきた3人だからこそ立つことができた、今回のフェスという舞台。
その舞台で楽しんで歌う3人はとても凛々しくて、眩しくて、かっこいい大人の姿そのものでした。

*****

好きなアーティストを通じて知らない人との繋がりが生まれるという意味での「音楽は人と人をつなぐ」は何度も味わいましたが、フェスの場合は少し違ったように思えました。
お目当ては違うけど音楽という海の中で、一緒にその場を、その一瞬を思いっきり楽しむ。 顔も名前も知らない誰かと同じ波に乗って、一緒に空へ飛ぶことで、ほんの一瞬心と心がつながる。
前者が点と点を繋ぐ線を音楽と呼ぶなら、後者はたくさんの点を包む波そのものが音楽。
そういった意味での「音楽は人と人をつなぐ」を体感することができました。

NEWSという風によって生まれた大きな波。 たくさんの人たちと一緒に乗ったその波は、最高に熱くて、どこか儚く、夢のような時間でした。 20年目を迎えるNEWSの初舞台を見ることができて嬉しかったです。 なにより、とにかく楽しそうな3人の表情にいっぱい幸せをもらいました。 メトロックに出演したという“今”が、もっと素敵な未来の“今”に繋がっていくんだろうなという確信めいたものを感じる、そんな一日でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?