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marikooota
【毎週ショートショートnote】放課後ランプ(母)
「ランプ?カレーを入れる器みたいな銀色のやつなら棚に入ってたと思うけど」
娘が棚から埃をかぶったランプを出してきた。祖父がエジプトで買った骨董品だ。子供の頃、何度かこすってみたが、ジーニーは出てこなかった。
「何に使うの?」
「まあ、ちょっと。部活で」
中学に上がり、娘の言葉は以前より素っ気ない。成長を喜ぶ反面、寂しくもある。近頃は難しい顔をして、スマホばかりをいじっている。
「文芸部で?」
娘はランプをテーブルに置いた。
「今週の作文のお題が、『放課後ランプ』なの。みんなランプを見たことないっていうから、見せてあげようと思って」
「変なお題ね」
「ランダムだから仕方ないの。今回は良い方」
「あっ!思いついちゃった!ランプをこすると放課後の精ヨージーが出てくる、って話はどう?」
「お母さんが考えないでよ!あっ、放課後の精だから四時?」
「そう!よく分かったね!」
「……それ使ってもいい?」
娘はソファに寝そべると、スマホと睨めっこを始めた。
終
【毎週ショートショートnote】放課後ランプ(娘)と連作です。
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