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「BLUE GIANT」をみて

 2月18日、立川のTOHOシネマで2月17日公開の「BLUE GIANT」を見てきた。20時30分のレイトショーだったので、日中は本を読むなりしていた。久しぶりの映画であったが、JAZZの映画ということもあって年齢層も高めで、落ち着いた雰囲気で会場案内を待ち、上映までの時間を過ごすことが出来た。映画は轟音上映というもので、大きなスピーカーで音を聞くことが出来る施設であった。まさにこの映画にぴったりだ。作品は以前から目にしていたことがあったので、特別な驚きはある一点を除いてなかったが、映像で見ると作品の一人ひとりのことがよく分かった。
 主人公の宮本大の前向きな性格と誰にも見つからない場所でも努力を怠らず、ひたむきに取り組む姿には自分と同年代で18,9歳くらいの人がそこまで努力できるのかという驚きとともに、こんなに自分はまっすぐ物事に取り組めているのか、夢を夢のまま希望のままで終わらせているのではないかということを改めて強く考えさせられた。きっと自分はそこまで努力もできていないと思う。ただただ彼の姿から人としての強さに感動した。
 ピアノの藤原雪祈は類稀なる才能と経験を持っている人であった。4歳のころからやっているため技術はトップレベルであるのは間違いなかった。しかし、それが決して人を動かすこと、感動させることにはつながらないという現実に苦しむ人でもあった。JAZZクラブ「So Blue」の平さんが言っていたように小手先のテクニックは一見格好よく見えるが、実は虚栄心や見栄を張っている場合が多いという事なのか、才能だけでは生きてゆくことが出来ないということなのか。しかし、彼からはそういった挫折経験以上にそこから立ち直る、終盤にかけての努力と彼の想い原点がすごく印象に残った。平さんに「全然ダメ」と言われた後、2日もぶっ続けでピアノを弾き続ける忍耐力と思い、もがく姿は畏怖の念を覚えるほどであった。挫折してあれだけの行動を自分もできるだろうか。いくらやっても克服できるとは限らない。そんな補償のない中で必死に動けるのは純粋の尊敬の念を浮かべ、そしてあれだけのことをできるようになりたいと思った。先が見えない中、自分が信じた道を突き進みむ力、そして「内臓をひっくり返すほど」の想いで人生すべてを込めて、具現化された行動そのものが人を動かし、人を高みへ導くのだろうということを教えてくれたように思う。
 そしてドラムの玉田。彼は本当にすごいと思う。サッカーをやめ、ジャズドラムをはじめ、うまくいかないことばかりでもひたすらに努力を重ね、努力、努力、努力。大学生で20歳近くになってから新しいことを始めるというのは、いわば賭けのようなことだと思う。何かを始めることは怖い。自分も何かをしたいと思いながら行動できないでいる節があるからこそ、より一層彼のすごさが身に染みる。初心者だからと言って非難されてもめげない姿、そして最後にSo Blueでみせた「We Will」のソロには本当に感動した。少しずつでいいが前に進む、その一歩を踏む出すそのすごさを教えてくれたように思う。そして同時にその姿を見守ってくれる人がいるはずだから信じてやり続けられるということも教えてくれたように思う。
 この映画は自分の人生の中で節々で思い出されることのような気がする。きっと多くの場面で「この日を忘れないでおこう」と決めたこの日が自分を導いてくれると思う。個人的な話ではあるが、大学4年になる今年の春、就活ではなく大学院進学という道を選び、一人別の道を歩むことを決めた。そんな今だからこそ、強く信念を持つ彼らの姿がより響いた。映画の最後は、大がドイツへ旅立つシーンで終わるが、これを書いている2週間後、自分もドイツへ行くという稀有な境遇と重ね、大のように自分も人生を歩んでいこうと思った。将来、どんな分野でも業種でもそんな形であれ、自分が「BLUE GIANT」として輝けるよう、今から動き出していきたい。

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