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雑文など

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エッセーなどとは言えない、思いつくままに書いたもの。生意気にも、いつかは私小説的に書いてみたいとの夢も。
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#女性

着物は女性美を引き出す

例え夢でも逢いたい人、会いたくもない人、そんな事を真夜中に目覚めて考えていたら、どうでもいい人の一つ紋が頭から離れなくなった。 そんな「一つ紋」から、娘の嫁ぎ先の七五三を思い出した。 嫁ぎ先の義母は着物が趣味で、たくさんの着物を持っているそうだ。娘が嫁いだ時に、七五三で着た(上記写真)、薄墨というよりも銀色のような、白に近い色の留袖を贈られた。 「後でお家の家紋を染めてね」と言われたそうだ。布地にプリントして縫い付けようかな、と言ったら酷く叱られたそうだ。 一見すると

雨の降る日は

昨夜から雨が続き、今朝は寝室でも12度と寒かった。 まだ二十代の始め頃、雨の日には夜な夜な出掛けていた。雨の日は人出も少なく、狭いスナックバーのカウンターで静かに飲めた。そういう雰囲気が大人になったと、酒よりも、自分自身に酔っていたのかもしれない。 何となく行ってしまうのが、喫茶店に近い雰囲気のスナックで、店内は薄暗く、20歳は年上に見えたママさんが一人だけの店だった。いつも客が少なく、雨の日には特に少なかった。友人数人とも、最初に行くのがこの店で、ここで少し飲んでから次

『眠れる美女』を読む

これを読んだのはいつ頃だったろうか。内容に関しては全く記憶にない。他の短編集と同じように、短編といえるほど短くはないが、サラッと読み流してしまったのかもしれない。その後読み返すこともなかったのは、自分の読書は単なる乱読だけなのかもしれない。 三島由紀夫と、川端文学を翻訳して世界に知らしめたエドワード・サイデンステッカー氏が絶賛した『眠れる美女』は、まだ中学生には理解は難しい作品だった。あらためて70歳を超え、川端康成の没年と同じ歳になり読むと、捉え方が全く違ったものになる。