見出し画像

優しすぎる日本のスポーツメディア

年末のJリーグのYoutubeで「The Debate」というコンテンツがアップされてて、結構面白かった。イギリスのSky Sportsでも同じタイトルの番組があるけど、要は有識者が集まって、毎週一つの事例についてディスカッションをするもの。日本では年末の回がトライアルみたいな感じだったお思うけど、今後も是非定期的に続けてほしい。

「この司会二人は誰?」とか「Jリーグの人あんま主張しないなー」とか、ツッコミどころは満載なんだけど、手作り感があるし、ゆるい感じがいいのかもしれない。そして、トピックはなかなかちゃんと番組とかで話されなかったところがあったので、今回上がったトピックに関して、回をまたいで話していこうと思います。

ザ・当たり障りない実況、日本

小さい頃からテレビでスポーツを見てて、ガキながら疑問に思ったのは、「実況はどっちの味方?」ということ。例えば、巨人は昔ゴールデンタイムで日テレでやってて、明らかに巨人をメインにした放送なのに、特に贔屓にしなく、どっちがホームラン打っても同じトーンだったり、当時はVARもスーパースローすら無い時代だけど、間違いなくボールの球を審判がストライクコールをしたとしても、「うーん、ボールに見えましたが、ギリギリ入っていました」と審判のコールに何も問い詰めなかったり。

この番組で言っていたのは、下手なディフェンスをした選手のことを批判しないのに、うまかった(そうでもなくても)オフェンスを褒めることを多くするのが日本の中継だったりすると。ごもっともだと思ったのははオウンゴールの例で、海外であればオウンゴールした選手の名前が記録されるのに対して、日本では「オウンゴール」のみ表記されるので、責任が薄い気がする。もちろんミスした選手が一番それをわかっているのに違いないけど、constructive critisism(建設的批判)をちゃんとしないと、選手やチーム、リーグはいつになっても育たないと思う。ジャッジリプレイもそうで、あれをすることによって、審判が見られている意識が出てきて、よりしっかりとした判定につながっていくと思う。

今後は更にVARがJリーグでも本格導入されるので、実況も見たものを言うしかない状況になってくる。きっぱりとした意見が求められるようになるよね。

平和なインタビュー

もう一つ論点となっていたのは、インタビューや記者会見で記者の質問が優しすぎるところ。そのポイントはごもっともだと思っていて、日本ってインタビューが定形化してると思う。

・「今日の勝利、おめでとうございます。今のお気持ちは?」
・「得点に至るまでの一連の流れは良かったですねー」
・「次の試合に向けて、意気込みをお願いします。」

質問が普通だと、帰ってくる質問も一緒なので、毎回同じ返事が帰って来ちゃうので、誰のためにもならない。

これはミッドウィークに行われたモウリーニョの試合後の記者会見です。もちろん回答しているのがユニークな監督だから、中に出てくるくだらない質問はきっぱりシャットダウンするし、含みのある質問にはその意図を汲み取って回答している。記者もなんとなくこう聞いたら、いい具合に話してくれるんだろうな、って思っているものだとも思う。

海外は聞き手以上に語り手が面白い監督、選手ばかりだから、記者会見ひとつとってもエンタメになってくるのはすごいと思う。もしかしたら、それはプロ意識がオフザピッチにもあって、常に話すことが見られている意識があるからこそかもしれない。

個人的にはこの記者会見のこのシーンが好き(0:47あたりから)。クロップは英語もドイツ語も堪能なので、通訳がミスをしたときもしっかりプロフェッショナリズムを求める。そして、次の日の会見では自分の指摘の仕方がプロフェッショナルじゃなかったことを認めて謝罪する。すっきりするよね。

見られているという意識を持たせて変える

芸能人はデビュー当初はあどけなかったり、垢抜けない感じがするけど、テレビに出るようになると、見られている意識がついてきて、きれいになったり、かっこよくなってきたりする。サッカー選手やアスリートもそうだと思うし、特に今シーズンのJリーグはもっと多くの国で放映されるから、監督や選手(サポーターも)はそういう意識を持たないと行けない時代になってきている。記者会見ももっとオープンにフルでコンテンツとして配信されるべきだし、↑の名将たちのように面白い部分は切り抜かれてもいいと思う。

「THE DEBATE」の中でもあったけど、メディア研修って新人だけじゃなくて、クラブに関わる全員に対してやってもいいことだと思う。そっから、各クラブの広報担当とかが自分たちが発信するときはどういったカラーで発信したいかってのをベースに置くことで、統一感もあるなかで、各個人が別の味を出していけばいいと思っている。いっぱい面白い監督や選手たちがいるんだけど、デジっちとかの一発芸とかでそういうのを見せるだけじゃなくて、インタビューとかでウィットのある回答でその面白さ、賢さをもっとだしてほしいなー、と思います。

パラリンピックもアスリート向けにトレーニングがちゃんとされてるし、みんなの発信ツールであるSNSの活用とかも研修があるらしい。すごい時代ですね。

記者会見とか、実況・解説、インタビュー、SNSはすべてメディアでサッカー(スポーツ)を伝えるアウトレットなので、今後も関わる人にはうまく活用してほしいと思うし、期待しています。

次回もこの番組から出たトピックをもとに話したいと思います!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?