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【家庭でのお仕置き】厳格な母親のケイン: 回想 [1/2]

ご注意: 本作には一部に失禁の描写が含まれます。

佐々木 そうは、R学園中学校という中高一貫の私立中学校に通う、13歳の中学1年生。

12月のとある週の土曜日。4時間目の国語の授業では2学期・期末テストの答案返却が行われた。担当の若手女性教師である橋部先生は授業開始のチャイムと共に起立・礼の挨拶を済ませた。「…それではみんなのお楽しみ。テストを返すわね。A組さんの平均点は…。」橋部先生は背を向けて黒板の真ん中辺りに平均点を書いた。颯の在籍する1年A組の平均点は58.7点で、全3クラス中、2番目の結果となった。橋部先生が平均点を発表した後、クラスの生徒たちは少々ざわついた。「今回絶対点数悪い」、「全然出来た気がしない」、「今回記述多いし難し過ぎなんだよな」と言った嘆きの声が教室に飛び交ったが、テスト返却直前によく見られる定番の光景だ。

「…じゃあ今からテストを返すからみんな静かに。机の上には赤ペン以外置かないこと。」橋部先生はクラスに静かにする様に注意し、生徒たちの机上の状態を教壇の上からザッと確認した。問題が無かったため、答案用紙が入った分厚い茶色の封筒を教卓から手に取り、封を解いた。橋部先生は出席番号順で生徒を1人ずつ呼名し返却を始めた。B4サイズの答案用紙には模範解答が添付されており、橋部先生は生徒たちに着席後に各自で採点間違いがあるかどうかを確認する様に指示した。余談だが、R学園中学校では、教師は採点後に答案用紙をコピーする規則がある。答案返却後に生徒が答えを書き換えるなどの不正をはたらいた際にコピーと照らし合わせる為であり、全校生徒にもその規則を周知している。自分の答案用紙を受け取った生徒は席につき、静かに模範解答と照らし合わせて解答や各設問に書かれた小計の計算を行っていた。

「次は…えぇっと…、佐々木くん。」主席番号9番の颯が呼ばれた。颯はガタガタと椅子を引いて立ち上がり、教壇で待つ橋部先生のもとへ向かい、自信の無い様子で差し出された答案用紙を受け取った。席に戻ると颯は恐る恐る答案用紙の右側にある氏名欄の下部に赤いサインペンでやや大きな字で書かれた点数に目を向けた。

結果は56点。「(…手ごたえは無かったけど、こんなに低かったなんて…。)」予想していたよりも点数が芳しくなく、颯は橋部先生の採点ミスの可能性に賭けて2度、3度と模範解答と見比べたり、点数の再計算を念入りに行った。その間、3、4名ほどの生徒が間違いに気づき、答案用紙を持って教卓の前に並んでいた。一方で、颯の答案用紙は採点通りで誤りは無く、淡い期待を裏切られた。

「…他に間違いのあった人はいない?…無ければ答案用紙をしまって。これ以降もう受け付けないから気をつけてね。…それでは教科書の…」答案用紙が生徒25人全員に返却されて30分ほど経過した後、採点間違いの確認時間は打ち切られた。颯はため息を吐きながら解答用紙を定期テストを留めておくファイルに綴た。残りの20分弱で3学期に向けた授業が行われ、12時50分の終業のチャイムと共に授業が終わった。

挨拶の後、暫くして担任の野村先生が教室にやって来てホームルームを済ませ、下校の時間となった。クラブ活動などで放課後に残る生徒もいるが、颯はどの部にも所属しておらず、いわゆる帰宅部である。制鞄である紺のリュックを背負い、下駄箱で上履きから制靴である、まだ真新しい黒のローファーに履き替えて学校をあとにした。

R学園中学校から家までは片道で約1時間。学校から最寄りの駅まで徒歩で約15分。電車を2回乗り換え、降りた駅から約10分歩くと家に着く。登下校にかかる時間に加え、平日も8時15分から16時30分まで授業があり、毎日の宿題や予習・復習の時間も踏まえるとクラブに入っている余裕は無い。

帰宅途中、颯はずっと国語のテストの結果が頭から離れず、乗客がまばらの土曜日の電車に揺られながら母親に問い詰められた際の言い訳を考えていた。「(記述問題が多かったし、先生も『今回は難しくし過ぎた』って言ってたって言おうかな…。みんな点数悪そうだったし。もしそれで許して貰えないと…、、、56点って事は、、24打…。お尻がもたないよ…。、、はぁ…。)」颯は電車の座席に座り深いため息を吐いていた。

颯の母親である美恵子は躾に厳しく、特に学業に関しては管理が徹底されており、例えば、定期テストでは主要5教科については毎回80点以上採らなければならない決まりがある。恵美子の両親も特に教育に関して厳格で、自身も中学受験を経験しており大学を卒業している。美恵子は、「定期テストは範囲の決められた、日頃の習熟度合いの確認。点数が採れて”当たり前”。80点以上で評定は5段階中、4か5になり、色々な高校から推薦が貰いやすくなる。学業を怠ると高い学費を払ってまで私学に通わせている意味が無くなる。」と考えており、颯にも口を酸っぱくして日頃から言い聞かせている。もし約束の点数を下回ると、颯は80点に足りない分だけ罰としてケインと呼ばれる籐製の鞭でお尻を思いっきり打たれるのだ。

「(…そう言えば”アレ”も去年の今頃だっけ。)」

颯は去年の12月中頃に美恵子から受けた、過去で一番厳しく、散々な思いをさせられた”お仕置き”を回想し始めた。


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