人的資本経営における人材育成･課題別教育

課題別教育とは、企業や組織において特定の課題や問題を解決するために設計された教育やトレーニングプログラムのことです。これ、組織が直面する具体的な課題に焦点を当て、従業員がその課題を解決するためのスキルや知識を習得できるよう支援します。
 
課題別教育には、コミュニケーションスキル、リーダースキル、問題発見･問題解決スキル、チームビルディング、タイムマネジメント、コーチング、ロジカルシンキング、クリティカルシンキングなど多岐にわたります。
こういった多岐にわたる課題別教育を効果的に進めるには、大切なステップがあります。
 
課題別教育の主なステップ
課題を特定する
企業が直面する課題や問題を特定します。業績データの分析や従業員からの聞き取り、顧客の意見などがあります。
教育プログラムを設計する
特定した課題に対して、適切な教育プログラムを設計します。内容、方法、期間などを詳細に計画します。
実施
設計された教育プログラムを実施します。講師などが講座等の形式で指導し、社員が専門的なスキルを習得するよう進めます。近年では、演習や事例等を通じて、実際の課題解決に取り組む機会を増やしているところも多くあります。
評価とフィードバック、そして改善･向上
教育プログラムを実施した後には、その効果測定を行い、社員からのフィードバックなどを収集します。研修後のアンケートなどを実施する企業が多く見られます。これによって教育活動の成果を検証し、必要に応じて改善等を講じてブラッシュアップを図ります。このPDCAによって、企業全体のスキルアップを向上します。

課題別教育のメリット
課題別教育のメリットは、特定の課題に直結することから即効性が高く、短期間での効果が期待できます。
そして、実際の業務に関連するスキルを習得できることから、学んだ内容をすぐに業務に適用することができます。組織が直面する課題を教育テーマとすることで、その解決や業績･業務効率向上につなげることなどがあります。
課題別教育は、企業が直面する具体的な問題に対処するための効果的な手段です。従業員が実践的なスキルや知識を習得することで、企業全体のパフォーマンスが向上し、持続可能な成長を促進します。
 
階層別教育と課題別教育は、それぞれがまったく別のものではなく、目標を何に設定するかで異なってきます。
階層研修は、組織の階層ごとを対象にしたカリキュラムを設定します。例えば、各部の部長であれば共通して持っておくべきスキルを中心としたカリキュラムにします。課長や係長、主任、社員といった、階層ごとに設定します。
一方、課題別研修では、社内で発生している課題や、今後、重点的に強化したい分野などを目標に設定し、されに関わる社員を対象に課題を改善したり、重点強化したい要素を強化するために行います。

階層別教育と課題別教育をわかりやすくまとめると、下記のような体系になります。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
この図では、｢マネージャー｣｢サブマネージャー｣｢中堅社員｣｢若手社員｣が階層になります。そして、「ヒューマンスキル」｢マネジメントスキル(テクニカルスキル)｣｢コンセプチュアル(戦略)スキル｣が課題別教育の大きな分類になり、さらに｢ヒューマンスキル｣の中でも｢コミュニケーション｣｢リーダーシップ｣｢チームビルディング｣｢タイムマネジメント｣などが具体的な課題別教育のテーマとなります。例えば、｢マネージャー｣と｢サブマネージャー｣の｢ヒューマンスキル｣の中には｢モチベーションアップ｣や｢問題発見･問題解決｣などが共通のテーマとしてありますが、｢マネージャー｣と｢サブマネージャー｣の｢モチベーションアップ｣や｢問題発見･問題解決｣の内容は難易度が異なるということになります。