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人的資本経営におけるES調査(従業員満足度調査)

ES調査は、Employee Satisfaction(従業員満足度)の調査のことをいいます。企業や組織が社員の仕事に対する満足度や職場環境、業務内容、人間関係、福利厚生などに関する意見や感情を把握するために行う調査です。
近年のビジネス環境は、激しく目まぐるしく変化しています。激変するビジネス環境の下で強い組織をつくったり、強い組織体制を維持していくためには、社員の会社に対する帰属意識(愛着や思い入れ)が重要になり、その上で定着性を高めながら、チーム力を高め、人材育成を進めることがより強固な組織体制を整えることにつながります。
ES調査は、このような激変するビジネス環境の中において、強固な組織づくりを進めるために重要な取り組みです。
ES調査の主な目的には、下記のようなものがあります。
従業員がどのように感じているかを把握し、職場の問題点や改善点を特定したり、調査結果から職場環境や業務プロセスの改善を図ることができます。そして、社員の満足度が高ければ、仕事に対するモチベーションが上がり、生産性や業績の向上につながります。また、社員の満足度が高ければ、離職率が低くなり、優秀な人材の確保が可能になります。
一般的なES調査の方法には、アンケート調査やインタビュー、フォーカスグループディスカッションなどがあります。調査結果は分析され、経営陣や人事部門が施策を立案・実行するための貴重なデータになります。
 
ES調査の進め方
ES調査を効果的に進めるためには、以下のステップで進めることが重要です。
1. 目的の設定
まず、ES調査を実施する目的を明確にします。例えば、離職率の低下、従業員のモチベーション向上、職場環境の改善などです。
2. 調査項目の設計
目的に応じて調査項目を設計します。私たちが基本としている項目は、下記の6項目と全体満足度で図っています。
■動機付け要因
・仕事の達成感
・仕事そのものの満足感
・処遇の満足度、上司・同僚からの承認
■衛星要因
・職場の対人関係
・処遇(給与、賞与、ベネフィット)
・会社方針

・全般満足度

その他には、
キャリア成長の機会やワークライフバランスなどを含める場合などもあります。

動機付け要因とは、従業員が仕事に対して高いモチベーションを持ち、積極的に働くようになるための要因を指します。
衛生要因とは、仕事に対する不満を予防するための要因を指します。これらの要因が十分に満たされていない場合、従業員は強い不満を感じますが、満たされたからといって高いモチベーションを引き出すわけではありません。
この動機付け要因と衛生要因は、組織心理学の分野で著名な研究者であるフレデリック・ハーツ・バーグによって提唱された動機付け・衛生理論というもので、仕事における満足感と不満足感が異なる要因によって生じると説明され、従業員のモチベーション向上と職場の満足度を理解するための重要なフレームワークとして私たちも活用しています。

3. 調査方法の選定
次に調査手法を選定します。一般的には、アンケート調査、インタビュー、フォーカスグループディスカッションなどが用いられます。アンケート調査は多くの従業員から広範なデータを収集するのに適しています。
近年では、社員の正直な気持ち・声を聞き取ることに重点を置いて、無記名のオンラインアンケートなども活用されています。
4. 調査の実施
選定した調査方法に基づいて、実際に調査を実施します。オンラインアンケートを使用すると、効率的にデータを収集できます。
5. データの分析
収集したデータを分析し、結果を整理・分析します。統計的な手法を用いることで、傾向や問題点を明らかにすることができます。
この場合、定量データで傾向分析をするとともに定量データで傾向の原因となっていることまで洗い出すことがポイントです。定量データと定性データから、社内の現状把握をして、今後の対策の立案がしやすくなります。
6. 結果のフィードバック
調査結果を社員にフィードバックします。透明性を保つことで、社員の信頼を得ることができます。
7. 対策の立案・実行
調査結果を基に、具体的な対策を立案して実行します。大きくは、制度と施策の改善や創設などになります。例えば、職場環境の改善や研修トレーニングプログラムの導入・変更などです。
8. 継続的なモニタリング
改善策が効果を発揮しているかどうかを継続的にモニタリングします。必要に応じて再度調査を行い、フィードバックを受けてさらなる改善を図ります。
ES調査は、一度、実施すれば、改善や向上が完璧にできるというものではなく、その結果から改善や向上対策を実施して、その結果を検証して、再度、ES調査を実施して、社員の満足度が向上しているかを検証しながら継続的に進めていくことが重要です。

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