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フリーランスエンジニアとしてエージェントを介さずにダイレクトリクルーティングを受けてみた結果

概要

フリーランスエンジニアの人口は増加傾向にあるようですが、フリーランスとは銘打ってはいるものの、実際はエージェントやSESと言われるものを介して委託契約で現場に入ることが多いように思えます。

私もかつては上記のような形態で稼働していたのですが、いろいろ思うところがあってエージェント等は不要だと思いました。
(エージェントやSESのメリット・デメリットの解説記事は多く出回っているのでそちらに譲ります)

そこで、こういったものを利用せずに企業と直接契約はできないものかと試行したのですが、その結果をこの記事ではまとめています。
参考になれば幸いです。

やったこと

  • LinkedIn に登録してみた

  • Forkwell Portfolio に登録してみた

  • LAPRAS に登録してみた

結果

結論から言って、以下のような結果となりました。

  • LAPRAS を利用して契約を獲得することができた

  • Forkwell Portfolio 経由でも面談はできたのでこれも有用

  • LinkedInはほとんど効果がなかった

ちなみに上記サービスでは技術力などが独自にスコアリングされるんですが、営業活動中の当方の数値は以下の通りでした。

各サービスでのスカウトの受信頻度等も以下に記載していきますが、一つの尺度として参考程度に提示します。

以下、各々について具体的にどういうことをしたのかを時系列で記載していきます。

LinkedIn

結果: ほとんど効果はなかった

  • スカウト自体はほとんどこない

  • スキルバッチは獲得しても効果はない

  • 人材系の会社からのスパムがひどい

  • プロフィール見ると足跡が絶対残るのでそれベースにフィルタリングすることはできる

以下各項に関して言及していきます。

自分の中でビジネスSNSといえばLinkedInという印象があったので一番最初にこれを試しました。
(シリコンバレーというアメリカのドラマでエンジニアが転職するときに「LinkedInのステータスを"求職中"に・・」みたいなシーンがあったのでその辺の印象からかもしれません)

サービスを利用する際に行った施策としては以下です。

  • 自己紹介や職歴のセクションにキーワードを入れる

    • 「Ruby on Rails」「React」のような技術スタック

    • 「CRM」「AdTech」のような今まで関わった事業ドメイン

    • 「RESTful API」や「OAuth2.0/OIDC(OpenID Connect)」など実装経験のあるアーキテクチャスタイルや標準仕様

  • スキルテストを受ける

スキルテストというのは同サービスを利用してブラウザ上で受けられるテストで、合格したら認定バッチのようなものがもらえます。

内容は難しいものではないと思いますが、英語で出題されるのでその点は知らずに受けると面食らうかもしれません。
合格したらそのスキルで求人出している企業にリーチできるかと思ったんですが、効果はほとんどないようでした。

最低限のプロフィールの整備と上記施策を実施した結果、同サービス内で月に2,3件の頻度で経営者や人事関係者からスカウトを受けることはできました。

ただ、それとは別に人材系の会社からの勧誘もかなりのボリューム来てしまってました。
ひどい時は日次ぐらいのペースで来たり、無視してても同じ会社の別の人間入れ替わり立ち替わりアプローチしてきたりするのでかなり迷惑なレベルで
した。

それで嫌気がさして通知を切ったり、InMain(メールを直接送れる機能)を無効にしたりしてしまいました。
後述するサービスでは人材業社が跋扈しているという状況はないので、そちらを利用する方がいいかもしれません。

あとこのサービスに限ったことではないのですが経営者や人事の方でもプロフィール見てないで手当たり次第声かけてる方もいるのでその点は注意が必要だと思います。
ただ、LinkedInだとプロフィールを閲覧したかどうかは足跡機能でわかりますので、その点のフィルタリングができることは便利だと思いました。
(例えば足跡ついてないのに「プロフィール見ましたが」みたいな文言が入ってたらその時点で切れるのでそういう利便性はあります)

なのでそういうサービス固有の特性から福利を得られると考えられる場合や、ラッキーパンチを狙いたい場合などは登録して損はないのかなとは思いました。
また、今回の趣旨とは外れるので詳しくは言及しませんが、外資系や海外の案件を探したい場合は役に立ちそうだとは思いました。

Forkwell Portfolio

結果: 有用(何件か面談することができた)

  • スカウトの受信ペースは 2〜3件/日

    • ※ このサービスではスカウト以外に「いいね」というリアクションもあるが、それはここでは含めない

  • ポートフォリオのコンテンツ量や転職意欲の設定値がスカウトの受信頻度と相関関係あり

  • 「今週一番会いたいエンジニア」みたいなスカウトの温度感がわかる

  • テンプレートが用意されていて便利

LinkedIn が効果なかったので続いてはポートフォリオ公開してスカウト受けられるみたいなサービスを探しました。

国内のものだと Forkwell と LAPRAS が有名だと思うのですがこの節では前者に関して記載します。

やったこととしては以下です。

  • セクションを全部埋めてコンテンツを作り込む

  • 転職意欲を「今すぐ転職したい」に設定する

  • 「スカウトを受け取る」は忘れずONにしておく

どのサービスでも自己紹介や職務履歴などのコンテンツをしっかり作ることでアピールの体制が整うことになると思いますが、ここでも基本的に全セクションを埋めました。
項目数がかなり多いので入力は多少めんどくさいと思います。

ただ、テンプレートや記載例みたいなものが豊富なのでそれらを活用すれば多少省力化はできそうでした。
例えば、職歴などのセクションで何を書いたらいいかわからない方はテンプレートを利用すると項目は最低限形式化されます。

Forkwell jobs というサービスと連動しているようで、コンテンツをある程度作り込んで、スカウトを受け取る設定にしておくと実際にスカウトが届くようになりました。

転職意欲に関しては「今すぐ転職したい」など温度感の高さを明示すればアプローチの数が増えるので転職(案件変更)を決行するつもりがあるのであれば「今すぐ転職したい」を選択しておくといいと思います。

雇用形態に関しても「正社員」「業務委託」と選択ができるので、この記事の趣旨通りフリーランスとして参画する意思の表示も可能です。

スカウトに関してはサービスが「スパムのないスカウト」を標榜しているだけあってあからさまにコピペで作ったような文章でのスカウトは実際ほとんどなかったと思います。
また、「今週一番会いたいエンジニア」みたいなスカウトもあるようで、そう言ったラベルがついているものは期待ができると思います。

スカウトがきたらサービス内のチャット機能を使って選考過程の選択やスケジュール調整を行って話を進められます。
実際に何件か Forkwell 経由で面談できたので、有用なサービスだとは思いました。

LAPRAS

結果: 一番良かった(クロージングできた)

  • スカウトの受信ペースは 2〜3件/日

  • (Forkwell同様)コンテンツ量や転職意欲設定がスカウトの受信頻度と相関関係あり

  • ANALYTICS 機能でスカウト送信企業の温度感がわかる

コンテンツ量や転職意欲の設定がスカウト受信頻度に影響する点は Forkwell と同じです。
このサービスでも全項目入力することや転職ステータスの設定などをまずしておく必要があります。
職務経歴や基本設定にある「やりたいこと、興味のある仕事・分野」を入力していることを応募の必要条件としている求人が多いので、これも入力しておいた方がいいと思います。

LAPRAS に関しては職務経歴をインポートしてくれる機能があるので、入力の手間はかなり省けます。
実際自分もエクセルで持ってた職務経歴書をインポート機能で流してその後編集してないです。

サービスの特徴としては既出のようなスコアリング機能があります。
それらの内訳も以下のように確認できるので、その気になればスコアアップも図れると思います。

また、個人的に有用だったのが ANALYTICS という機能です。
下図のようにこちらの LAPRAS のポートフォリオを閲覧した企業がわかるのですが、ここに名前がよく出てくるものはこちらの情報を精査していると判断できるので、その企業から面談のお誘いがあった場合は採用を積極的に検討していると言えます。

上記以外にも、LAPRAS のポートフォリオだけではなく、そこに記載されている Githubの公開リポジトリなどへのアクセスが記録されたりもします。

スカウトの方式としてはメールを直接送ってくるものや、ポートフォリオのページ上に表示される興味通知があります。
これに関して「興味あり」「興味なし」などのリアクションをとることができます。

各々のアクションを行うと採用側にどう見えるかなどは、エンド企業向けのオンラインマニュアル等が公開されていたりするのでその辺を参照するとイメージがつきやすいと思います。

Forkwell と併用している企業も多いみたいなのでその辺もふるいかけるときに便利かもしれません。
例えば、Forkwell ですでにスカウト受信してて面談の日時調整もしてるのに、LAPRAS でもアプローチしてきた企業なんかが実際いたりました。
そういう場合はスカウトを乱発している可能性もあるので警戒指標にはなると思います。

結果としては今回は LAPRAS 経由で希望条件を満たす案件を獲得することができました。

総括

エージェントより LAPRAS や Forkwell の方が集客力ある

エージェントを利用する際には希望条件を伝えて、それに合った案件を紹介してもらうというのが一般的な流れだと思います。
今回、LAPRAS 単体で見ても過去に契約していたエージェントから紹介してもらえる案件の3〜4倍のボリュームの案件を獲得できました
※ 面談を検討できるレベルかどうかで判断できるものの量での比較です

また、エージェント経由だと希望条件と全然違う的外れなものが回ってきたり、一部の内容が恣意的にねじ曲げられたり、伝言ゲームで実際とは違う条件が伝わってきたりした経験が自分にはありました。

今回の場合は、LAPRAS や Forkwell と言ったプラットフォーム上で企業の担当者と直接やりとりすることで、ある程度の齟齬の解消を事前に図れたこともありました。

スカウトを受けられる態勢自体は常に作っておいた方がいい

具体的には日頃から以下のようなことを心がけておくとよかったかと思いました。

  • 日頃から職務経歴書などは案件変わるごとにまめに更新する

  • Github の公開リポジトリなど、アピールに用いることができるポートフォリオを整備する

  • OSS活動をする

  • 技術記事の発信などを定期的に行う

不毛な面談を避けるため、スカウトの温度感を見極めることが必要

何度か言及してますが、どのサービスでもとにかく手当たり次第誰にでも声をかけているような企業が多く見受けられました。

ある程度は予見できることではあるので、こちらとしては以下のように条件面を記載したドキュメントを用意して、
「面談のお誘いをいただいた際に上記閲覧・内容をご確認いただいた旨をお伝えいただいた場合お返事は必ずします(ただし、内容に合意いただける場合に限ります)」
のような注釈を入れていたりしました。

にも関わらず、実際に以下のようなことがあって困りました。

  • 上記ドキュメントを読んでいない(メールで読んだと返事あっても、当日の担当者が読んでいないケースあり) ← 該当件数2社

  • Github等を閲覧しておらず、どうやってこちらの技術レベルを判断したのか不明である ← 該当件数1社

  • 募集要項に記載してある内容に虚偽がある(使用技術としてReactやTypeScript、golangなどの記載してあるのに面談でその点質問したら使ってなくて移行の予定もなかったり) ← 該当件数1社

  • 選考手順が不透明である、もしくは募集要項に記載してある内容と齟齬がある ← 該当件数2社

自分の場合はこういうケースに該当した時点で選考を受けないことを確定します。
本来別の良案件の面談に割くことができたかもしれない時間が奪われてしまうので本当に勿体なくて、機会損失につながります。
こう言ったものを如何に避けるかというのも重要に思えました。

既出ですが、アクセス履歴やリポジトリの閲覧ログなどから企業側の行動がある程度わかる LAPRAS は、この点判断する上で有用だと思います。

完全に不本意な面談を避けることは今回はできませんでしたが、こう言ったものを利用することで過去にエージェント経由で面談を申し込んだ際よりも不毛な面談を減らすことは実際にできました。

面談のスケジュール管理も重要

何件も面談の予約を入れているとスケジュール管理がかなり煩雑になります。
特に案件に入りながらだと面談に応じることができる時間帯も限られるので、その上で並行して毎日のように面談をこなしていくとなると時間がかぶらないように調整するのにも割とコストがかかりました。

今思うと以下のような日程調整ツールを活用すればよかったかなと思っています。

また、企業によって選考のステップが異なるためそれを加味して日程調整することも必要です。
カジュアル面談で完結することがないのはどこも同じですが、その後面談1回で済むところもあれば、面談2回 + 技術選考のようなところもあります。

この選考過程に関しては、事前に明示してくださっている企業が大半なので、選考コストが高いものは申し込みを慎重に検討するか、受けるなら早めにして他と並行して進められるようにするかして調整した方がいいと思いました。
自分は今回この点失敗しました。

以上になります。
読んでいただいてありがとうございました。案件探す際の一助となれば幸いです。

2022/10/08 追記:
半年後、この記事の内容と同様の手順で新規案件を探しましたが結果が以前と違っていたので追記として残しておきます。

結論から言って、ポートフォリオサービス経由で受けるスカウトのボリュームが減っていました。

記事中ではLAPRASとForkwell共に以下の実績を紹介していました。

スカウトの受信ペースは 2〜3件/日

ただ、半年という期間を置いて再開した際に以下のように変動しました。

LAPRAS :
- 転職ステータスを「高:転職活動をしている」に更新した直後に新規で数社・再アプローチ数社あり
    - ただし、合わせても10件程度
- その後はANALYTICS機能を参照してもポートフォリオが閲覧数自体が顕著に減っている
    - 週1でポツンとログが残っているぐらい

Forkwell:
- 週1回ぐらいのペースでしかスカウトが来なくなった
- 雇用形態に正社員も含めると隔日に1回ぐらいのペースには戻った(※ ここでの頻度は"いいね"ではなくスカウトの数が基準だがコピペスカウトもカウントしての頻度)

行った施策は以下の通りです
- 転職ステータスを更新する(すぐ転職したいみたいな緊急度が一番高いものにする)
- 職務経歴書を最新にする
- 正社員も選択肢に入れる

1つずつ試しましたが、いずれも効果がなかったので以前は新規登録ボーナスみたいなので露出度が高まっていたのかなと推測しています。
また、もしかしたら時期なども関係しているかもしれません。

各人で経歴やスキルも違うので、みんながみんな同じことになるとは思いませんが、自分のように2匹目のどじょうを狙いに行ったら意図しない結果になる場合もあるかもしれません。
なので、参考までに掲載しました。

以上、この記事を読んでくださっている皆さんの案件探しがうまくいくことを願って追記を終えます。

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