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治験に参加してみた❷入院〜事後検診

▶︎こちらのブログの続きです

いよいよ迎えた治験入院当日。
ここからは入院〜事後検診までの流れと様子を紹介していきます。(投薬したお薬の詳細など治験内容が特定されるような記述は避けます。)

❶入院
入院当日、施設に入室してからPCR検査があり、その後持ち物検査がありました。
治験結果に影響を及ぼす可能性のある化粧品やサプリ、食材などは全て没収されました。(後述します)

次に事前検診と同じ検査項目での検査がありました。

投薬前日と当日のデータを見て、最終的な被験者を決定するそうで、予定されている被験者数+2名(補欠)が入院していました。その日は検査以外は特に何もありませんでした。

そして治験投薬当日。
朝に再度バイタルサインズや採血などを行いました。
投薬日当日に投薬者が選定されるので、ここで脱落したら帰宅コースです。

なんだかイカゲームのようなサバイバル感。
数名の方が投薬対象から外れ、ここで帰宅となりました。

私を含め被験者に選ばれた人たちは治験の手順に沿って投薬が開始されます。
当日は何度も採血をするため、あらかじめ血管のルートを確保してプラスティック針を腕の静脈に留置していました。(通常の入院時も行うことが殆どです。)
投薬後のスケジュールは基本的に被験者全員一緒なのですが、投薬順によって各検査時間や配食の順番などが決まっていました。

次に例を示します。

❷入院中の1日の流れ

(例)
9時ごろ〜 採血/心電図/バイタルサイン測定/検尿(血圧など)
11時 朝食
13時 昼食/レクリエーション
16時 夕食
21時 イブニングミール
23時 消灯

採血は基本的に毎朝行われていました。
投薬当日は採血回数が多いためルートをキープしていましたが、その日の夜には留置針は抜針し、翌日からは朝の採血は毎回腕を差し出して針を刺し、採血をするという形でした。
心電図やバイタルサイン測定、検尿などは毎日ではなく、決まった日に行われました。

毎日のスケジュールとして決まっていたものは採血などの検査の時間や配食時間のみで、指定のスケジュールがない時間帯は全て自由時間でした。
投薬順に分刻みでスケジュールが管理されているため、例えば食事の時間なども最初の投薬者と最後の投薬者では30分以上違うこともありました。

◎自由時間にできること
■トイレ‥
 蓄尿や指定時間での検尿をしている他治験グループの人もいたことから、トイレは自由にはいけませんでした。ナースステーションでお手洗いに行く旨を伝えて、バスルーム(トイレ/シャワー/洗面)のロックを解錠してもらって行く、という形でした。
■シャワー‥
 トイレとシャワールームは同じ部屋内だったので、上記ルールでステーション内にいるスタッフにロックを解錠してもらい、バスルームに入るという形でした。
■外出‥
 出来ません。しかし天気が良ければ決まった時間に中庭に出て活動することが許可されていました。
■レクリエーション‥
 施設内にはボードゲームやテレビ、ビリヤード台などが置いてあるレクリエーションルームがあり、日中は自由に使用出来ました。とはいえ私の時は他の治験グループの方(男性)が多く利用されていたので殆ど中で過ごすことはありませんでした。
■間食‥
 出来ません。
入院時に食べ物を持ってきた場合はその場で破棄するか、必要書類を書いた上で退院まで預けなければなりませんでした。
■電話‥
 同意書上では情報漏洩の可能性があるため外部との連絡(電話)はNGでした。が、外国人参加者の方はよくコリドーに出て家族や友人と電話していました。笑
■SNS/インターネット・・
 電波も問題なく、無料Wifiも提供されていました。ネットでできることはほぼ全て行えましたが、Wifi環境下ではオンラインカジノやアダルトサイトなどは入れないようでした。また回線はそこまで強くなかったです。

❸退院
退院時は、事前検査と同様の項目で検査/診察があり、特に問題がなければ晴れて娑婆の世界へ。
退院後の事後検診までは、引き続き飲酒や生活行動の制限を遵守した生活を送ります。
この時、入院時に没収されたものの返却などがありました。

❹事後検診(退院2日後)
入院施設へ出向き、検診がありました。
内容は検尿、採血、心電図、バイタル測定と、事前検診や入院中の検査の内容と一致したものでした。また、退院後変わったことや体調はどうかと簡単な問診を受けました。
朝9時ごろ集合してお昼前には全員解散しました。

❺電話問診(退院約1週間後/3週間後)
ビデオ通話を繋ぎ、施設スタッフとの問診がありました。
内容は退院後に何か症状が出ていないかという確認でした。
また女性は別日に再度電話問診があり、妊娠検査薬の結果を報告しました。(自己検査キットを用いて妊娠検査をすることが指示されていました)
これで指定の予定は全て終了し、報酬を待つだけになりました。

❻報酬Get!
入金予定日以内に報酬が入金されていないというとんでもないハプニングが起き爆ギレさせていただきましたが、無事に報酬をゲットし、これにて治験は終了となりました。

★実際に参加してみて

◎拘束時間が長すぎる
入院期間だけでなく、事前検診から事後検診まで“被験者として選ばれる前提”で予定を抑えておかなければならないこと、予定を抑えていても被験者に選ばれなければ組んでいた予定はパーになることを考えると、かなり時間の制約がかかるなというのが率直な感想です。
フルタイムで仕事をしている人にとっては結構厳しいのかもしれません。またUK外から参加する方は航空券の手配等ギリギリになるまで準備出来ず、被験者に選ばれなければ報酬も貰えない(または減額)となるので『お金がもらえる!』と息を巻いていても実はそんなこともなかった、と期待を裏切られる可能性も十分にあります。
また検診や電話問診なども、内容自体はすぐ終わる内容でも待ち時間がとにかく長くて、“電話を待ってたら1時間経った“なんてことも。
正直にいうと、タイムパフォーマンスは悪いと思います。

◎日本食が驚くほど美味しくなかった
入院中は“被験者の文化に限りなく近い食生活を送る“というのは食事の内容が検査結果に影響が出たり、バイアスにならないようにという目的もあるんです。
今回の治験でも『なんと!日本食が出ます!!』と大々的に謳っていたので期待していたのですが、お世辞にも美味しいとは言えない謎の料理が連日出てきて、本当に辛かったです。
“名もなき謎の日本料理(アジア料理?)にタイトルを付ける“というのが被験者たちの唯一の楽しみでした※。笑

治験会社や治験案件によっては、Wasoさんと提携していたり本格的な日本食が食べられるみたいです◎

※後に改善されたそうです◎よかった‥◎

◎意志が強くないと廃人のようになる。笑
先に書いたように、検査時間や食事時間以外はほぼ自由時間。
何をしても良いので本やタブレット、ゲーム、PCなどを持ってきて好きに過ごすことができるのですが、「ベッド上で連日過ごす辛さ」が襲ってきました。
携帯を触ってYouTubeを見て寝てご飯食べて‥を繰り返せば1日が終わるし、タスクがなければ人間は本当にすぐにダメになるな、と身をもって実感しました。
私はストレッチポールを持って行っていたのですがこれが意外と大正解。
天気の良い日は中庭で散歩が出来ますが、お天気に恵まれない日は運動時間が格段に減るので、ベッド上でヨガをしたりストレッチをしたりして過ごしました。

それでも、普段に比べて動かないしダラダラとしすぎて、退院後驚くほど体力がなくなっていました。

◎入院当日に没収になったもの
前述したように「食材や食品」の持ち込みは一切禁じられ、破棄か退院まで一時預かりとなりました。持ち物検査の際はスーツケースの小さいポケットから化粧ポーチの中身まで本当に隅々チェックされるのですが、他に“身体に影響が出るもの“が持ち込み不可となっていました。
その中で「なるほど、これもダメか」と思ったものがありました。

それはズバリ、化粧品やスキンケア用品です。

旅行用の小分け容器に入ったものや日本製のもの
はスタッフが成分を把握できないためNG、アルコールやビタミン製剤が確認できるものもNG、あとは“日に当たることもそうそうない“ため日焼け止めも没収でした。笑
ただでさえ乾燥しやすい病院内でいつも使っているスキンケアが没収されるのはお肌に気を遣っている方にとっては死活問題ですよね。また、レチノールやビタミンCが入った化粧水/クリームは最近増えてきているので要注意です。

◎病院のスタッフはとても親切!
治験は生体臨床試験なので厳密な管理が必要です。入院前から入院中、入院後までとにかく色々な制限があるし入院自体も初めてで戸惑うことも多かったですが、病院のスタッフの方のホスピタリティはとても高く、いつも明るく優しく丁寧に看護/診察してくださいました。
個人的には、業務中のピアスやアクセサリーや髪型が自由なのと、歌ったり同僚や患者とおしゃべりしながら過ごすあの独特な雰囲気は日本の臨床現場では絶対に味わえないことなので、羨ましさと憧れと、『これが海外の病院の雰囲気か〜!よく聞くやつ!』と感動しました

◎治験スタッフの対応に疑問
対して、UK治験のスタッフの対応にはたびたび疑問を感じることがありました。
説明が一貫していない、同意書の内容を把握していない、説明責任を転嫁する、被験者のプライバシーに気を遣えないなどなど‥、本当に挙げるとキリがないくらい色々なことがあって、追い打ちをかけるように報酬が期日内に振り込まれないという事件があり、その対処の姿勢からも『コーディネーターとしてそれってどうなん?』と思うことが多すぎて、正直あり得ないと思いました。
私自身は医療従事者で現場の状況や治験の流れをある程度理解出来るからこそ冷静に対処できた方だと思うのですが、少しでも不安のある人にとってはより不安を煽っていただろうなと思うし、失望と怒りでクレームが出てもおかしくないだろうなとも思いました。
※この件に関しての詳細は治験のチコちゃんにも報告済みですので、改善してくれることを切に願っています><(もし詳細が気になる方はDMください。笑)



ここまで読んで、「治験入院‥大丈夫かな?」と思った方も多いかもしれません。笑
無事に終われば高報酬が得られるのですが、そんな簡単なことじゃないよ、ということが伝えたかったので入院中の生活について少しでもリアルが伝われば幸いです。

また今回の治験を通して、治験に少しでも興味をもった人が「お金もらえる!」というその一心だけで参加するのではなく、被験者として知っておいた方が良いことを事前に心構えておく必要があるなと感じました(少し大袈裟ですが)。

次の内容では、
治験って本当にキケンな人体実験なの?とかなんで報酬が高いの?とかなんで制限が多いの?とか、そんなことを踏まえつつ、治験によって生まれる社会的な利益や被験者として協力していきたいこと≒(医療者として私がお願いしたいこと)を少し書いていこうと思います。

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