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「理科系マインド」の育成

理系系マインドとは、化学や生物の成績が良い人なら必ず持っているとは限りません。育成には時間がかかるものなのです。この育成は家庭でこれから子供の教育をする親も、理科系を目指す学生も、どちらにも必要なことと思っています。
理科系マインドは大学教育ですぐに育成できるものでもありません。むしろそれは遅いと思います。
大学に入り、2年を過ぎた時はすでに実験や論文が迫っているので、もっと早めに育成をしておくのがよいと思います。
また、早い段階で育成をやってみて、「自分が理科系に向いているか、いないか」の判断をするのも必要だと思います。向いていないことをするのは苦痛なので、早くやめるのも賢明な方法です。

では、具体的にどうすればよいのか?いくつか挙げてみます。

1 思考方法を変える
何でも最初から答えがあると思わない。大学院の研究は、参考書の裏に答えがついていません。集めたデータから答えを見つけていくものです。
すぐ答えを欲しがる自分がいたら、そこを変えていく。一番基本はそこです。受験で成功体験のある人ほどつらいと思います。

2 実物を見る
博物館・科学館に行って、実際にモノを見る。受験で勉強している科目とのリンクをつけることです。生物や化学の教科書にあるものを、科学センターや博物館で確認します。そうして初めて知識は自分のものになります。

3 手を動かせる人になる
医科系や理科系に入学すると、また講座に配属されると、作業が多いのに驚きます。実験室で迅速に動けるようになることは、大切です。

4 科学雑誌・書籍を読む
専門の裾野を広げる努力です。最新の技術を知っておくことも必要です。
特に獣医師は領域が広いのに、一般の人は何でも知っていると思っていろいろな質問があります。
理科系全般で最新の知識を得ておくことは必要です。それも図書館に籠って熟読する、という感覚ではありません。
寝転がって英文の専門書や論文を読める、そんな人を目指したいと思います。

5 人間関係を上手にに築ける人になる
この能力は大切です。
研究はチームで動くので、勉強一筋で来た現役生より、運動部を経験して、浪人して入った学生の方が組織内でうまくやっている様子をよく見ます。どうしても教わらないと学べない技術もあるのです。

6 数量でものごとを把握する習慣をつける
漠然と「多い」とか「かなりの」とか言う表現を避けることです。
こうした日常の習慣も大切だと思います。
理系文系を問わず、数字は時には自分を裏切り、残念な結果を見せることがあります。それにも耐えていかなければなりません。

「理科マインド育成」とは、ニュートンがりんごの落ちるのをみて万有引力を発見したように、周囲の人と違う眼で、起きている事象を見る、そんな感じだと思っていただけますか?理系は一日にして成らず、です。

似内惠子(獣医師・似内産業動物診療所院長))
(この原稿の著作権は筆者に帰属します。無断転載を禁じます。)
似内のプロフィール
https://editor.note.com/notes/n1278cf05c52d/publish/
ブログ「獣医学の視点から」

オールアバウト「動物病院」コラム
https://allabout.co.jp/gm/gt/3049/


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