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WSLウォッチ・ガイド :: WSL Watch #001

イングランドのWSLの23/24シーズンが10月最初の週末に開幕したんだけど、期待通りなかなか面白い状況になってて、でも、ちょっとググってみても日本語で読めるWSLの情報ってそれほど多くない、日本人選手にフォーカスしたモノは多少あるけどリーグそのものを取り上げてるモノはあまりないっぽくて、いろいろ知りたいことは主に英語の情報を調べたりしながら観てる感じなんだけど、せっかくだから頃合いを見計らいながら気になったポイントをちょっとまとめていこうかな、と。現段階で4節まで終わってるんだけど、ちょうど代表ウィークで間が空くタイミングなんで。自分のための備忘も兼ねつつ、何か(誰か)の役に立つこともあったりするかも? って思って。ちなみに、記事は"WSL Watch"ってマガジンとしてまとめる予定。

WSLの概要

WSLのイメージ・ヴィジュアル

WSLはイングランドのウィメンズ・フットボールのトップ・カテゴリで'Women's Super League'の略。一般的に英語圏でも'WSL(ダブリュ・エス・エル)'って呼ばれることが多いっぽい。設立は2010年で、現行のレギュレーションで開催されるようになったのは2011年から。リーグの概要は以下にような感じ。

  • 現在は全12チームがホーム&アウェイで対戦する全22節のリーグ戦。

  • 優勝チームがUEFAウィメンズ・チャンピオンズリーグ(UWCL)のグループリーグにストレート・イン、2位と3位のチームは予選ラウンドに出場できる(ちなみに、予選ラウンドの仕組みはちょっとわかりにくい)。

  • 最下位のチームが2部のチャンピオンシップに自動降格(入れ替え戦はナシ)して、チャンピオンシップの優勝チームがWSLに昇格する。

  • 現段階ではVARは導入されてない。

  • 今シーズンは10月頭に開幕して代表ウィークを挟みながら12月中旬までに10節を消化、1月の半ば過ぎまではウィンター・ブレイク、その後も代表ウィークを挟みながら5月半ばまでに22節を消化する。

  • 並行して国内のカップ戦が2つ、FAカップとリーグ・カップも開催されてる。

蛇足だけど、スポンサー名を付けてBWSL(Barclays Women's Super League)って呼ばれたりすることもあるっぽい。さらに、サーフィンの'World Surf League'とかコンピュータの世界の'Windows Subsystem for Linux'なんてWSLもあったりするらしくて、特に検索するといきなりサーファーの写真とかコードの話とかが出てきたりして、ちょっと紛らわしかったりする。

日本での視聴環境

あくまでも現段階の情報になるけど、日本ではDAZNで毎節数試合配信されてるのに加えて、FA(イングランドサッカー協会)が提供するThe FA Playerで基本的には全試合フルマッチを視聴可能(アカウント登録が必要)。「基本的に全試合」って書いたのは、日本のDAZNで配信される試合は現地のBBCかスカイ・スポーツで中継される試合で、その試合に関してはThe FA Playerではライヴ視聴できないっぽいから(翌日以降にアーカイヴ視聴は可能)。DAZNは当然有料で、たまに日本語の実況や解説が付くこともある。The FA Playerはもちろん英語実況のみで無料で利用できる。BBCとスカイ・スポーツで配信される(=DAZNで観れる)試合に比べると、The FA Playerで配信される試合はカメラの台数がかなり少ないんで、馴れてない人はけっこうビックリするかも。

あと、ヨーロッパでUWCLを配信してるDAZNが運営してる'DAZN Women's Football'ってYouTubeのアカウントもUWCL出場チームのリーグ戦を中心に配信してる。このアカウントはUWCLだけじゃなくスペインのリーガFとかドイツのフラウエン・ブンデスリーガとかイタリアのセリエAフェンミニーレの試合も配信してるんで、おそらくUWCLのプロモーションの一環として主要出場チームの国内リーグの試合も積極的に配信してるっぽい。こちらはYouTubeなんでもちろん無料。

つまり、現状では日本からWSLを観るならThe FA PlayerとYouTubeでほぼほぼ無料で全然楽しめちゃうってこと。少なくとも、WSLを観るのが目的でDAZNに課金する必要はないかな。たまにある日本語の実況・解説付きの配信をどうしても観たいとか、Jリーグとか別の目的で既にDAZNを使ってるなら話は別だけど。

*追記: 個人的にはiPadで試合を観ることが多いから書き忘れてたけど、ちょっと前に確認した範囲ではThe FA PlayerはTV用のアプリがないっぽくて、TVモニターで観るのは(ブラウザから観れなくはないと思うけど)ちょっと面倒みたいだから、TVモニターで観たい人はDAZNがいいのかも。

*追記②: この記事を書いた時点とは状況が変わって、2024年1月24日の段階ではDAZNで配信されてるWSLの試合はアカウント登録のみで無料で視聴できるようになったっぽい。詳細は"WSL Watch #033"を参照ってことで。

WSLの全体像

個人的にWSLをちょいちょい観るようになったのは21/22シーズンで、22/23シーズンはそれなり以上の試合数、たぶん全体の半分以上は観るようになったって感じなんで、浅いっちゃあ全然浅いんだけど、そのくらい観てきた範囲で感じたこと、特にプレミアリーグとかJリーグとかと比較して感じたリーグとしての特徴は以下みたいな感じになるかな。

  1. 大前提として、38節あるプレミアリーグとか34節あるJリーグとかと比べると試合数が少ないんで、当然だけど1試合の勝敗の価値が大きい。

  2. 基本的には、優勝とUWCL出場を狙う上位グループ、WSL残留が目標の下位グループ、どちらでもない中位グループの3グループに分けられて、昨シーズンはそれぞれ4チームずつに分かれてた印象。

  3. 現状の上位グループの4チームはたまたまプレミアリーグのイメージと重なってるけど、それ以外のチームに関しては必ずしも男女でチーム力のイメージが重なってるわけじゃない。

  4. 上位チームはいかに中位・下位から取りこぼさずに上位同士の直接対戦で勝点を稼ぐかが大事。

  5. 上位チームとの対戦では中位・下位チームは割り切った闘いをすることが多いんで、そのチームの特徴は見えにくかったりすることが多い。

もちろん、4と5に関しては(程度の差はあっても)別にWSLに限らずどこのリーグでも起こってる現象だと思うけど、わりと明確に上位チームとそれ以外のチームは戦力差がある気がするんで、その傾向はけっこう顕著に出てるのかな、と。例えば、昨シーズン優勝したチェルシーなんて19勝2分1敗、つまり3試合しか取りこぼしてないんで。あと、上位のチームはもちろんヨーロッパでもトップ・レベルで、質の高いプレイを見せてるんだけど、実はWSLの本質というか、本当の魅力みたいなモノは上位チーム以外が対戦する試合にこそ現れるのかも? とも思ったり。実際に面白いチーム、面白い試合がちょいちょいあるし。これもまたプレミアリーグだろうがJリーグだろうが同じことが言えると思うけど。トップだけを観てるだけじゃ見えてこないモノが実はけっこうあるっていうか。

23/24シーズン開幕前の勢力図

続いてリーグの勢力図を。歴史的な部分に触れちゃうと長くなっちゃいそうだから省いて、あくまでも現状の構図の整理って感じで。

  • 上位グループはチェルシーアーセナルのロンドンの2チーム、マンチェスター・ユナイテッドマンチェスター・シティのマンチェスターの2チームの計4チーム。この4チームは昨シーズンも勝点40以上を稼いでる。あえて言えば、その中でもロンドンの2チームがちょっと上って印象かな。選手層も充実してて、FIFAウィメンズ・ワールドカップの決勝トーナメントに勝ち上がった国の主力選手が普通に交代でベンチから出てきたりするレベルなんで。

  • 中位チームは昨シーズン勝点20〜40辺りのチームで、アストン・ヴィラエヴァートンリヴァプール のリヴァプールの2チーム、ウェスト・ハムの4チーム。ただ、実際にはアストン・ヴィラとエヴァートンは上位グループに近くて、リヴァプールとウェスト・ハムは下位グループに近かったんで、上位・下位の2グループになってもおかしくない感じはあったかな。特にアストン・ヴィラは上位グループに食い込みそうなポテンシャルがあって、今シーズンの下馬評も高かったりした。

  • 昨シーズン勝点20以下だった下位グループは、残留を果たしたトッテナム・ホットスパーレスター・シティブライトン&ホーヴ・アルビオンの3チームに降格したレディングと入れ替わりで昇格してきたブリストル・シティを加えた4チーム。

実際に開幕した23/24シーズンがこの構図通りに進んでるか? っていうと、必ずにもそうでもなかったりして、それはそれで面白かったりするんだけど、それはまた別の記事で。

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