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槇原敬之の歌詞はここがスゴい!

前々から誰かに話したかった「槇原敬之」の歌詞のスゴさ。
フレーズ単体もスゴいんだけど、一曲通して短編小説のような見事な構成になっているところに注目いただきたい!
久しぶりにマッキー聴いてテンションが上がってきたのでまとめます。

全曲網羅したいところですが、泣く泣く絞って最有力の候補をピックアップしました。
しかしそれでも数えてみたら全23曲…。アルバム2枚分…!?
さすがにまとめてやるのもアレなので、小出しにしながらまずは4曲ご紹介します。(動画リンクも貼るので実際に聴いてみてね!)

◆桃

抱きしめたいと言う言葉の意味とは裏腹に
不安や寂しさを君に押しつけようとしてたんだ
ここに来る途中に君の好きな桃を選びながら
救われることしか頭になかった最低な僕
高い場所に実を付けた桃に手が届くように
君を抱き上げることさえ思いつきもしなかった
高い場所に実を付けた桃に手が届かない君に
気付かないような僕の手は
柔らかいものを潰してしまう

「君」が喜ぶだろうと、桃を買う「僕」。
相手のことを思い遣っているように見えて、だけど本当は自分のことしか考えていなかった。本当に大切なのは「高い場所に実を付けた桃に手が届くように君を抱き上げることだった」ということに「僕」が気付くという歌詞です。

想う気持ちを「桃」に喩えているところがとても秀逸で、心というのは桃ぐらい繊細で、だからこそ丁寧に扱わないといけないのだと教えてくれます。

「君」の言葉をキッカケとして変わっていく「僕」。
高い場所に実を付けた桃に手が届くように、実際に「君」を抱き上げます。
そして最後の歌詞。

高い場所に実を付けた桃に手が届くように
君を抱き上げることが幸せだと僕は気づく
独り占めすればいいのに地面に足をつけた君は
一緒に食べようと笑うから
桃はもっともっと甘く香る

この締めくくり。
桃の甘さが本当に香ってくるような、強烈な余韻が残ります。

「君」の素敵さに、なかなか身につまされる曲です。


◆フルサト

日本郵便のCMソングにもなっていた曲。
故郷を遠く離れた「僕」が「君」に電話のお礼の手紙を書く、という歌詞。

とがった先の鉛筆じゃ だめな気がして
意味のない円を落書きして まるくしてかいた「ありがとう」
「気をつけて帰ってきてね」 電話の切り際に君が
くれた言葉がどんなに 嬉しかったか手紙を書いた

とがった鉛筆をまるくして「ありがとう」と書く、というこの出だしがスゴい。たったこれだけでその手紙に本当の気持ちを込めたいのだという、風景も心情も両方浮かんできてしまう。なんでもない動作やシーンを切り出しているのに、情感を強く感じさせるのが槇原敬之の歌詞の真骨頂です。

「僕」は「君」に手紙を書く中で、自分のことを想ってくれる「君」こそが帰るべきフルサトなのだと気付く。
それを踏まえて、最後の歌詞。

生まれた街も子供の頃も 何も知らなくても
昔から知ってるみたいに きっと誰もが想いあえる
フルサトと書いて切手を貼れば 君に届く気がしたよ
やっと見つけた 帰る場所は君の心の中

「フルサトと書いて切手を貼れば君に届く」という比喩表現がとても素敵。
思わず「手紙出すのもいいかも」と思えてしまうあたり、日本郵便のCMの思う壺です。

冒頭部分ないけどCM動画が良い感じなのでこれで!


◆夏は憶えている

夏の草をかき分けながら 川の石をどかしながら
何かを探す子供達に 夏は日を長くしてくれる
海も山もないこの街で 鞄と携帯で塞がった
両手じゃどんな季節にだって
手も振れないと思ってた

夏休みの思い出、情景が蘇るような曲。
「夏」を擬人化して、子供達の生き生きとした様子と、大人になった「僕」の対照的な暮らしが描かれます。
この「夏」の表現が絶妙で、「何かを探す子供のために日を長くしてくれる」という歌詞に込められた過ぎし日への憧憬が素晴らしい。

真っ赤に焼けた体を 夕立が急いでさます
刀鍛冶のように夏は 子供達を強くしてくれる

2番では「夏」が刀鍛冶に。こう言われると鬱陶しかったはずの夕立でさえ、かけがえのない夏の思い出として鮮やかに蘇ってくるのだから本当にスゴい。ここで泣きそうになりますw
そして最後の歌詞。

たとえどんな場所にいても 自分で探さなければ
何も見つけられない 僕が忘れていただけで
どの年にいた子供の顔も 夏は憶えている

大人になったとしても、どんなに忙しくてもどんな場所にいても、夏は変わらず自分のことを憶えてくれているのだから、自分で探せば「何か」が見つかるはずだ、という締めくくり。
夏休みが始まる頃に、この曲と大江千里の「夏の決心」を聴き直して、小学生に負けないぐらい夏を楽しみたいですねー。

スイカの赤い切り口が笑っているように見えたのは…


◆Red Nose Reindeer

クリスマスソング。遠距離恋愛をしている二人の久しぶりの再会ももう直ぐ終わり。別れ際の駅から曲が始まります。

入場券を買ってくるからそこでじっとしてろよ
強い言葉の割には何度もふりかえる
100円玉と少しじゃ君を見送れない気がして
販売機の前で一人ためいきをついた

「100円玉と少しじゃ君を見送れない気がして」という歌詞がすごく好き。
ものすごくトリッキーな表現なのに、ものすごく理解できる感じ。

Red Nose Reindeer
寒くもないのに鼻が赤い二人
しっかりしなくちゃ
君のサンタは僕なんだから

別れの涙を堪えようとして、鼻が赤くなった二人を「Red Nose Reindeer(赤鼻のトナカイ)」に喩えるサビ。
その後「僕」は家に帰り、「君」の残したメッセージに気付く。

いつもねころぶソファの隅にすわってるテディ・ベアに
いつの間にか君のコロンがつけてあった
自分はいつも側にいるよと伝えたかった君を
愛おしく思う僕も同じように伝えたい

そして帰途にある「君」に想いを馳せる。

WhiteNoseReindeer
どうかあの子を無事に届けておくれよ
明日もラッシュにもまれる
サンタのかわりに

2番のサビの「White Nose Reindeer(白鼻のトナカイ)」。
これは実は彼女が乗っている新幹線のこと。
白い鼻(とんがった先頭車両)を持つ新幹線=白鼻のトナカイに彼女を任せて自分はまた仕事に戻らないといけないサンタクロース。

いつかクリスマスも そして何でもない平凡な日々も
ずっと二人でいられるそうに…

という願いをクリスマスにかけて締めくくり。
赤鼻と白鼻のトナカイの比喩がとてもいい感じで、それに気付くと「おおっ!」となる隠れた名曲。
I wish you a Merry Christmas...!

カラオケ動画しかなかったけど上手かったので特別に…。槇原版も是非


◆本当はまだまだあるのです

ホントはあと2曲オススメの曲を紹介しようと思ったのですが、Youtubeに動画がなかったので今回は割愛しました…。
槇原の曲の中でもトップクラスに短編小説ばりのまとまりがある曲なので、また別途まとめようと思います。

・Name Of Love
片思いの名曲。恋心の胸の痛みに「君の名前」をつけて暮らしてみる、というユニークな歌詞が素敵。
「Name Of Love」が収録されているアルバム「Cicada」はコチラ。http://www.amazon.co.jp/Cicada-槇原敬之/dp/B00005G7HG

・君の書く僕の名前
片付けが苦手な書道の達人「君」と、さっぱり字は書けない掃除の神様「僕」の何でもない日常を描いた曲。
とにかくオチが秀逸。ライブで初めて聴いた時に戦慄しました。
「君の書く僕の名前」が収録されている最新アルバム「LOVABLE PEOPLE」はコチラ。
http://www.amazon.co.jp/Lovable-People-槇原敬之/dp/B00R0LSKRM/

というわけで、続きはまた追って!
Youtube以外の動画も貼れるといいんだけどと思いつつ、でもホントは公式の試聴とかに誘導できるのがベストなんですけどねぇ…。

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