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'敵'と闘ってるのか?

*イントロダクション「サッカーを語る言葉を整理したい。」はこちら

「サッカーを語るときに使われてるモヤッとする言葉」には、その言葉の意味を受け取る感覚、言ってみれば個人の'言語感覚'のようなモノに起因する類の言葉もある。「意味としては解るけど、ニュアンスにちょっと違和感があるんだよな」ってタイプ。その代表例として思い浮かぶのは、'敵'って表現。シンプルに「'敵'と試合をしてるのか?」「対戦相手は'敵'なのか?」って話なんだけど。

個人的には'敵'って言葉が強すぎるって印象だったりする。少なくとも、公の場で使う言葉としては。

メディアや実況・解説でも目や耳にするけど、特にサッカーの現場、選手や監督の口から語られることが多い印象かな(あくまでも印象だけど)。もしかしたら、現場感覚では文字通り「綺麗ごとじゃんだ、闘いなんだ、やるかやられるかだ、倒すべき敵なんだ」的な感覚なのかな? ってことは想像もできるし、理解もできる。あと、サポーターの間でも、カジュアルな会話では使われてておかしくないし、別に大きな問題ではないと思う。ただ、インタビューとかでも使うべき言葉なのか? ってだけで。

ちなみに、英語の実況やインタビューなんかで相手のチームとか選手に言及するときに'enemy'って単語が使われてるのを見聞きすることはほとんどなかったりする。多いのは'opponent'。つまり、'(対戦)相手'。もちろん、英語と日本語では違うって言えばそれまでだし、辞書的にもどちらにもどちらの意味もあるし、間違いではない。だから、あくまでも感覚的な問題、「強すぎるかどうか」って程度の問題なんだけど。

ただ、実際に日本語でサッカーを語るときに使われてる'敵'って言葉はほとんど'相手'で置き換え可能だと思うし。逆に、通常は'相手'って言ってたほうが、'敵'って表現をより強い意味で、より強いインパクトを込めて、より本来のニュアンスに近い意味で使えるってメリットもある気もしたりする。

ただ、ちょっと厄介というか、'敵'のほうが便利な場面もある。これだけは残念ながら認めざるを得ない。それは'敵陣'って表現。ハーフウェイ・ラインを挟んでピッチの相手ゴール側の半分を呼ぶときに使う表現、'自陣'と対になる表現だけど、このケースの場合、'相手陣'だとちょっと語呂が悪い感じはある。'相手陣内'だとそうでもないんだけど。

*分類:あくまでも「正誤ではなく感覚的な問題」で、たいていのケースでは'(対戦)相手'で問題なさそうだから「置き換え可能」、なおかつ「実害はないけど特に実益もない」になるのかな、これも。

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