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WSLの未来を担うタレントとして注目のグレイス・クリントン :: P2W009 :: WSL Watch #051

アーカイブ的な意味合いもあるかも? って思って気まぐれに量産体制に入った'P2W = person to watch(注目したい人)'シリーズの第9弾はトッテナム・ホットスパーのイングランド代表MFのグレイス・クリントン(Grace Clinton)を。個人的には今シーズンのWSLで初めて知った選手なんだけど初めて観たときにけっこうビックリしたし、現地でも将来を嘱望されてる期待のタレントらしいんで。

パワフルなプレイで中盤にダイナミズムをもたらすMF

プロフィール的な部分は後回しにして、とりあえず、グレイス・クリントンのざっくりとした印象を言うなら、「中盤でのダイナミックなプレイでチームに推進力をもたらすパワフルなMF」って感じかな。

基本的には攻撃的なMFでポジション的には8番か10番、今シーズンのトッテナム・ホットスパーだと4231の2列目の3の真ん中か433だとインサイドMFで使われてるんだけど、まさにそこが適性ポジションって印象。WGで使われることもあるけど。特に際立ってるのは、運ぶドリブルとパンチのあるシュート。華麗なテクニックを駆使するってよりもパワーとスピードを活かしてゴール方向にゴリゴリ前進するドリブルの推進力は強度が高いWSLの中でも際立ってるし、前が空いてたらちょっとくらい遠くても強いシュートを打てるキックも魅力。まだ若いからか、プレイがイマイチ安定しないっていうか、試合によって出来の良し悪しの波はある気はするけど、ポテンシャルの高さをものすごく感じさせるタレントであることは間違いないかな。

プレイ強度が高くて気も強そうだからボール奪取も得意で、ボールを奪ってそのまま自分で運べちゃうって意味では一番光るのはポジティブ・トランジションの局面なのかも。タイプとしては、前にマンチェスター・シティにいて今はバイエルン・ミュンヘンにいるイングランド代表MFのジョージア・スタンウェイ(Georgia Stanway)にちょっと似てる気もしたり。

今後の去就も注目される若きタレント

プロフィール的な部分も押さえとくと、グレイス・クリントンはリヴァプール出身のMFでトッテナム・ホットスパーでは背番号8を付けてる。2003年3月31日生まれだからもうすぐ21歳になるけど現時点では20歳で、今シーズンはローンでトッテナム・ホットスパーでプレイしてるけど基本的にはマンチェスター・ユナイテッドの所属。もともとはエヴァートンのユース出身で、20/21シーズンにトップ・チームでデビューを果たして2シーズンでリーグ戦14試合に出場したらしい。22/23シーズンにマンチェスター・ユナイテッドに移籍したんだけどシーズン前半は出番を得られずに1月からはローンでチャンピオンシップのブリストル・シティでプレイして、12試合に出場して6ゴールを決める活躍を見せてチームのWSL昇格に貢献したんだとか。今シーズンはトッテナム・ホットスパーにローンで移籍して、15節終了時点で14試合に出場して4ゴール・2アシストを記録してて、主力選手としてトッテナム・ホットスパーの躍進に大きく貢献してる。

ユース年代からイングランド代表には呼ばれてたけど、今シーズンのトッテナム・ホットスパーでの活躍が認められて2023年10月にはフル出場に初めて選出されて、2024年2月の代表ウィークに行われたオーストリアとのフレンドリー・マッチで初出場を果たしてさっそく初ゴールも決めてる。

そんな経歴なんで、今シーズンまで知らなかったのも仕方ないかな? って思うけど、今シーズンからトッテナム・ホットスパーを率いてるロバート・ヴィラハム(Robert Vilahamn)監督を取り上げた"WSL Watch #004"の中でも注目選手としてちょっと触れてる通り、アグレッシブなプレイモデルを志向してすごく目を引いてる今シーズンのチームの中でもかなり存在感は大きいかな。ロバート・ヴィラハムがグレイス・クリントンは「何年後かにはイングランド代表の10番のポジションでプレイできる」って評してたコメントをその時点で引用したけど、それから数ヶ月で本当にイングランド代表デビューを果たしちゃったんで、控えめに言ってもイングランド代表の今後を担うことが期待されるタレントって言っていいはず。

今シーズンはローンでトッテナム・ホットスパーに加入してるんで、気になるのは当然来シーズン以降の去就。もちろん、トッテナム・ホットスパーはできれば獲りたいだろうけど、マンチェスター・ユナイテッドだって簡単には手離さないだろうし、でも、そうするとイングランド代表MFのエラ・トゥーン(Ella Toone)とポジションを争うのか、共存するのか、そうすると宮澤ひなたとポジションが重なるかも? とかいろいろ考えちゃうけど。

ちなみに、ロバート・ヴィラハムはもちろんグレイス・クリントンの去就についてはまだ何も話してないけど、2月の代表ウィークでの活躍について訊かれたときに、「グレイス・クリントンをトッテナム・ホットスパーから代表に送り出して代表デビューを果たしたことは本人だけじゃなくチームにとってもすごく重要で、上位チームで出番をあまり得られてない若いタレントが成長できるチームになること、上位チームに所属してなくても代表に呼ばれるようになることはすごく重要なことだ」みたいなことを話してて、グレイス・クリントンを完全移籍で獲るため、または、グレイス・クリントンが取れなくても他の有望な若手を獲るための布石のようにも思えてちょっと興味深いな...とか思ったり。



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