見出し画像

猫好き女性の心理

獣医師の方なら同意していただけると思います。猫の飼い主はあまり上客ではありません。できるだけ費用をかけないように飼っている人が多いです。また、多数飼う人が多いので、伝染病などが広がったときはパニックです。猫をつれてくるクライアント比率は20%といわれています。売り上げはどのくらい貢献するのでしょうか?13%くらいでしょうか?

猫好きは女性に多く、猫派の方は猫アイテムを集めたりします。猫ものと犬もので、猫ものの方が圧倒的に売り上げが上がります。
獣医師としてちょっと残念に思うのは、そうした女性たちが、

「ワタシって、人に拘束されないで、ちょっとこずるくって、そんなところが猫そっくりでしょ?だから猫に共感を持ってすきなの。」

などど仰ることです。
猫は猫の都合で生きているのです。

長年の進化と、人と出会っての改良の過程で現在の猫がいるのであって、「ワタシに似てるでしょ?ウフッ❤」などど言われるために猫をやっているのではないのです。
ずるいのはその人個人の問題で、なんで猫と同化するのか、理解不能です。

だからあなたの自己中が正当化されるわけでもなんでもないのです。猫はもっと一生懸命生きていると思いますよ。

特に子どもを育てるときは必死です。以前、家族であるキャンプ場に滞在したときのことです。退出時にごみを捨てようとしたら、妊娠している猫がやってきて、「その魚の骨は私にください。かたづけないで」とニャーニャー泣くのです。その熱心さに負けて骨を置いてきました。
なんか、タブーを侵してしまったら、いままでの鬱積が一気に出てきたみたいです。そうなんですよね。「猫好きだから、猫と似た行動をしてもよい。」と思う方々には2つの誤解があるのです。

1 猫は自由きまま・社会に拘束されない。

2 その猫が好きだから、同じような行動をとっても許される


まず1について、

猫にも猫の社会があり、上下関係があり、戦いがあり、遠慮があります。
こうした人は、猫のきれいな面しかみていません。長い間ボスを張ってた野良猫は、耳が半分くらいしかありません。苦労してるんです。

2もおかしいです。
好きなら似た行動をとってもよいのなら、どうぞ二階から飛び降りて一回転着地や、木に飛び上がる、などもやって見せてください。
残業で忙しいカレに電話して、ショッピングに付き合えとゴネてみたり、友達との約束をドタキャンしたり、そういうのは猫はやらないんです。そういうのを、「自由きままで誰にも拘束されない。」とは言わないんです。

自分が身勝手な理由を猫に押し付けるなんて、どこかおかしいです。そもそも、動物の一部だけをとって同化しようとする考えは変です。アメリカインディアンの一部族が、動物の強さを自己の物にするためにかぶりものをしたり、羽を身に付けたりというのはありますが、それとはまた違うような気がします。これを投稿したら、ある開業獣医師の先生がメッセージをくださいました。やはり思うところは同じであるようです。以下、引用です。

/////////////////////
まったく同意します。 猫好きは一般的に猫の擬人化が激しく、社会適合性が低く、道徳心を欠く人が多い。
犬好き、動物全般好きとは全く異質のお客さんです。 特に猫の餌やりをしている中高年女性にそういうタイプが多いですね。 で、猫を増やしたら自分が困って「不妊手術してくれ、無料でやれ」って持ってくる。

うちも自営業だから無料ではできないんですよ、というと、あんたは獣医だろう、猫好きだろう、可愛そうな命を・・・云々と自己中心的な論理をまくしたてる。
よく聞いたら餌やり野良猫だと言うので、ボランティアだと思って、検査抜き、日帰り手術の卵巣切除のみでよければ5千円でいいですよと・・・破格の安値を提示しても、なんでタダじゃないんだ!と怒鳴られました。

ヒステリックに大きな声でね。狭い病院ですから業務妨害ですよ。 コンビニに入ってタダで商品をよこせ!と言ったら強盗ですが、動物病院でタダで手術しろ!と言うのも同じだという感覚が無い時点でまともな人種ではないですね。 猫好きは似たり寄ったりです。
要するに猫が好きで餌やりや可愛がりは楽しいからやるけど、猫や周囲に責任を持つのは絶対にイヤだって言うんですね。 それで、猫を大事にしてないって獣医や役所を攻撃する。 「猫ファシスト」と私たちは呼んでいます。

余談ですが、ここ数ヶ月で万引きGメンの特集を短期間にテレビで3回見たのですが(たしかそれぞれ別局)、3回とも猫カンを万引きした犯人が捕まっていて妙になっとくしました。 いずれも高齢の女性で、ドッグフードを万引きした人はいませんでした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ということです。これから高齢化で、ますます飼い主が難しくなっていくような気がします。

似内惠子(獣医師・似内産業動物診療所院長))
(この原稿の著作権は筆者に帰属します。無断転載を禁じます。)
似内のプロフィール
https://editor.note.com/notes/n1278cf05c52d/publish/
ブログ「獣医学の視点から」

オールアバウト「動物病院」コラム
https://allabout.co.jp/gm/gt/3049/



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?