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「いい人」をやめてみる

よく使われる言葉

「いい人」、よく使われる言葉だ。

「あそこの部長、見た目はとっつきにくい感じだけど、根はいい人だから安心して」
「あの人、いい人なんだけど、お酒が入ると変わるんだよね」

いろいろな場面で使われている。


「とっつきにくい感じだけど、根はいい人だから・・・・」
例えば、新入社員が初めて得意先を訪問するとき、先輩社員や上司が、こんなこと言いそうだ。

「あの人、いい人なんだけど、お酒が入ると変わるんだよね」
普段は、真面目だったり無口だったりする人が、酒を飲むと人格が豹変するパターン。これは結構怖い。

こう考えてみると、「いい人」とは「自分やその周囲にとって」有利や有益な人という風に使われているようだ。
決して、その人の「いい人具合」を評価しているわけではない。

確かに、自分を苦しめる人のことは、いい人とは言わない。

ということは、「いい人」と呼ばれるその人は、相手にとって有利だったり、有益なことをもたらす存在だということになる。
自分ではなく、相手にとって有利な存在。
それが、日常の会話で飛び交っている「いい人」ということになりそうだ。

 

誰とでも仲良くしましょう。

幼稚園や小学校低学年の頃、そう言われたことはないだろうか。
僕は、よく言われた気がする。
よほど、人の好き嫌いがはっきりしていたのかもしれない。

しかし、これは幼稚園や小学校低学年の頃に、必要だったことだ。

オギャアと産まれて、親を最初に知る。
そして、家族を知る。
親戚や隣のおばさんを知る。
みんな可愛がってくれる。

そんな環境から、いきなり外に出ると、これは混乱するに決まっている。
家族はもとより、となりのおばさんまで、ただひたすら可愛がってくれていた楽園から、ジャングルに飛び込んだようなものだ。

ジャングルには、猛獣がたくさんいる。
先生は可愛がってくれるかもしれないが、子供どうしの世界では、いじわるをする者もいる。
向こうが好きで寄ってきても、こちらが気に入らない人もいる。

でも、成長して大人になれば、もっともっと多くの人たちと出会い、もまれて生きていくことになる。
そのときに必要になるから、今から「みんなと仲良くしなさい」と先生は言っていたのだ。
それは、もちろん正しい教育だ。
その時点では。


大人になって。

学校を卒業して、社会に出る。
若かったあなたも、だんだん齢を重ねていく。
多くの人と出会い、喜び、嫌悪し、楽しみ、涙を流して、時を重ねていく。

幼稚園の先生が言っていた「みんなと仲良くしなさい」は
「世の中にはいろいろな人がいるのだ」ということを学ぶためだった。
しかし今のあなたは、既にそれを嫌というほどわかっているはずだ。

にもかかわらず、心の中には「みんなと仲良くしなさい」が、まだ残っている。
いや、残っているというより、幼稚園の先生の教えが、ひとりでに進化しているのかもしれない。

「この人とつきあっておくと、後々役に立つはずだ」
「あまり気が向かないけれど、仕事をとるためには、そこの部長と上手くやっていかなくてはいけない」

多くの人がいるということに備えるためだったものが、いつの間にか、処世術に変わっている。

そして、それがあたかもデフォルトであったかのようにふるまっている。

しかし、アタマで功利的に判断してふるまっているものの、心はそうはいかない。
・・・いやーほんとはそうじゃないんだけど・・・
そういう心の声は、まったく聞こえなくなっている。
アタマで考え出した習慣が、心にフタしているようだ。

そして、それがストレスとなって澱のように蓄積されていく。
気づいた時には、メンタルが・・・ということにもなりかねない。

そう考えていくと、いい人でいることは、今やリスクを生み出していることにもなりうる。


「いい人」でいることをやめよう。

他人にとって有益な「いい人」は、もうやめよう。
優秀な人になるため頑張るのことも手放そう。
他人を意識して行動するのではなく、もっと自分にフォーカスしよう。

悪い人になろうというわけではない。
自分の人生を中心に置こう、ということだ。

自分が今すべきことは何なのか、よくよく考えてみよう。
あなたがすべきこと、実はあなたはもう知っているはずだ。


それを阻害するような人からは、静かに遠ざかろう。
なにも、喧嘩別れをしろというわけではない。
ただ、静かに遠ざかるだけだ。
波風も立たない程度に、ただ静かに。


そして、自分が快適に感じる人と共に行動しよう。
快適に感じるというのは、自分が成長することを感じることができる相手ということ。
快適でいることで、心は自由を得て、自分の魅力は磨かれる。


他人にとっての「いい人」は、今の自分を否定しているということ。
もっと、自分にとっての「いい人」でいよう。

https://www.bells-tokyo.net


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