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VTuberのライブで正月色々考えた話

・まずこの記事は、僕の主観の意見です。
・ライブのネタバレ少しあります。ただ詳しくは書いていません。

12月30日。

ホテルで朝カレーを食べたはずなのに。

もうお腹が空き始めたお昼時。

僕は東京のJR立川駅を降りた。

立川駅があるのは立川市。

東京は23区じゃなくてもこんなに高いビルがたくさんあるんやな。と。

首を上に振った。

と、いうのは…。

文の書き出しを作りたかった僕の嘘。

実は22~28歳まで東京で働いていた僕は、
立川駅には何度か来たことがあり、
本当は「久しぶりだな。」という感覚だ。

ただ、立川に特にイメージはない。

今、福岡で生活をしている僕がそんな立川、そして東京に来た理由。

それは、推しに会うためだ。

….

「会う」は違うな。「見る」が正しい表現かもしれない。

「その」推しを見るために推しがライブを行う会場…オタク用語で言う「現場」へと向かった。

ライブ会場へは歩いて約5分。

駅の賑やかな雰囲気から郊外のオシャレなストリートに辿り着いた。

洒落たオープンテラスのカフェ、雑貨屋、オフィス。
そして見たことがない犬種の犬を連れているマダムもいた。

「都心から離れて丁寧な暮らし1月号」の表紙のような空間だ。

その空間を早歩きしていると「推し」がいる現場に着いた。

ここは立川ステージガーデン。

全身ガラス張りの会場。
その前には数字だらけの謎のモニュメント。

※ライブ時の画像ではありません。

この数字にはどんな意味があるんだろう…。
と、気にはなったが調べるほどの意欲は唆られなかった。

会場の周りには既にファンであろう方達の姿があった。

僕が逃げるように通ったストリートのオーラが緑色なら会場前はオレンジ。

それは熱気なのか、高揚なのか、わからないがそんな風に見えた。
と、いうか勝手にそう感じた。

無論、僕はオーラなんて見えないけど。

前段が長くなりすぎるのは僕の悪い癖。

僕が福岡から4時間かけて見に、そして会いに来た「推し」は

VRアイドル「えのぐ」という「3人組」のアイドルグループだ。

彼女たちは所謂、バーチャルの世界で活動するアイドルグループで

今やその数2万を超えると言われる日本のトップカルチャーVTuberの世界にいる。

次元を超えたアイドル。

僕がその「えのぐ」を知ったのは2020年の春。

僕は福岡でテレビディレクターをしていて、

世間は圧倒的な新型コロナ禍。

外で収録ができない、そう思った時にYouTubeで知った
"VTuber"を紹介する企画なら室内で収録ができるとVTuberの企画書を書いた。
※VTuberの企画を始めたきっかけの詳細はこちら。

僕が書いたA4用紙1枚の企画書「女性VTuber特集」

その中にはアイドルグループがあり代表として記したのが「えのぐ」だった。

えのぐは4人組のVRアイドル。

彼女たちを知らない人はこちらを見てほしい。

ファンなら知っている、彼女たちの誕生秘話。

元々ASAYANやAKBグループなど、

アイドルの“成長”を見ていくのが好きだったアイドルオタクの僕にとって

”えのぐ”を好きになったきっかけのひとつでもあったが、

それよりも、一生懸命パフォーマンスをしている姿や、
画面から見える底抜けの明るさに虜になった。

去年のヒットソングの歌詞を少し借りるなら、

誰もが目を奪われていく。
君は完璧で究極のアイドル。

ファンにとって推しは、生きる上での「必須栄養素」。
今度は「SNS」で見つけた言葉を借りた。

僕にとってはまさにそれで。

通勤・仕事の休憩中など時間があればえのぐで「栄養素」を補給している。

それはレッドブルやモンスタ−では摂取できない。

自分の「表情を明るくしてくれる」栄養素だ。

そんなえのぐから栄養素を摂取しようと、

年に1度こうやって福岡から東京へやってくる。

HPのゲージは赤線。

マサラタウンのコラッタですら、
その時の僕を倒すことができたであろう。

なので、この現場でHPを満タンにする。

そうやってこの年末のライブに参加するのは3年連続。

甲子園なら常連校だ。

ちょっと新規じゃないよアピールはしたが、

アイドルのファンには「新規」「古参」なんていう、
ファンのカーストを表す呼称があるが、

僕はその言葉が大嫌いで。

アイドルを推すのに、上も下も、年齢も、性別も、
はたまた次元も関係ないと思っている。

ちょっと話は脱線したが、
会場にはえのぐの姿を見ようと
えのぐのファン「えのぐみ」がたくさんいた。

中には知っている顔もチラホラ。

事前に買ったライブTシャツを来ている人、

特注で作ったという、推しの法被に袖を通す人、

痛バ(痛バック)=推しのグッズをバックに沢山詰めている人、

オリジナルの名刺を配っている人、

特にグッズを付けていない人、

寝不足なのか眠たそうにしている人、

一つのグループの中に様々なファンがいる。

会場前で人間観察をするのも、僕の楽しみのひとつである。

会場の近くにいると「きのうはお疲れ様でした!」と、
声をかけられた。

実はライブの前日に1人のえのぐみさんと飲みに行っていた。

お酒のアテは勿論「えのぐ」の話題だった。

彼はえのぐのライブには殆ど通っているほどの方で、

僕が知らないえのぐの話をたくさんしてくれた。

その飲み会であまりにも熱くなって、
ちょっと泣きそうになり、目頭をおしぼりでふいていたのを
僕はウーロンハイを飲みながら見逃さなかった。

これは書こうか迷ったが、
えのぐへの推し活にそこまで力を入れている人がいる。
ってことを分かってもらいたかったので書いちゃった。

当人は分かっていると思う。(ごめんなさい)

そんな彼も、他のえのぐみも、そして僕も
今年の年末のライブは意気込みが違う。

なぜかというと、彼女たちが7年所属している事務所
「岩本町芸能社」が2024年3月をもって廃業するからだ。

つまりえのぐが「岩本町芸能社」所属のアイドルとして行う
大型のライブが今回で最後なのだ。

事務所がなくなるからといって、
彼女たちの活動スタイルが大きく変わるとは思えないが、

「岩本町芸能社」所属のアイドルとしては僕が生で
彼女たちのライブを観られるのは恐らく最後。

地方出身のえのぐみも恐らくそうだろう。

彼女たちの新たな門出を祝うためのライブでもある。

なので会場前のオーラはオレンジだったのかもしれない。

僕も早くオーラをオレンジするために、

物販コーナーへ行き、ライブTシャツとタオルを購入した。

既にコートの下には去年のライブTシャツを着ていたが、
その上にさらに重ね着した。

2枚重ね着するとちょっと強くなれそうな気がしたからだ。



あっという間に開演時間になり、

僕はチケットの席番号を確認しながら所定の位置へとついた。

これまで2回のライブは運が良くなく、遠い席だったが
今回は6番という所謂、神席だった。

モニターにえのぐが投影され、その下でバンド・DJ・ダンサーがパフォーマンスを行っていた。

「めっちゃ近くやん!」と思ったのと同時に、
僕はライブに頻繁に行けてないし、仕事柄配信も細かくチェックできていないので…

他のファンから「こいつコール全然してないやんけ」と

思われたらどうしようと不安になりカフェオレをカブ飲みした。



正直に話すと会場を見渡してみると空席がチラホラあった。

これは一昨年、去年もだった。

彼女たちのこの数年を否定するつもりなんて毛頭もないが、

これもVTuberの認知度があまりまだ一般値されていないんだな…
というのも悟った。

まあそれはこれからライブを楽しむ僕にとっては
あまり重要ではない。

今回のライブのタイトルは「ONE DAY MORE」
僕はこの「ONE DAY MORE」の意味を知っていた。

「ONE DAY MORE」は「レ・ミゼラブル」第一幕の
フィナーレを飾るドラマチックな歌だ。

この歌は登場人物それぞれが、明日をどう生きるか思いを馳せる曲で、

えのぐの3人もそれぞれ、思いを込めてライブに挑むために、
「ONE DAY MORE」とつけたのではと
ライブ前に勝手に考察をしていた。

タイトルに込めた意味はライブ中にメンバーの鈴木あんずさんから説明があった。

まだアーカイブを楽しみにしている人のために、ネタバレは避けます。

↓アーカイブ

ライブ開始のアナウンスがなると…

会場のえのぐみたちの声援がなる。

前にえのぐみのにインタビューがした時に

えのぐライブは「運動」「戦い」でもあると言っていた。

この声援は戦い始まりでもある。と僕も続けて
声を上げた。

生バンドの演奏が始まるとさらに会場のボルテージはMAXになり、

続けて、お揃いの白の衣装を着たダンサーが登場しパフォーマンス。

このダンサーは去年のライブにはいなかったはず。

まさにバーチャルとリアルがミックスされた次世代のライブスタイルだ。

続けて大きなビジョンに「VRアイドルえのぐ」の姿が映った。

ファーストパフォーマンスは「星は三度瞬く」

僕がえのぐで1番大好きな曲だ。

特にサビの部分が彼女たちの活動を表現している?ところ大好きで、
毎日のように聴いている。

よくあるVTuberのライブは音源を流し
モニターでパフォーマンスをするのが主流だけど。

えのぐの単独ライブは生バンドの演奏でパフォーマンスを行う。

これが主流。

これがえのぐ流。

勿論彼女たちのパフォーマンスは録画ではない。

えのぐのライブは1度見たらハマってしまう要素がとにかく多い。

下記は過去に僕が書いたえのぐをハマった要素。

1:収録ではない生パフォーマンス

2:歌う曲の演奏が生バンド
※ステージには演奏者・その上のビジョンにはVRアイドル。
 普通のアイドルでは見られない空間

3:VRアイドルによるバンド紹介。
※ステージにいるバンドをその上のビジョンにいるVRアイドルが自己紹介。
「上からマリコ」じゃないが、「上からえのぐ」バンド紹介。
最初見たときはその異様な空間に笑ってしまった。

4:パフォーマンス能力
そもそもどういう技術で遅延がなく
リアルタイムでパフォーマンスをしているのだろう…。

素人目でもわかるキレあるダンスは勿論。
特に驚きなのが歌唱力。

これまで色々なVTuberのライブを見てきたが、
正直、初めて聴く曲の場合、何と歌っているのかが
わからないVTuberが多かった。

曲調にもよるとは思うが、えのぐの3人は初めて聴く曲でも、
なんと歌っているのかが、明瞭だ。

それは3人の歌唱力が高いからだと思う。

僕は音符も読めないほど音楽知識がないので、
参考にはならないが、彼女たちのパフォーマンス能力は高いはずだ。

2回目になるが、ライブの詳細はネタバレのために詳しくは書きません。

そんな中でもどうしても伝えたいのが、

僕がえのぐのライブで1番グッと拳を
握りしめるのが彼女たちのMCだ。

水色の衣装、鈴木あんずさんからは一昨年、去年のライブでも
宣言したあの言葉が発せられた。

「私たちは世界一のVRアイドルになります!」と…。

この目標は常々彼女たちが口にしている。

来年から新会社を設立する彼女たちにとっては
その目標がさらに困難になるだろう。

「困難になる」と書いたばかりだが、

えのぐにとって「世界一のVRアイドル」とは、

「どうなったら世界一になるのか?」

と、常々僕は考えているが正直わからない。

それは彼女たちだけが知る「ONE DAY MORE」の先にあるのだろう。

僕もその「世界一のVRアイドル」の景色を見て見たい。

と…

そんな事をライブのフィナーレ中に考えていると

ダンサーが投げた水色のボールが手に収まった。

見てみると、そんな決意を発した
鈴木さんのサインボールだった。


別に今年1年、徳を積んだわけじゃないけど、
1年働きまくった自分へのご褒美だと自問し
タオルに包んだ。

えのぐのライブは残りわずかだった、僕のHPを今年も満タンにしてくれた。

VTuberはその数が2万を超え、歌・トーク・動画・学術系、

そして最近ではリアルの姿を出して活動をするVも少なくない。

2024年は益々、群雄割拠の年になるだろう。

僕はVTuberの企画を作る、内側の人間ではあるが、

「えのぐ」の活動は「えのぐみ」として
できる限り応援していきたいと思う。

3色のえのぐからもらった栄養素を少しでも
還元できるように。

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話は少し脱線するが、

大晦日、僕はホテルのフリースペースで
紅白歌合戦を見ていた。

そこで目に入ったのは
キャンディーズ結成50周年を祝して
パフォーマンスをしていた

「伊藤蘭」さんの姿だ。

この彼女のパフォーマンスを全力で応援している人たちは、

自分の父親と変わらない世代の人たちだ。

このおじさんたちは「親衛隊」というキャンディーズ、そして伊藤蘭さんのファンだ。

「親衛隊」「ドルオタ」「推し活」など

時代を超えてファンの呼称は変わり、

手に持つグッズが「紙テープ」が「ペンライト」に変わる。

そして熱狂的に伊藤さんを応援するファンの姿は、

僕がその1日前に見た「えのぐみ」の姿と変わらなかった。

時代が変われど、アイドルがリアルからバーチャルに変われど、

ステージにいる「推し」を応援する姿は

一切変わらないんだな。

と思うと、目頭が熱くなった。

伊藤蘭さんは相棒シリーズで知られる水谷豊さんの妻で
若手俳優として活躍が著しい趣里さんの母。

親衛隊の皆さんは伊藤さんが結婚して子供を産んで、
子育てをして、歌手としても人生全てを含めて応援していると思うと、

僕はこの親衛隊の有志を「アイドルオタク」として見届ける義務があった。

また伊藤蘭さんはカメラ目線を送ることなく、
親衛隊に向けてパフォーマンスをしていたように僕は見えた。

そこは、えのぐにも通ずる部分はあったと僕は思う。

「アイドル」も時代を超えて、次元を超えても、
推しへ向けてパフォーマンスをする姿は変わらない。

そして。

きのう、2024年1月1日。

能登半島で震度7の地震が発生。

約50人が亡くなり、避難をしなければならない人が多くいる。

僕は2011年の3月11日に起きた東日本大震災の
1年後、2012年の3月に上京した。

担当が情報番組だったので、
2月下旬になると、毎年被災地へ取材に行っていた。

そこで、岩手県の釜石市で取材したおばあちゃんが、言っていた言葉が未だに忘れられない。

それは、

「避難所生活で心の支えになっていたのが、
氷川きよしさんのCDを聴くこと。」

おばあさんは推しの歌声に救われたと話していた。

今、アイドルもVTuberもイベントや配信を中断しなければ
状況下にあるけれども、

推しの声や姿でその辛さが軽減されることもある。

「日常がすぐに戻りますように」なんて、
安易には言えないけれど。

「推し」や「エンタメ」で救われる人もいる。

僕は表現者にはそんな人のためにも
活動を再開してほしいと切に願う。





最後に。

えのぐのライブ中、僕はライブTシャツを着ていた。

と、前述したが。

実は前と後ろ、ずっと反対に着ていた。

知らずに写真撮影なんてお願いしていた。

笑っているのが可哀想だ。

なぜ誰も指摘してくれなかった…。




長文・乱文失礼しました。



















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