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オフサイドにまつわる'関与'にちょっと違和感。

*イントロダクション「サッカーを語る言葉を整理したい。」はこちら

「サッカーを語るときに使われてるモヤッとする言葉」の中でもわりとデリケートで、なおかつ正誤とかではなく、前に書いた「'敵'と闘ってるのか?」と同じようにその言葉の意味を受け取る感覚、言ってみれば個人の'言語感覚'のようなモノに起因する類いの言葉、「意味としては解るけど、ニュアンスにちょっと違和感があるんだよな」ってタイプなんだけど、その中でも個人的にはけっこう大事かも? って思ってる案件に、オフサイド絡みで使われることが多い'関与'がある。上手く説明できるか、イマイチ自信がないんだけど。

オフサイドにまつわる'関与'案件は、オフサイドの位置にいる攻撃側の選手がボールに触れないままゴールが決まったシーンをオフサイドと判定するかどうかってケースで発生しがち。主に実況や解説が使う場合が多いけど、「たしかにオフサイド・ポジションにはいますけど、プレイには関与してませんね」とか「OFR(オン・フィールド・レビュー)ですから、オフサイド・ポジションにいた選手が関与したかを確認するってことでしょう」みたいな感じで使われることが多い。

一番の基準になるのはもちろん競技規則だと思うけど、そこにある記述は「相手競技者を妨害」って表現で、要するに「守備側の選手に影響を与えたか」、もっと簡単な言い方をすると「守備側の選手にとって邪魔だったか」が問題になるってこと。つまり、攻撃側の選手はオフサイドの位置にいるって事実だけが重要で、オフサイドの位置にいる攻撃側の選手の意思とか意図とかは問題にされないってことになるはず。たぶん、この辺の解釈はわりと共有されてるんじゃないかな? って思ってるけど。

で、'関与'って表現になんで違和感があるかっていうと、'関与'って言葉だと、どうしても主語が攻撃側の選手ってイメージになりやすい気がするから。「関与した」「関与してない」って、誰の話をしてるかっていえば、当然攻撃側の選手ってことになるわけで。実際には攻撃側の選手の意思とか意図とかは問題にされないにも関わらず。たぶん、オフサイドの位置にいる攻撃側の選手がボールに反応したようなケースでは、攻撃側の選手が主語になる「関与したからオフサイド」でも違和感がないからそういう文脈で'関与'が使われがちなんだと思うけど、逆のケース、つまり「関与してないからオフサイドじゃない」の場合は攻撃側の選手の意思とか意図が含まれるようなニュアンスになりえる'関与'は避けたほうが誤解を生まないし、ボールに反応したかで使い分けをするのは面倒だから最初から'関与'を使わなければいい気がして。もちろん、そうとしか理解できないような誤解の余地がない表現ってわけじゃないんで、あくまでも言葉から受け取る印象の問題、ニュアンスの問題で、けっこう個人差がある部分だろうとは思うけど。

ついでにもうひとつ書いておくと、「オフサイドじゃない」ケースは普通に「オンサイド」ってもっと言えばいいのに...とも思ってる。別に誤解を生むような深刻な案件じゃないし、難しい表現でもないそう。実際に使ってる人もけっこういるけど。表現がよりシンプルになると思うんで。

話を戻すと、'関与'のシンプルな言い換え表現として考えられるのは、「(守備側の選手の)邪魔になった」か「(守備側の選手にとって)邪魔だった」かな。「邪魔をした」だと攻撃側の選手が主語で、攻撃側の選手の意思とか意図みたいなニュアンスが入っちゃうんで。あくまでも、攻撃側の選手にそんなつもりはなかったとしてもピッチ上で起こった現象として結果的に「邪魔になった」「邪魔だった」ってことなんで。これなら要らない誤解を招く可能性を下げられる気がするけど。

*分類:あくまでも「正誤ではなく感覚的な問題」で「置き換え可能」、なおかつ「それなりに実益がある」になりそう。

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