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消費税・インボイス

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原状回復費用と簡易課税についての一考察

原状回復費用と簡易課税についての一考察

不動産賃貸業をしていると、賃借人が入れ替わるときに原状回復費用が発生します。賃貸人は、賃借人との契約解消時に、敷金や保証金から一部を差し引いて支払います。そして、この一部差し引いたものは収入として計上することになります。原状回復費用に係る収入です。
この収入、消費税法では対価性があるとして課税取引と整理されています。以下の国税庁の質疑応答事例や裁決でも同様の見解が示されており、その取扱いは浸透して

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インボイスと免税事業者と経過措置

インボイスと免税事業者と経過措置

インボイスにおいてしばしば問題になるのは免税事業者との取引です。公正取引委員会からQ&Aがリリースされるなど関心が高いところでしょう。特に免税事業者自体がどのように対応していけばいいのかというのは、私もよく相談を受けております。本当に悩ましいです。
他方で、免税事業者と取引をする課税事業者の相談も受けております。今回は免税事業者との取引について見ていきたいと思います。

公正取引委員会にもあるよう

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消費税と簡易課税④

消費税と簡易課税④

簡易課税の4回目。ここでは、簡易課税とインボイスについて書いていきます。
簡易課税とインボイスの関係を見て行くにあたって、公正取引委員会から公表されているQ&Aの中から、簡易課税について触れているところを見ていくことにします。

注目すべき箇所は最後のなお書きでしょうか。消費税の文脈だけでは、簡易課税の適用事業者は、買手としてのなお書き以前に書かれているようなシステム導入や改修といった追加的な事務

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消費税と簡易課税③

消費税と簡易課税③

簡易課税3回目。ここでは、簡易課税を選択する上での留意点を書いていこうと思います。

①納税額が有利になる場合がある1回目にも書きましたが、簡易課税を選択することで、支払に係る消費税額があります。
支払に係る消費税/売上に係る消費税の割合が、みなし仕入率より少ない場合は簡易課税を選ぶことで税額を抑えられます。

「支払に係る消費税」とは支出した経費の10%(又は8%)とイコールではありません、経費

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消費税と簡易課税①

消費税と簡易課税①

令和5年10月1日にインボイス制度が施行されます。それに伴って、簡易課税がにわかに注目を集めております。先日、公正取引委員会がインボイスに対するQ&Aを公表したとき、簡易課税という言葉をたくさん見たように思います。

そこで、4回程度に分けて、消費税の簡易課税について見ていきたいと思います。

簡易課税とは消費税の納税額は、「【預かった消費税】-【支払った消費税】」で算出します。個別対応や一括比例

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消費税と簡易課税②

消費税と簡易課税②

今回は簡易課税の事業区分について見ていきたいと思います。

第一種と第二種第一種事業は卸売業、第二種事業は小売業と書きました。卸売業と小売業、その語義はなんとなくわかるようなわからないような、そんな印象です。
消費税法は卸売業と小売業の定義を定めています。

卸売業も小売業も「他の者から購入した商品をその性質及び形状を変更しない」で「販売する事業」であることは同じです。違いは販売する相手で、卸売業

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インボイスと個人情報③

インボイスと個人情報③

公表申出書についてもう少し検討してみましょう。

おさらいを兼ねてインボイスの検索サイト(正式名称は「適格請求書発行時業者公表サイト)で公表される内容を確認します。

氏名又は名称、登録番号、その他法令で定める事項の3つです。
その他法令で定める事項として委任を受けた施行令ではこのように定められています。

整理をすると、
①氏名又は名称
②登録番号
③登録年月日
④法人の場合は本店所在地(又は主

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インボイスと個人情報②

インボイスと個人情報②

個人事業主は、インボイスの公表サイトで氏名と登録番号が公表されることがわかりました。
公表される情報はこれだけでも問題はありません。ただ、本当に公表される情報が氏名だけでいいのか、という疑問があります。

たとえば、旧姓で仕事をされている方、御自身の名前よりお店の名前や屋号の方が知られている方の場合、インボイスを受け取られた方が登録番号の検索されたときに氏名しか載っていないと、この情報が正しいのか

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インボイスと個人情報①

インボイスと個人情報①

令和5年10月1日よりインボイス制度が施行されます。
インボイス導入による社会的な影響は大きいと言われており、インボイス導入に反対する声が多い現状ではあります。とはいえ、制度として施行されるのは間違いが無く、事業者としてはインボイス導入に向けて準備しておく必要があります。

インボイス導入に向けての準備として、事業者としては、請求書や領収書、レジ、会計システムなど様々な対応が求められる中で、お客さ

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