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私のサッカーノート/#29 サーカー壽梨(株式会社 セント・フォース/東京大学卒業)

①サッカーとの出会いと大学サッカーの思い出
私が初めてサッカーボールと触れあったのは3歳の時でした。母がサッカー好きだったこともあり、近所のサッカーチームに双子の兄と連れて行ってもらったことを覚えています。とは言え、その後は代表戦を観たり、プレミアリーグを観たりと観戦側にしばらく留まり、私がプレーを本格的に始めたのは大学入学後でした。高校まではやり投げと円盤投げに励んでいました。
大学でサッカーを始めたきっかけとしては、主にこれまでプレーはしたことのない「新しいスポーツ」を始めてみたいという気持ちとまだ創部3年目の東大ア式女子という組織との出会いでした。思い返せば小学校のダンスチームにしても高校の部活にしても自分は常にgrowing phaseにある組織に携わってきた気がします。その点で見ても、個を尊重し、誰一人として欠けてはならないという気持ちをすごく大切にしている東大ア式女子に出会えたことは運命だったと思っています。

サッカーと様々な関わり方をさせていただきました。プレーヤーとしてオンザピッチではチームでサイドハーフをやらせて頂き、「繋ぐ」・「走る」・「運ぶ」という点を含め、楽しさも苦しさも様々なことを学ばせて頂きました。2年生の時に長らく怪我で離脱していた同期の復帰戦が私の誕生日でした。その時に決めた自分のバースデーゴールは忘れることができません。オフザピッチでは会計という仕事を通して組織の仕組みを学び、様々な支えがあってチームが成り立っていることを学ばせて頂きました。また、ご縁を頂き、スカパー!の「レゾンデートル」(フランス語で“存在意義”という意味)という大学サッカー応援番組のナビゲーターを務めさせて頂けたことによって、人間的成長の要素が詰まっている大学サッカーにどんどんはまっていきました!

②サッカー環境とこれからの目標
私は現在すでに東京大学ア式蹴球部女子を卒部し、東京大学を卒業しています。現在はフリーアナウンサーをしながら大学で教務補佐員を勤めさせて頂いています。来年の4月からは、今までの活動を続けつつIT企業でPR業務をさせて頂きます。
私は、大学でサッカーとの様々な関わり方を経験させて頂き、間近で様々な関わり方を観させて頂くことができました。女子サッカーの当事者となったことで現状を知ることもできましたし、多少ですがありがたいことにプロの世界を覗かせて頂くこともできました。大学サッカーのプレーヤーとしては一旦区切りがつきましたが、今後もサッカーにはプレーヤーとしても他の形でも携わり続けたいと思っています。
私は、ざっくりとした大きな将来のビジョンとしてスポーツに携わり続けマイナースポーツの発展に貢献することと、インクルーシブな世の中の実現に携わることという2つを持っています。いつか女子サッカー界で新しいチームを作ってみたいという野望を抱いていたりもします(小声)。そして人間としては、仕事もプライベートも全力で楽しめる「かっこいい」と思ってもらえる女性を目指しつつ、「人」に寄り添える存在でありたいと思っています。この目標に向かって学び続け、成長し続けていきたいと思っていますので、応援していただけると幸いです。

③サッカーをしている女子大生に伝えたいこと
1つ目は、“You can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards ”です。
訳:将来を見据えて点(出来事)と点を結ぶことはできません。後で振り返ってみた時にしか、点と点を結ぶことはできないのです。
この言葉は、私の中に強く残っている言葉です。

2020年は新型コロナウイルスの流行により、世界中の誰もがそれぞれ何かしらの悩みを抱き、もどかしさを感じたことでしょう。特にずっとサッカーだけに集中して来た方々は練習を、そしてプレーをすることができなくなり、苦しさをぶつける場所すらない日々だったことでしょう。そんな中、「今できることを探そう」「今できることをやろう」という言葉をよく耳にするようになった気がします。もちろんこれはとても大切なことですし、ただ時に身を任せている人と考え・行動している人とで特に差が目に見えてしまいそうなのが自粛期間という時間だった気がします。
しかし、常に真剣にサッカーに向き合い続けてきた皆さんのことです。できる方は実践していたことでしょう。一方で、「分かっていてもできない」「できることが何か分からない」ということもあったことでしょう。そしてそのような状況はこれから訪れることがあるでしょう。私自身も経験していますし、今が大事だと分かっているからこそ自分自身の動けなさや悩みに焦って負のスパイラルに陥ってしまうのです。
そんな時は一度立ち止まって良いと思います。立ち止まることも、振り返ることも、悩むことも、「今その瞬間」にしかできないことだと思います。その時必死に苦しみもがき、考え抜いた時間は、何らかの形で将来につながっていることは確かです。自分では停滞している時間だと感じたとしても、失敗したとしても、何がどう将来にプラスに働いているかは時間が経ってみないと分からないものです。だからこそ立ち止まる時間も、挑戦する時間も意味を持つと思っています。

2つ目は、“今の環境と「繋がり」は奇跡”ということです。
女子サッカーはまだまだマイナースポーツですし、環境や条件が決して良いものであると言える状況ではないかと思います。続けるか続けないかなど、将来のサッカーキャリアについて大学時代に悩むことも多いと思います。だからこそ今サッカーをできていること自体や、機会・環境があることはとても恵まれていることだなと今改めて感じています。
先日、卒部をしてから初めてプレーヤーとしてではなくリーグ戦を観戦・手伝わせて頂きました。試合をしているチームメイトの姿を間近で見て、改めてサッカーは楽しかったこと思い出しました。試合後に泣いている後輩の姿を見て、何かを真剣に追い求める感覚、そして日々の練習の努力を思い出しました。ゴールを決めた瞬間の笑顔、試合後に試合について語り合って反省するコーチとチームメイトの姿を見て、同じ目標に向かって戦う仲間がいることの素晴らしさや喜びを思い出しました。そしてピッチ上及びピッチ外で動くスタッフ・OGや運営・審判の姿を見て、試合が実現していることの尊さや試合が成り立つ裏にあるサポートを改めて感じました。

サッカーを通じて出会ったチームメイトは一生繋がる仲間であり、サッカーを通じて得た関係は一生役に立つ繋がりだと今だからこそ強く感じています。そして今でも歓迎してもらえていつでも戻れる居場所があることに感謝しています。ぜひ皆さんにもサッカーで得たその一生ものの繋がりを大切にして頂きたいです。


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