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【シェア】 新型コロナは『ただの風邪』なのか

新型コロナウイルス感染症は、ほとんど風邪と同様の症状で治まるが、まれに症状が進むと『風邪の定義』を超えて、全く別の病態を生じさせ、重症化もする。

よって、新型コロナウイルス感染症は医学的に、『ただの風邪』とは別に分類される。

課題は、新型コロナウイルス感染症の取り扱いを、今後どうしてゆくか。

重症化リスクに捉われ、1〜2類の厳しい扱いを続けていると、新型コロナをめぐるさまざまな社会問題は、いつまで経っても区切りがつかない、と、私は思う。

以下転載>>>

「新型コロナは『ただの風邪なのかどうか』を考察して欲しい」という依頼がmessengerにたくさんきています。

これを聞いて、ネット上を調べてみると、確かに「新型コロナの風邪議論」は相当白熱しているようです。(ちょっと感情的かな?とも感じます)

「結局COVID19感染症は風邪ですか?」というご質問についてですが「風邪症候群の原因ウィルスとされず、医学的に『SARS-CoV-2感染症』とされており、風邪症候群とは分けられている」というのが正解です。

これについて解説いたします。

このような「風邪か否か」を議論するには「風邪の定義」を知らねばなりません。

風邪は正確には「急性上気道炎/風邪症候群」という病態のことです。
上気道(鼻腔→鼻咽頭→咽頭→喉頭)に急性に炎症が起こった状態で、その原因のほとんどが
・ライノウィルス
・コロナウィルス(ここが問題)
・RSウィルス
・アデノウィルス
・パラインフルエンザウィルス
のような「ウィルス感染」による疾患です。

最近は「インフルエンザウィルス」を含めないことが多いです。
(病態から診た診断学として分離)

ほとんどの場合、10日前後で自然寛解しますが、まれに「肺炎を含む下気道炎」に移行します。

下気道炎に移行した段階で風邪の診断ではなくなります。

ここまでの話でポイントは
・COVID19を急性上気道炎原因ウィルスに加えるかどうか
・下気道炎に移行した場合は「風邪(上気道炎)」ではなくなる
の2点です。

「風邪症候群/急性上気道炎」から「インフルエンザ」を分離したのは、その症状や下気道炎への移行率でしょう。

医学的な決定はまだかもしれませんが、インフルエンザ/SARS/MARSと同様に、COVID19も「風邪症候群」からは分類されていたように記憶しております。(感染症/呼吸器の専門医の先生、解説お願いいたします)

「肺炎を含む下気道炎」に移行した場合、病名は「風邪症候群/上気道炎」から「○○性肺炎/下気道炎」に変更されるということです。

COVID19は、感染から発症直後は「風邪症候群/急性上気道炎と類似した症状:咳/発熱/頭痛/鼻汁など」から始まりますので、将来的にCOVID19ウィルスが「急性上気道炎原因ウィルス」に分類される可能性はあります。

もし分類されれば、COVID19は「風邪」でスタートし、一部「下気道炎(肺炎)」に移行する疾患ということになります。

分類されなければ「風邪症候群」ではなく「COVID19感染症」という病名になります。(この可能性が高いです=ただの風邪ではない)

COVID19の問題となっているは
・下気道炎(肺炎)
・血栓症
です。

この段階で「風邪」ではありません。それは「風邪」や「インフルエンザ」から移行した場合でも同じです。

個人的に恐ろしいと感じるのは「血栓症」です。これは風邪症候群のウィルスやインフルエンザウィルスにはなかった特徴です。

私もこの兆候(Dダイマーの上昇)が現れたので、突然死を引き起こす「血栓症」リスクがありました。

どこかの血管でできた微細な血栓は、全身の99%を占める「どこかの毛細血管」を閉塞させます。それが
・肺
・脳
・心臓
・腎臓
であった場合致命的になりますし、その他の臓器
・肝臓
・皮膚(壊死/紫斑/脱毛がみられるようです)
でもそれなりの問題が出現します。

また、COVID19は他のウィルスと違い「サイトカインストーム★」を引き起こすことも救急医療の逼迫に一役買っています。
★免疫暴走(十楽註)

サイトカインストームについての解説はまた次回に回しますが、一旦ストーム(嵐)が起こると、炎症が「ボヤ」から「大火事」に変わります。そうなると、通常の炎症疾患とは違う対応を求められます。そういう意味でも「風邪症候群/インフルエンザ」とも違う特徴を持つようです。

私自身も、多分ですがサイトカインストームが発生したと思われ、風邪様症状から2日で気管内挿管まで移行しました。

巷の議論はほとんどが『風邪と同じ症状』で終わるから「ただの風邪だ」ということなのでしょうが、風邪様症状がすべて「風邪症候群」ではありません。
・マイコプラズマ
・結核菌
・EBウィルス伝染性単核球症
・百日咳菌
・クラミジア
・アスペルギルス(カビ)
などによる感染症も自覚症状的には「風邪」であっても「風邪症候群」から分離しています。

結局「ほとんどの症状が風邪=風邪と同じ」という話と「診断学上で急性上気道炎/風邪症候群であるかどうか」は別の話だということです。

一般の人は正確な医学知識がありませんので、あくまでも「自覚症状からの感覚」で病名を決めたくなるのはわかります。
たしかに初期症状は「風邪症候群」と見分けがつかない部分も大きいかと思いますし、医師でも検査をしない限り分類できません。

しかし「病名診断」とは感覚/感情ではありません。

まとめると
・風邪症候群の原因ウィルスとは分離
・自覚症状の多くは「風邪様症状」で終了
・一部「肺炎/下気道炎」へ移行する
ここまでは風邪症候群/インフルエンザと類似し
・サイトカインストームによる急激な症状変化がある
・血栓症の発生による突然死を引き起こす
が風邪症候群/インフルエンザ感染症と大きく違う特徴であり
・救急処置が必要となり、救急崩壊の原因となる
という問題点だと考えます。


最前線で対応されている救急チームの見解では
・肺炎は人工呼吸器を含めたICU管理を適切に行うことができればほとんどが救命しうる
・血栓症の場合、部位によっては治療が間に合わない
という感じかと思います。

よって、初期治療としての
・炎症制御
・血栓予防
をどうすべきかが重要だと思います。これについては慎重な議論が必要かと思います。

こんな説明でいかがでしょうか?

医療法人社団医献会
辻クリニック
理事長・院長
辻直樹さんの
Facebook記事を転載しました。