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ご存知ですか?「微量栄養素」


キャット・バーフィールド

 NASM-CPT、CES、PES取得、認定栄養士。フィットネス業界で20年以上の経験があり、国内外のフィットネスプロフェッショナルに向けてウェイト・マネージメント・プログラム、器具や教育リソースを提供している。

 「微量栄養素」とは、人体の生理学的機能や代謝機能を適切に維持するために必要な栄養素であるビタミン、ミネラルです。普段不足しがちな微量栄養素にはどのような効果があるのでしょうか?

◆メタボリズム(代謝)
 「メタボリズム」は、トレーナーやフィットネス愛好家がよく使用する用語です。あなたはそれが何か、じっくり考えたことはありますか?

(画像:Shutterstock.com)
 この図は、呼吸、思考、心臓の鼓動、消化、循環、動きなど、生命を維持するために必要な連続的に発生する無数の反応を示しています。すごいですよね?では、これらすべての反応を発生し続けるには何が必要でしょうか?それは栄養素および酸素です。

◆6つの必須栄養素
 以下に挙げるのは私たちの健康にとって不可欠な6つの栄養素です。これらの栄養素なしでは生きていくことはできません。私たちの体はこれらを作り出すことができないため、食事から摂取することが必要です。6つの栄養素とは、
 ・炭水化物
 ・タンパク質
 ・脂肪
 ・ビタミン
 ・ミネラル
 ・水
 炭水化物、タンパク質、そして脂肪は大量に必要とされるため、この3つは多量栄養素と呼ばれます。
 これらはATP(アデノシン三リン酸)の形でカロリーまたはエネルギーを供給し、タンパク質の1つである酵素によって活性化され代謝反応を実行します。酵素が機能するためには補因子が必要であり、その代表的なものがビタミンとミネラルです。これらは微量ながら私たちにとって欠かせない栄養素である「微量栄養素」です。

◆代表的な微量栄養素の重要な機能:
◎ビタミンB:食物をエネルギーに変換する
◎ビタミンB12:正常な神経機能、赤血球を作るのに必要
◎ビタミンA:目の健康や免疫力の向上、皮膚や粘膜を守る
◎ビタミンD:骨を形成するために必要であり、正常な免疫機能、全身に影響を与えるホルモンの機能に必要
◎ビタミンE:抗酸化物質で、損傷した細胞の修復を助ける
◎ビタミンK:血液の凝固作用に関与し、またカルシウムを骨に沈着させるために必要
◎カルシウム:筋肉の収縮と骨形成のために必要
:全身に酸素を運搬するために必要
◎マグネシウム:筋肉の収縮と神経の伝達を調節し、歯や骨の形成を助け、300以上の代謝反応に必要とされる
◎カリウム:筋肉の収縮、正常な神経伝導、水分と電解質のバランスの維持に必要

 私たちが定期的に摂取する必要のあるビタミンとミネラルは約30種類あります。その多くはさまざまな働きがあり、相互的に作用し、代謝機能を高め、私たちが生き生きと健康に生きるために欠かせない栄養素なのです。

 下の画像は、微量栄養素が含まれるさまざまな食物を示したものです。

(画像:Shutterstock.com)

◆どのくらい必要か?
 インスティテュート・オブ・メディシンの研究者は、年齢、性別、ライフステージに基づき、RDAs(推奨食事摂取基準)という毎日摂取すべき微量栄養素の量を示しました。この推奨値は、欠乏症やそれぞれの微量栄養素が関連する病気や怪我を予防することを目的としており、必ずしも長寿という観点で最適な量とは限らないことに注意してください。

 私の管理栄養士としてのアドバイスは、すべての主要な食品グループからなるべく多くの種類、多くの色、そして加工を最小限に抑えた食品を摂取することです。そのことによって、健康的な体重を維持、または減量を成功するために必要な摂取カロリー内に抑えながら、しっかりと栄養素を摂取することができます。

◆1日2,200カロリーの摂取が必要な人が微量栄養素をたっぷり摂取できる食品の選び方
① 1日に必要な3カップの野菜を次のように分けます
 ・週に2カップの緑の濃い野菜
 ・週に6カップの赤とオレンジ色の野菜
 ・週に2カップのマメ科の植物
 ・週に6カップのでんぷん質の野菜(ジャガイモ、グリーンピース、トウモロコシ、オオバコなど)
 ・週に5カップの他の野菜(アイスバーグレタス、マッシュルーム、タマネギ、キャベツ)
② 1日2カップの果物
③ 100g弱の精製されていない穀物(全粒小麦パン、玄米、オートミール)
④ 100g弱の精製された穀物(白米、シリアル、パスタ)
⑤ 3カップの乳製品
⑥ 170gのタンパク質は次のように分けましょう:
 ・週に約250gの魚介類
 ・週に約800gの赤身の肉、鶏肉、卵
 ・週に140gのナッツ、種子、大豆
⑦ 油 29g

 アメリカおよび他の先進国では、栄養素の明らかな欠乏、およびそれに関連する疾患はまれです。ただし、一般的にRDAs(良好な栄養状態を維持するのに十分な推奨量)の摂取量は不足気味です。一般的に、摂取不足と見られているのは下記の9つの微量栄養素です。
 ・カルシウム
 ・マグネシウム
 ・カリウム
 ・ビタミンD
 ・ビタミンA
 ・ビタミンC
 ・ビタミンE
 ・コリン
 ・食物繊維

◆十分な微量栄養素を摂取しないとどうなるか?
 ビタミンとミネラルは体内の多くの生理学的なプロセスに必要であるため、慢性的な不足はさまざまな健康や代謝機能に悪影響を及ぼします。微量栄養素の不足は、癌、骨粗鬆症、心臓病など、加齢に伴う複数の慢性疾患に関連しているというエビデンスがあります。

◆葉酸と妊婦用のビタミン
 葉酸(ビタミンB9)は、自然界ではマメ科植物と葉物野菜に存在するビタミンです。 DNAの合成に必要であり、細胞の成長と修復をサポートします。体内の葉酸の不足は神経管の欠陥に関係しており、脳卒中の予防に有効であるとの研究も発表されました。

 食品に含まれる天然葉酸の吸収率は限られており、体内に摂取された全ての葉酸を抽出することはできません。対照的に、合成葉酸は安定性と吸収率に優れており、効果的に摂取できます。

 葉酸を含むマルチビタミンとミネラルの摂取は、神経管の欠損を減らすことが証明されています。現在、出生前のビタミン摂取は、世界的に妊娠中および出産可能年齢の女性に推奨されています。

◆カルシウムと骨を作る微量栄養素
 カルシウムは、99%が骨や歯などの骨格に貯蔵され、1%が血液中(8.4~9.5 mg / dL)に存在し、重要な機能を担っています。カルシウムの摂取量が不足すると、体は骨に貯蔵されたカルシウムで補い、血中濃度や心臓の鼓動を維持しようとします。長い間カルシウムと相互作用のある栄養素が慢性的に不足すると、骨の衰弱そして骨粗鬆症につながります。短期間の不足は乗り越えられるかもしれませんが、長期的な健康を犠牲にしてしまうのです。

 微量栄養素の量が不足すると、自分では感じないままに損傷が引き起こされ、加齢に伴う疾患へとつながる可能性があります。そして、私たちは損傷の発生を見たり感じたりしないので、手遅れになるまで問題が起こっていることに気づくことができません。

 たとえば、ビタミンKは、動脈の石灰化防止、癌の予防、また骨折を予防する働きがあります。これらは知らぬ間に進行する病気、怪我で、長期的な結果となって現れます。これらを老化の病気と呼びます。

◆マルチビタミンやその他のサプリメントはどのような効果があるか?
 先述したように、多くの人は食物からだけでは必要な量をすべて摂取することが困難です。もちろん質の良いマルチビタミンサプリメントでも、食事に取って代わるものではありません。あなたが必要な微量栄養素を確実に摂取するために、あなたの食事を補完するものです。

◆食事のバランスが取れていないと感じる人は
 あなたがもし食事から十分にカルシウム、鉄分、ビタミンD、そしてオメガ3などを摂取できていないと感じているのであれば、サプリメントをおすすめします。サプリメントを摂取することで、必要な量を摂取できます。

 調査データは一貫して、サプリメントを摂取する人々は微量栄養素の摂取不足が少ない、または微量栄養素の摂取量が多いことを示しています。たとえば、食品のみと比較して、マルチビタミンとミネラルのサプリメントの摂取は、調査した17のうち15のケースで微量栄養素不足に関わる疾患の有病率の低下が見られたという研究もあります。

 別の研究では、マルチビタミンとミネラルのサプリメントがカルシウム、マグネシウム、ビタミンA、C、D、Eの不足に関連する疾患の有病率を大幅に減少させたことが示されました。他の国でも同様の研究結果が発表されています。

◆まとめ

 人体は生存するためにプログラミングされており、高度なメカニズムを備えていますが、長期的な健康に不可欠なビタミンやミネラルの慢性的な不足は体に害を及ぼします。

 したがって、毎日約30の微量栄養素の推奨摂取量を満たすことは、毎日の必須栄養素を摂取することと同じくらい重要です。

 微量栄養素をしっかりと摂取するには、すべての主要な食品グループからさまざまな種類を摂取する必要があります。減量のためのダイエット、特定の食品グループの摂取の制限、またはほぼ毎日同じ食品を摂取、などの食べ方は微量栄養素の摂取を制限し、重大なビタミンやミネラルの不足へとつながります。

 低用量のマルチビタミンとミネラルの摂取は、長期的な健康をサポートしながら、また身体に必要な生理学的機能をサポートするために必要な推奨量を満たすために役立つことが証明されています。

 良い食事と、十分な睡眠、定期的な運動、ストレスの管理、健康的な体重の維持など、健康的な行動に取って代わるものはありません。微量栄養素の場合、ほんの少しの保険が大いに役立つのです。

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