WSLが新たにスカイ・スポーツとBBCと5年契約を締結 :: WSL Watch #120
今シーズンからWSLを運営してるWPLLが10月30日にスカイ・スポーツとBBCと新たに5年の放映権契約を結んだことを発表した。基本的には現地でのテレビ中継の話なんで、とりあえず、日本でWSLを観てるファンには表面的にはあまり関係ないような、でも、実はけっこう関係があるような話なんだけど。(あくまでも推測って部分もありつつ)先に結論的なことを言っちゃうと、日本での視聴環境は大きく変わらなそうだけど、現地の環境はけっこう大きく変わって、間接的には日本で観てるファンにとっても良くなる点があるかも? って感じなのかな?
とりあえず、WSLとスカイ・スポーツとBBCが出したオフィシャル・リリースは以下の通り。もちろん、主語が違うだけで内容は基本的に同じなんだけど。
24/25シーズンもイギリス国内ではスカイ・スポーツとBBCが中継してるんだけど現行の契約の契約は今シーズンまでだから、今後も5シーズン、つまり25/26シーズンから29/30シーズンまで継続してスカイ・スポーツとBBCが中継することになるってこと。
こういうケースでは当事者の発表だけじゃなく、当事者じゃないメディアの報道のほうがいろいろ公式発表には書かれてないことも書かれてたりするんで、さっそく『ザ・ガーディアン(The Guardian)』の"WSL agrees record £65m domestic five-year TV deal with Sky Sports and BBC"って記事を読んでみた感じだと、概要は以下のような感じ。
25/26シーズンからリーグ戦のほとんどの試合がテレビ中継されるようになる。
新たな放映権料は約6,500万ポンド(=約129億円)の5年契約で、プロダクション・コスト等を含めるとトータルで約1億ポンド規模になるとのこと。現行の契約は1シーズンで700-800万ポンドと言われてるから大幅な増加になるらしい。
投資の大部分はスカイ・スポーツが担ってて、毎シーズン最大で118試合中継してその内の78試合は独占中継で、75%はどの試合を中継するか選べるらしい。
BBCは毎シーズン最大で21試合を生中継して、その内の14試合はBBCの独占テレビ中継になる。
テレビ中継されない試合に関しては、今夏から始まった形式でYouTubeで配信されるから、ファンは毎シーズン全132試合をテレビかオンラインかで観れる。
ウィメンズ・チャンピオンシップ(WC)についても、25/26シーズンからYouTubeでライブ配信される試合が増えるだけじゃなく、スカイ・スポーツが中継するオプションを持つことになるとのこと。BBCはWCをライブ中継することはないらしいけど。
ユニークな部分としては、選手が個人のソーシャル・メディアを通じてハイライトのクリップをシェアすることも可能になるとのこと。
今回の契約はWSLの運営をFAからWPLLが引き継いでから初めて結んだ長期放映権契約になる。
WSLはプレミア・リーグから2,000万ポンドの融資を受けてて、バークレイズ(Barclays)とのスポンサー契約も新たに結んでるけど、今回の放映権契約はリーグの持続可能性を維持するため最重要課題だった。ただ、長期的な安定性を狙いつつも、同時にプレミア・リーグの放映権契約更新のタイミングも考慮しつつ、今回のような条件になったとのこと。
ちなみに、アメリカのNWSLは2023年11月にアマゾンとCBSとESPNとIONネットワークの4社と年間6,000万ドル(=4,600万ポンド)で4年契約を締結したけど、この金額にはプロダクション・コスト等も含まれてるらしくて、『スポーツビジネス・メディア(SportBusiness Media)』によると約3,500万〜4,000万ドルはマーケティングとかプロモーションの制作補助金とからしい。
こうやって見てみると、やっぱり基本的にはイギリス国内の中継の話だから日本で観てるファンにとって別に大きく変わることはなさそう、つまり、今シーズンと同じようにYouTubeで無料でライブ配信が観れる感じなのかな。
ただ、当たり前だけどサッカー・ビジネスの収入源は放映権料とスポンサーとマッチデイ収入が基本的な3本柱だから、その中でも大きな柱である放映権料の新たな契約が決まった、しかも、現行の契約よりかなり好条件になったっていうのはWSLの今後の持続可能性とさらなる発展と盛り上がりって意味ではもちろん大きいはずで。リーグとクラブの財政規模が大きくなれば、例えば前者なら中継のカメラの台数が増えたり画角が観やすくなったりするかもしれないし、VARとかゴールライン・テクノロジーの導入みたいな部分に予算が使えるようになるかもしれないし、後者なら当然選手の待遇だったり選手の獲得に使える予算が増えたり、スタジアムとかトレーニング施設みたいなインフラへの投資も増えるかもしれないし。つまり、リーグとクラブが財政的に豊かになることで、「YouTubeでライブ配信を無料で観れる」って視聴環境自体に変化はなくても、そこで観れるコンテンツのクオリティにポジティブな影響があるんじゃね? ってこと。で、「そこで観れるコンテンツ」っていうのは、もちろん選手の質でありプレイの質であり試合の質であり、それを届ける映像コンテンツとしての質のことでもある、と。
とりあえず、WSLは来シーズンからますますパワーアップしそうって感じでいいんじゃないかな。あと、わりと忘れちゃいけない件として、今シーズン終了後にUEFAウィメンズ・ユーロ(WEURO)があるってことも大きい気がしてる。イングランド代表は前回大会で開催国として優勝したから次回のスイス大会はディフェンディング・チャンピオンってことになるし、前回大会の優勝が今のWSLの盛り上がりと発展の大きなブーストになったのは間違いないと思うんで。今回の新たな放映権契約に加えて、来年のWEUROでイングランド代表が好成績を残せば来シーズン以降のWSLにさらにブーストがかかりそうな気もしてたりして。ちなみに、来年のWEUROのイギリス国内の放送権はBBCとITVが獲得したらしい。日本では観れるかわかんない(っていうか、たぶん観れないと思う)んだけど。
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