ラガーマンがラグビーを捨てた日
俺が情熱を失った日
本来は思春期の子供達が心の拠り所にするサブカルチャーが自分に刃を向けてきた時の話をする。
自分は今までの人生の中でただ1回だけアツく燃え続けていた青春の灯火が4ヶ月ほど消えた事がある。その時のことをまとめて書くと長くなるのでここでは3部に分ける。
第1部 「ラガーマンがラグビーを捨てた日」
高校1年の時、自分は昭和の刑事ドラマである「太陽にほえろ!」にハマっていた。父が同じく昭和の刑事ドラマ「特捜最前線」をよく見ており、自分も中学生の頃に特捜にハマった後、太陽にも手を出すようになった。内容などの見やすさで言うと、特捜は哀愁漂い、中学3年生が見るには早い内容だったが、太陽は特捜に比べたら内容が軽くて見やすい上に、主人公は若手の刑事達が多くて彼らは第2の青春を満喫してるような作風だったので、現在進行形で青春してた自分には見やすい内容だった。
そして、「太陽にほえろ」に出てくる刑事の中で自分は渡辺徹が演じるラガー刑事(竹本淳二刑事)が好きであった。高校時代にラグビーをやってた事もあり彼はラガーと呼ばれるようになった。ラガー刑事の正義感はとても強く、街と市民の平和の為に毎日体を張って犯罪と戦い続けた。
自分がラグビー部員であるのも相まって、自分はそんなラガーの姿が好きだった。ラガーは市民という他者のためにずっと行動していたが、他者のために行動するのは自分の部では大事にしている事であり、顧問も部活の時はもちろんその事を話し、日々の授業中の雑談でも何回かその教えを熱く話してくれる。そしてそれはラガーマンである自分の目指すべき姿でもあった。そのためラグビーを通してラガー刑事を目指すべく日々行動していた。高1の頃は部活に行ける機会は少なかったが、それでもその事を目標にしていた。
しかし、そんな目標は一瞬にして崩れた。2022年12月の初め頃、その日は学校で授業を受けていて、その時の授業は移動したり教え合いをしても良い授業で、少し自由があった。そして俺は勉強せずにいつも教員にバレないようスマホをいじってる連中たちと一緒に遊んでいた。そしてその時速報ニュースが入ってきた。そのニュースには「速報 渡辺徹敗血症のため死去」と書かれていた。目を疑った。渡辺徹はまだまだ現役のはずなのにおかしいと思ったが、残念ながら真実であった。その日は終日気分が乗らなかった。そして、その日は放課後に新宿の高層ビル周辺(太陽の七曲署管内)をひたすらラガーを思い出しながら歩いていた。そして家に帰ったらラガー関連の回をずっと見ていた。ラガーが殉職した時の回を見ると、最後に流れたラガーの回想シーンがいつもより寂しく感じた。
そして、その日以降自分はラグビーをやりたくなってしまった。自分の目指すべき姿を見せてくれた人が居なくなった影響は大きかった。冬休み中に部活に行こうと思ってもラガーの事を思い出してしまいやりたく無かった。そしてだらけた生活を数ヶ月続けた頃、部の方では7人制の大会エントリーが近づいていた。部員がそこまでも多いわけでは無いので1人いるから居ないかでは状況が変わる試合である。エントリーするには10人選手がいるのが条件で、当時の部活は俺を除くと8人の選手がいた。2人居ないので先輩(キャプテン)から一緒に試合に出ないかとの誘いが来た。もちろん最初は乗り気ではなく数日ぐらい考え込んだ。そしてそんな中再びラガーを思い出す。俺はあの刑事が刑事という職を1回でも放棄したのかという疑問が残った。そして決めた。ラガーは1回もあの仕事を捨てず、最後まで市民のために戦い続けたのなら、俺もラガーへの憧れを放棄せずに目指し続けようと。
2023年4月に俺は部活に再び復帰して、それ以降受験勉強が大変になるまでの間ラグビーを続けてきた。因みに足りないもう1人はこの「情熱に満ちた子供達」のリーダーが元部員のため、彼を登板させる事でなんとか出場できた。あの時試合に誘ってくれた先輩には感謝している。あの時誘ってくれたから俺は再び青春の灯火が激しく燃え、アツい青春が再び始まった。
皆さんも何か落ち込む事があっても、身の回りの人のおかげで再び立ち直れるし、自身のかつて夢見てた事を思い返せば何でも出来る。
そしてサブカルチャーというのは、時には自身に悪影響を与えてしまうものである。
最後に一言だけ書いて終わりとする
ラガーよ永遠に