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258%アップなんて数字も!! WSLの盛り上がりを裏付けるレポートをチェック :: WSL Watch #044

WSLに関する情報が含まれた興味深いレポートを代表ウィークにいくつか読んだんで、備忘も兼ねて気になるポイントを簡単にまとめてみた。『ザ・ガーディアン(The Guardian)』紙が選んだベスト・プレイヤー100人のランキングを取り上げた"WSL Watch #030"とか『ESPN』が選んだベスト・プレイヤー50人のランキングを取り上げた"WSL Watch #028"とか、WSLの世界的な位置付けについて考えた"WSL Watch #019"とかに似た感じで、WSLが他国リーグと比べてどういう特徴があるリーグなのかを考えるヒントのひとつになりそうなんで。

オンライン・サーチが258%増加して全競技でトップに

マーケティング・エージェンシーのレッド・トーチ(Redtorch)が2月26日に発表した"SportsOnSearch 2024"ってレポートによると、グーグル・トレンドのデータを基にファン・エンゲージメントを2023年とその前の4年間で比較した増加率のランキングで、WSLが全競技でトップの258%アップだったんだとか。レポート自体はPDFで公開されてるんで、誰でも見ることができる。

増加率ってことは元のデータが低いほうが有利? とかいろいろ考えちゃうけど、それでも258%アップって数字はインパクトがあるし、かなり注目が集まってるのは間違いないんじゃないかな。2位以下とはかなり差がある数字だし。ちなみに、2位はメジャー・リーグ・サッカー(MLS)で87%増、3位は陸上競技のダイアモンド・リーグで85%増、4位はヨーロッパのバスケットボールのユーロリーグ・ウィメンで76%増、5位はUEFAウィメンズ・チャンピオンズリーグで70%増って感じで続いてて、トップ10の内の6競技がウィメンズ・スポーツだったらしい。

フットボール・マネー・リーグで見るWSLの躍進

メンズ・フットボールではわりとお馴染みだけど、会計事務所でビジネス・コンサルティングなんかでも知られてるデロイトが毎年発表してるフットボール・マネー・リーグの最新版、"Deloitte Football Money League 2024 - The professionalisation acceleration of women’s football clubs"が1月に公開されてて、コレがなかなか興味深かったりする。ちなみに、対象になってるのはイングランド、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガルで、残念ながらオーストラリアとか日本とかアメリカとかスウェーデンとかノルウェーみたいな国は含まれてないらしいんだけど。

ヨーロッパのクラブの収益トップ15のランクを見ると、1位は€13,400,000のバルセロナで、2位のマンチェスター・ユナイテッドが€8,000,000なんでバルセロナがぶっちぎりって感じ。WSLのチームは2位のマンチェスター・ユナイテッド、4位のマンチェスター・シティ、5位のアーセナル、6位のチェルシー、10位のトッテナム・ホットスパー、11位のリヴァプール、13位のエヴァートン、14位のウェスト・ハム・ユナイテッドの計8チームがトップ15に入ってるんで、プレミアリーグほどじゃないけどリーグ全体としての存在感はかなり大きくなってるっぽい。ちなみに、スペインはバルセロナとレアル・マドリーの2チーム、フランスはパリ・サン・ジェルマンだけ、ドイツはフランクフルトとバイエルン・ミュンヘンの2チーム、あとはポルトガルのベンフィカとイタリアのユヴェントスが入ってる。

プロ・サッカー・クラブの収入は一般的に放送権料とスポンサーとマッチデイ収入が基本的な柱って言われてるけど、その比率なんかも見れて、チームによってけっこうバラつきがあって面白かったりする。スポンサーに関しては、メンズ・チームと抱き合わせの契約になってる部分の大きさが差になってるっぽい。

ちなみに、フットボール・マネー・リーグに関しては、『ジ・アスレティック(The Athletic)』の分析記事もなかなか興味深かったかな。

ウィメンズ・フットボールの国際的な移籍も急増

最後にFIFAが1月に発表した"Global Transfer Report 2023"について。コレはFIFAのレポートなんで、イングランドとかWSLにフォーカスしてるわけじゃなく基本的には世界中の男女のリーグの国外移籍に関してまとめたモノで、全64ページの12ページ程度がウィメンズ・フットボールに割かれてる感じ。コレもレポート自体はPDFで公開されてる。

全体としてはかなりの増加傾向で、2019年には国際的な移籍は838件(移籍金が発生したのは31件)だったのが5年後の2023年には1,888件(移籍金が発生したのは147件)に激増してて、移籍金の額も2019年にはUS$652,000だったのが2023年にはUS$6,100,000、2022年と比較しても3,300,000から84.2%増っていう過去最高額を記録したんだとか。

ちなみに、2023年に発生した移籍金のトップ5は、1位がオランダ代表MFのジル・ロード(Jill Roord)のヴォルフスブルクからマンチェスター・シティへの移籍、2位がオーストラリア代表MFのカイラ・クーニー・クロス(Kyra Cooney-Cross)のハンマルビーIFからアーセナルの移籍、4位がブラジル代表FWのジェイゼ(Geyse)のバルセロナからマンチェスター・ユナイテッドへの移籍だったりして、トップ5にWSLのチームの選手獲得が3件入ってるのが目を引くかな。

他にも、移籍してる選手の世代の分布とか、選手の国籍別の海外移籍の増減とか、サッカー連盟ごとのデータとか、いろいろ興味深いデータが載ってたりする。

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