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#11 並木 千夏の花が咲くまでの道(関東第3代表 早稲田大学 4年)

①カコ

私が大学3年生になるときにスタッフ陣が変わった。

私にとってこれは大きな出来事だった。
チームとしての共通理解が明確になったり、ピッチで指導を受けたりすることが新鮮で楽しかったのを鮮明に覚えている。
その同じ頃にコロナが大流行し、それに伴い部活動の活動休止を迫られた。

部活動が再開してからリーグが始まり、私は試合に出続けたいという気持ちが強くありすぎて、スタッフの求めるプレーの答え合わせをするかのように、失敗に怯えながらサッカーをしていた。
いいプレーをしなくちゃ、そんなことを考えながらやっていた。
そもそもいいプレーなんて自分の個性を出せたら勝手に滲み出てくるのに。
だから試合で使ってくれるのに。
自分を卑下し過ぎて自分自身を1番信じていなかった。

そんな殻の中に閉じこもっていた私は全くサッカーを楽しめていなかった。
試合の出場機会は増えるのに、自分自身の何かを積み重ねている感覚が全くなかった。
それでも急なポジション変更に起用されたり、それなりに試合に絡ませてもらえたりしていて、苦しかったけど自分なりにもがいて食らい付いたそんなシーズンだった。

②スイッチ

昨シーズンが終わった1月中旬、スタッフ陣との個人面談が行われた。
そこで昨シーズンの自分とチームの課題を話し、スタッフ陣からの昨シーズンの総評があった。

優しい言葉をかけてもらえるとは思っていなかったが、フィードバックなどの面談の内容が頭から抜けてしまうほど私にとって衝撃的な一言を言われた。

ちなつに何も期待してない。
インカレ初戦敗退という結果で終わった昨シーズン。
あの悔しさをバネに大学ラストシーズンに向けて「よし、やってやろう」と燃えたぎっていた時に。

きっと多くの選手はこの言葉を言われたら反骨心からさらにプラスのエネルギーが湧いてくるのだろう。しかし私は、それなりに頑張ってもがいたつもりで過ごした昨シーズンを全否定されているように感じ、半分諦めモードになった。
それと同時に求められている以上の姿にならなければ試合に出られる道がないということを悟った。
当たり前にチームが始動して数試合、ベンチスタートだった。
悔しい気持ちもあったが、私にとって失うものは何も無かった
ピッチに立つと、ミスを恐れていた今までのあの感覚がなくなったことに気がついた

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③ミライ

期待の裏返しだったのか、本当にそのままの意味だったのか、正直今でも分からない。

しかしあの時、1番期待してるって言って欲しかった人からの期待を失った代わりに、
何にも囚われず気楽に挑戦できる自分を見つけることができた

だからあの時に、厳しく突き放してくれたことに今感謝している。
サッカーってこんなに楽しいんだ」って改めて気づくことができた。

そんなア女での試合も、残すはあと数試合となった。
私は点をめちゃくちゃ決めるストライカーでもスピードスターでもスーパー選手でもなんでもない。
まだ花なんか咲いていない、ひとりじゃなにもできないただの無難な普通の選手。

しかし、私はチームで一番勝ちたいと思っている自信があるア女のサッカーが楽しい
このア女のメンバー全員で1つでも多くの試合に一緒に挑みたい。
そして、ひとつひとつ勝利を掴みたい。そのためには私自身がもう一つ殻を破らなければいけないと思っている。

決して簡単なことではないけれど、私には今シーズン一緒に戦ってきた頼れる仲間がいる

私は最後まで自分を信じて走り続ける

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