見出し画像

総合格闘技のように、高度複雑になったビジネスを対応しよう

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論Ⅱ 最終回(2021.10.11)のゲストはデザインファームTakramのディレクター/ビジネスデザイナーである佐々木康裕さんです。

佐々木康裕について

佐々木さんは大学卒業後、伊藤忠商事で務め、イリノイ工科大学にデザイン大学院留学、いまTakramでディレクター/ビジネスデザイナーとして務めています。Takramは領域と専門を越境することによって、新たな価値を様々に創造しています。

そして、2019年3月には、スローメディアLobsterrを共同創業。Lobsterrは、ニュースレター、ポッドキャスト、書籍、イベント、グッズなど、さまざまな伝え方の実験を行いながら、これからのビジネスやカルチャーについて考えて発信するメディアプラットフォームです。

他には、“ビジョナリーブランディング“を行うPARADEの取締役、ベンチャーキャピタルMiraiseの投資家メンター、グロービス経営大学院の客員講師(デザイン経営)など多くの職を務められており、非常に活躍しているようです。

ちなみに、最近本専攻の教授岩嵜博論先生と書籍『パーパス 「意義化」する経済とその先』を共著で出版して、「利益の追求」と「社会を良くする」を両立させる新しいビジネスの形についての紹介と議論を含めた本なので、興味のある方もぜひ。

高度複雑な世界を直面すべき

佐々木さんは留学しているときID(Institute of Design)での学びを共有していただいて、VUCA(予測不可能な)時代の新規事業創出についての話を気になりました。

VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を並べたアクロニム。ビジネスの現場においても、テクノロジーの進歩は急速であり予測は困難、世界の市場は不確実性や不透明性を増した状況となっており、不安定なビジネスの状況を表すのにVUCAが用いられるようになってきた。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

VUCA時代で主に「Puzzle」と「Mystery」2つの種類があって、「Puzzle」は論理思考、資源投入で解決可能、答えがあるということを示し、それに対して、「Mystery」はシステム思考・デザイン思考、プロトタイピング、答えがないということを示します。

実はVUCAだけでなく、デザイン理論家のHorst Rittel氏とMelvin Webber氏が提唱した厄介な問題(Wicked Problem)も現代社会にある一つの問題で、よく言われています。厄介な問題は、曖昧な問題で、解決策が明確ではなく、創造的思考や非慣習的戦略がないと解決できないという。

厄介な世界に対する解決策とは?

世界は急速に複雑になってきて、どうすれば解決可能になりますか?このような劇的な環境変化を直面するために、2つのことが必要と語りました:

1.超・多様性
デザイン思考や論理思考その他を有機的に組み合わせた新しいアプローチが必要
2.創造性非依存の再現性あるアプローチ
創造性やインスピレーションに依存せず、高い再現可能性を持った規律的プロセスとして新規事業創出を行う

これはまさに時代に対して必要な力であり、思い出したのは今年のノーベル物理学賞の受賞者真鍋淑郎さんたちは、複雑系を研究して、地球温暖化についての問題を世界に先駆けて発表して、これから複雑系の研究と応用を多くの領域により重要になるではないかと考えています。

佐々木さんはこれに対して、「創造性非依存型のスタイル」「360度型ビジネス」という2つの解決方向を紹介していただいて、360度型ビジネスに興味を持っています。

簡単に言うと、360度型ビジネスは単なる「Hardware」でなく、「Electronics」「Software」「Network」「Service」「Data」「AI」というほぼすべての領域を横断するビジネスという。例えばアップル、テスラ、ペロトンなど大手企業は、プロダクトだけでなく、メディア、デザイン、コンサルティングなど様々な領域での取り組みがあり、総合格闘技のように、どんな複雑な挑戦に対しても対応可能になります。

もちろん、こういう組織になる可能性が極めて低いが、視点を個体に縮めると、領域を横断して様々なスキルを身につけると、これからどんな厄介な挑戦にも対応できるようになると考えられます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?