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セーラームーンが現れた日 幼稚園のころの思い出

わたしには、今も親しくしている大切な幼なじみたちがいる。

そのうちの一人、Hちゃんとの幼稚園のころのお話。


子どものころ、セーラームーンがテレビ放映されていて、女の子たちの間で流行っていた。

わたしも、カードを集めたり、グッズを買ってもらったりして、友達とセーラームーンごっこをして遊んでいた。

仲良しのHちゃんとは家が近くて、毎日のように遊んでいた。

家の電話で

「もしもし。いまからいつもの場所ね」

と約束の電話をかけ合っていたことをよく覚えている。

その当時のうちの近所では、幼稚園児だけで外で遊ぶことも普通だった。

家を一人で飛び出して、まっすぐ行くとある、いつもの場所の集会場と呼ばれる場所の前で待ち合わせ。

集会場の近くに、その当時はよく見かけた4人がけのブランコやお砂場があるところがあって、そのあたりでいつも遊んでいた。

ある日、いつものように二人で泥団子を作っていたのか、何をしていたのかははっきり覚えていないけれど、座り込んで遊んでいた。

3歳くらいのやんちゃな男の子になにか言われて、シャイなわたしは、

「やだなぁ…」

と思っていた。

でも、気にせずHちゃんと遊び続けていた。

男の子たちがいなくなって、Hちゃんと二人になっても仲良く遊んでいた。

すると、どこからか女の子の声が聞こえてきた。

「わたしはセーラームーンよ!」

え?セーラームーンがこの町内にいるの?!わたしたちはびっくりして顔を見合わせた。

わたしは目が見えにくいからどこにいるのかさっぱりわからない。

Hちゃんに聞いても、どこにも女の子はいないという。

「ここよ!ここをみなさい!」

セーラームーンにしては優しくないな…セーラームーンってもっといい子なんじゃ…とわたしたちはびっくりしながらも、幼稚園児なので、本物なのかと思い始めた。

Hちゃんに聞くも、やっぱりどこにいるのかわからないという。

すると、ひらひらと紙が落ちてきた。

紙には、ひらがなでこう書いてあった。

「おかあさんをつかまえた。はなしてほしければいうことをきくこと。」

え~!!セーラームーンは悪者だったの…😢

わたしたちは震え上がった。

そして、また声が聞こえる。上の方から。

「よんだでしょう?おかあさんはここよ!さあいうことをきいて!」

幼稚園児の5歳か6歳のわたしたちは、こわくなってパニックになって、大泣きした。

大泣きしながら、

「帰ろ!おかあさん家にいないか見てこよう!」

と、それぞれの家に大急ぎで泣きながら走っていった。

**

もちろん、家には母がいた。Hちゃんの家にも。

その話を母たちにすると、あの遊んでいたあたりには、1年生くらいの女の子が何人か住んでいるから、団地の上の方に住んでいる子どもがいたずらしたんじゃないかな?と。

それを聞いて、わたしたちは、

セーラームーンはほんとうは怖い人なの…?

と不安に思ってていたから、少しほっとした。

でも、あのいたずらをした子がだれなのかは結局わからなかったから謎のままで。

Hちゃんと会うたびに、ちょっと怖くて震え上がったあの日を思い出して笑っている。

大人になったいま考えれば、フッとおかしいのだけれど、子どものわたしたちは、本気で怖かったから。

あの偽物セーラームーンをした子は、あの日のことを覚えているのだろうか。

大人になった今は、こういう忘れられない思い出をくれて、ありがとうと偽物セーラームーンに伝えたい。



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