革命 (エマニュエル・マクロン著)

美辞麗句が多く抽象的なものも多く政治家として明確な政策がない。但し世界でも数少ない生臭い理想を語れる政治家でもある。昔”美しい国へ”を書いた安倍晋三元首相を思い出します。中央集権的な体制は捨てて国民一人一人が積極的にアンガージュマンとなることを提唱しています。

米国のEU離脱、アメリカの米国第一主義と時代はグローバリズムと逆の流れにあるさなか、極右勢力が政権を取るとささやかれていたフランスで開放経済・移民包摂・国際協調を唱える無所属のマクロン氏が彗星のごとく現れて39歳の若さでフランス大統領になり、積極的にフランスの潜在力を引き出そうと積極的な民主主義を提唱している。フランス革命で世界に”人権”の大切を訴えた歴史を持つすばらしい国、一方でグローバリズムの波を乗りこなせずに国内に多くの問題を抱える国でもあります。不幸病にかかり怒りと疎外感に満ちた国との表現もあり。そして、そのフランスに前進への意思を見出し希望の灯を照らすと。本書は、思想(思想形成の過程と現在のフランス)、戦略(民主主義の礎を築いたフランスが現在何をするのか)、未来(グローバリズムやテロと今後どのように付き合っていくのか)の3つの章で語っています。

(本文で気に入った部分の抜粋)

:政治の世界もメディアの世界も、何かが起こりつつあるのを見たくないという、まるで夢遊病者のような大衆を創り出している

:フランス語を学び、フランス語を話すものは、フランスの歴史を託されたものとなり、フランス人となる。

:政治家や公務員の社会的地位そのもののほうが職務が創り出された理由より優先される。つまり国家は行政の為に存在し国の為の行政が存在しているわけではない。権力の世界が架空の構造物を築き上げてしまう。ただし、教条的な理由をもって国を非難するのでなく、現実的に国家と歴史の関係性の中で国家がもたらすべき、またもたらすことのできる役務を考えるべき。

:文明こそがフランス人を不安にさせている。文明は一種の脅威である。文明とは歴史上の進化のかていでなければならず物質的・社会的・文化的・政治的な進歩の延長上にあるもののはず。しかしフランス人にとって文明は、退行・制御不能な状態・心配・不安と同義語だ。

:環境問題こそフランスがトップに立つべき。環境問題は日常生活の中心をなす最重要課題で食料・健康・住宅・交通手段など。フランスはG7、G20 メンバーで国連の安全保障理事会の常任理事国である。

:持たざる人へ多くのことをする

:大都市の発展と地方創生

:付加価値の高い雇用が大都市に集中している。世界のGDPの50%が世界の立った300の大都市で創出。フランスのGDPの50%は15の大都市で生産され一方で人口の80%が地方でつましい生活をしている。

:政治などの活動に参加したいという強い欲求”アンガージュマン”が国を活気づける。フランスのみならず西洋社会で民主主義が疲弊している。

:一般の人々との関係から生み出される活力と民主主義を深く信じている。国民と直接交流し、国民の怒りに耳を傾け、政治に期待されていることに思いを巡らせ、国民の知性に語りかけることにより多くのものを見出したい。そして私の野心は国民がアンガージュマンする番だと、訴え続ける。

:中央集権的なモデルから一人一人のアンガージュマンが可能になるモデルへと移行しなければならない。国民一人一人を国家の主体とする。

:経済のグローバル化により既成産業が衰退している国民の不満。一方でグローバル化により恩恵を受けている現実。反グローバル化の波はイギリスのEU離脱、アメリカのトランプ大統領誕生させたが、各国は混乱している。

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