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中国のMCN機構はライブコマース市場で欠かせない

■MCNとは

MCNはマルチチャンネルネットワーク(Multi Channel Network)の略
日本でもYoutuberを抱えているUUUMのような、インフルエンサー(中国語で網紅ワンホン)を抱えてマネジメントを行う会社の事を指す。このMCNは2020年に28,000社になると予想されている。

■MCNは何のためにあるのか

MCNはKOLに対して大きく8つ事をサポートしている

①コンテンツ制作管理
②営業サービス
③ショートビデオ運用代行
④ファン、運営管理
⑤KOL養成
⑥MC養成
⑦規約管理、資本サポート
⑧ライブコマース進行

KOL個人だけのリソースやスキルではカバーしきれない部分をMCNという会社が効率・効果UPの為にサポートしている。

■MCNのタイプの違い

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MCNにも3つの特徴がある

①セールス型(例:蜂群伝媒、楼氏伝媒など)
KOLをたくさん抱えて育てて売り上げを作っていくタイプ

②コンテンツ型(例:大禹網絡、薇龍文化、網星梦工廠)
それぞれ専門知識で動画を作成したりするタイプ

③eコマース型(例:美ONE 、如涵)
プラットフォームに依頼するタオバオや京東に依存しているタイプ

MCNはKOLをいかに活用して収益化できるか、他のMCNとの差別化も含め試行錯誤しているようだ。

■MCNの収益化の仕組み

MCNの市場規模は2019年の実績では168億元(2600億)、2020年には245億元(3,700億円)になると予想されているがMCN、KOLが手にする収益は配信して商品ページへ誘導するプラットフォームによって異なる。

今回はタオバオ内の店舗へ誘導して商品を購入した場合の収益を比較してみる。

・タオバオライブから誘導した場合

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タオバオライブを通してタオバオ店舗で商品が売れた場合
タオバオ店舗に 80%
アリババに 6%(手数料)
MCN、KOLに 14%

のような割合で売上が分配される。

・TikTokの短編動画から誘導した場合

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TikTokを通してタオバオ店舗で商品が売れた場合
タオバオ店舗に 80%
アリババに 7.4%(手数料)
TikTokに 0.14%
MCN、KOLに 12.46%

のような割合で売上が分配される。

・快手の短編動画から誘導した場合

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快手を通してタオバオ店舗で商品が売れた場合
タオバオ店舗に 80%
アリババに 7.4%(手数料)
快手に 6.3%
MCN、KOLに 6.3%

のような割合で売上が分配される。

このような事からタオバオの店舗で購入をさせるのであればタオバオライブから配信して購入につなげた方がMCNの取り分は高くなることが分かった。

一方で外部の短編動画配信プラットフォームのTikTokと快手を比較するとMCN、KOLにとってはTikTokで売れた方が収益率が高いという事が分かる。

統計データでもあったように収益の部分だけで考えてもTikTokを利用しているMCN、KOLが多いというのも頷ける。

■中国MCNランキングTOP5

2019年MCN機構のランキングTOP5を紹介

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①新片场短视频(ニュースタジオ)
北京の会社で、運営会社は北京新片场传媒股份有限公司
設立:2016年
売上:2019年は2.8億元(45億円) ※326万元(5000万円)の赤字。
有名なKOLは辣目洋子、董新尧
2週間でTikTok100万人フォロワー数のKOLを作り上げ上げた実績がある

2週間で数百万人のファンを獲得
https://www.sohu.com/a/237983858_508334

②青藤文化(アイビディア)
北京の会社で、運営会社は北京青藤文化股份有限公司
設立:2011年
売上:2019年は7639.46万元(45億円) ※326万元(5000万円)の赤字。
有名なKOLは董完了(マタニティ業界)、凹凸君说、走向世界的彭美丽など。

マタニティーや子育て関連の業界をターゲット
https://new.qq.com/omn/20181029/20181029A1T14D.html

③蜂群文化(ハイブメディア)
深圳の会社で、運営会社は深圳蜂群文创发展有限公司
設立:2014年
売上:不明
有名なKOLは微博搞笑排行榜、留几手、我的前任是极品、草图君、休闲璐、酷酷的滕等流量大号など

配信データや売上を捏造したというニュースもあった
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1647712998908586599&wfr

④橘子娱乐(ジュウズエンターテイメント)
北京の会社で、運営会社は北京橘子文化传媒有限公司
設立:2013年
売上:不明
有名な番組は橘子辣访、橘子新青年、大明星小故事、爱豆化妆包、男神帮帮忙、星妆实验室、小姐姐试色间、橘子街拍など

2017年度のベストコンテンツアプリに選ばれた実績
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1589734986557401280&wfr

⑤如涵(ルーハン)
杭州の会社で、畝に会社は杭州如涵文化传播有限公司
設立:2001年
売上:2020年Q12.282億元(200億円)
有名なKOLは张大奕、虫虫Chonny、delicious大金など

113名のKOLが22億元(350億円)の売上を出した
http://www.qdaily.com/articles/61857.html

■まとめ

中国MCN機構はKOLの養成やコンテンツ制作など様々なサポートを行っており、最近ではフォロワーを多く持ったKOLが独立して自分のMCN会社を作るという例も見られる。

MCN会社は2020年には28,000社に達すると予想されており市場規模245億元(3,700億円)を取り合う形で更に競争が激化するだろう。

ただ収益は年々上がっているものの赤字続きのMCNも多く、今後他社との差別化でいかにファンを継続して獲得するコンテンツを生み出し収益化に繋げていくかがカギを握っているようだ。

次回は人気のインフルエンサーKOLについてまとめていきたい。

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