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夫との距離

先日、ポストに届いていた郵便物の中に
消費者金融が差出人になっているものが入っていた。

それから数日後、
今度は我が家では利用していない銀行が差出人の
郵便物が届いた。

胸がザワザワした。

夫は、基本的に何かを人に相談しない。
問題が起きていても、自分の中だけで解決しようとする。

数年前、私がたまたま実家に帰っていた時には、
夫は酷く体調を崩していたのに、電話もよこさず、
夜明け前、救急車の救急隊員から私に電話が来て
初めて夫が体調を崩していた事を知るなんて事もあった。

私は、一体あなたの何なのか?

と落ち込んだ事もある。

そして、またこのハガキ。

大丈夫?
と言ってみたけど、
あ〜。
と一言言ってから、すぐにハガキをどこかに
隠してしまった。

夫との距離感が、難しい。

結婚していても、お互い国籍は同じでも、
彼は彼のルーツを持ち、彼の人生を送り、
私は私のルーツを持ち、私の人生を送る。

当たり前なのだけど、
ついつい介入したくなってしまう。

かつてニューヨークを旅した時の事を思い出す。
当時は、まだサラダボールなんて言い方はなくて、
人種の坩堝と言われていた。
そんな素敵な世界なら見てみたい。
と胸を膨らませて、
夜行のグレイハウンドバスに乗って、NYに向かった。

でも、グレイハウンドには、いわゆる白人層は
ほとんど乗っていなかった。
黒人かアジア系ばかり。
私のイメージしていた坩堝なら、
あらゆる人種が乗っているはずだった。
ちょっと違和感を感じた。

ニューヨークに着いて、何日か旅をして
色んな場所へ行っているうちに、
坩堝ではない気がすると思い始めた。

ここでは、
自分が心地よく住めるように住み分けていて、
そして必要以上に他人の生活範囲に
介入しない。

他人に無理に合わせて行くのではなく、
自分のルーツをもったまま、
他のルーツを持った人たちも否定せず、
住み分ける。

でも、お互いの行き来は自由。

という住まい方。

坩堝なんていう「みんな仲良し!」みたいな
夢世界じゃなくて、
現実的にうまい距離感を作っている街が
すごいと感じた。

さて、
NYでは私はただの訪問者だったから、そんな気持ちにもなれたが
今、ここ、私の家の中は、生活している場所。
そんなに客観視できない。
住み分け方がわからない。

もう一度ニューヨークに行きたい。
あの後、あの街はどのようになっているのか。
人はどうやって住まっているのか。

勉強しに行きたい。






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