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沢渡温泉 龍鳴館

 沢渡温泉というと「草津の治し湯」や「一浴玉の肌」とか、何となく草津温泉の添え物的に思われがちだが、昔からここを愛する文人墨客も多い。もちろん熱心なリピーターも多い。一般的な温泉の効能の他、神経痛・リュウマチ・運動麻痺・慢性消化器病・肥満症・糖尿病・婦人病など。冠動脈狭窄や肥満症・糖尿病・慢性制腎臓病の治療中の自分には合っていたようだ。

群馬リハビリテーション病院

 その泉質を利用して、沢渡温泉には「リハビリテーションを専門とする大きな病院がある。コンビニも無く商店も少なく、何も無いような温泉街だが、病院を利用する人のために、交通の便は良いようだ。中之条駅からバスも出て、長く付き合えそうな温泉地である。

泉質:カルシウム・ナトリウム一硫酸塩・塩化物温泉、泉温:54.8℃、8.4pH、湧出量:135リットル/分。

沢渡温泉龍鳴館 吾妻郡中之条町上沢渡2317-1

 龍鳴館は共同湯を挟んでまるほん旅館と並んでる。かつては両旅館は繋がってたそうだ。

源泉井:管理はまるほん旅館

 左の建物がまるほん旅館の湯小屋風内湯、さらに左が共同湯になってる。

 龍鳴館の湯は源泉井が近く、沢渡の地形から見れば、源泉の隣でわずかに低い位置にある。現在は1本の源泉からの動力揚湯泉を、沢渡温泉の全旅館に配湯してる。龍鳴館の場合は、動力揚湯された源泉が、空気に触れる事無く館内に届き、新鮮な状態でそのまま湯船に注がれてる。湯船の構造からなのか、注がれる湯量が多くて流れが有るせいか、細かくなった湯の華が底に沢山沈んでる。湯口からの量も多く、湯口にはコップとひしゃくが置いてあり、飲泉も出来る。なによりも、「源泉流しっ放し」で、温度調節は天窓を開けるくらいです。42度は超えてるでしょう。入る時に熱いと感じても、入ってしまうと意外と堪えられます。

 初めて内湯に入った時には、かなりの高温泉で驚いた。聞くと源泉をそのまま入れて、水道のホースも無いから加水も出来ない。木製の湯かき棒が有るだけ。湯船の広さと吐出量から、少しかき混ぜたくらいでは熱くて簡単には温度は下がらない。それでも不思議な事に、意外とは入れてしまい、次第に慣れると気持ちが良い。

 冠動脈狭窄で2回もステントを入れた影響か、投薬治療の薬の影響か、膝から下が浮腫んで足の甲などは大きく膨らんでいた。足首も動きにくく、まるほん旅館の湯小屋風の湯船まで降りる階段がきついと思われたので、同じように源泉近くの龍鳴館にお世話になったのだが、ここの源泉使用が自分には合っていたようで、足の浮腫が消えた。高温泉に慣れると、気持ちよく首までは入れたのだが、膝から下の浮腫の部分がズキズキ・チクチクと痛み出してきた。勝手に温泉の効果だろうと思っていたが、翌朝になって浮腫がかなり消えていたのに驚いた。

 宿の人にその事を話したら、昔からの常連さんは、ここの宿の温泉が良いといって何度も来られるそうだ。男女の内湯の他、家族風呂があるだけで、露天風呂は無い。露天風呂は無いのかとの問い合わせもあるようだが、源泉の利用に関しては、新鮮な源泉掛け流しを守るためにも昔のままにし、常連さんが良いと言うこの湯使いを守ってるそうだ。

夕食
朝食

 先にまるほん旅館のことを書いたので、今回は龍鳴館を紹介したが、筆者にとっては好きな旅館なので、人に知られたくないような、でもコロナ禍で人流が止まり、応援もしなければとの思いもある。沢渡温泉は13軒の小さな旅館と共同湯1軒の、狭い旧道の小さな温泉街だった。現在はわずかに3軒が旅館として頑張ってる、秘湯になってしまった。

昭和20年の大火で多くの旅館が焼失した。明治「旅館新叶屋」と記載。

 龍鳴館の男性用内湯には、頼朝の腰掛け石がある。草津温泉や川原湯温泉、この沢渡温泉の近くの花敷温泉にも源頼朝が発見したとか、入浴をしたという伝説がある。

以前、群馬県北毛の温泉地への「秣(まぐさ)」の流通について、調べたことがある。簡単な流れは分かったが、流通量等に関しては記録が見つからなかった。その時に頼朝の温泉発見伝説を幾つか読んだが、真実とは思えない。木曽義仲との関連は多少あるようだが、頼朝の発見に関しては信じられない。後でもう少し調べてみたい。

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