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俺と革 10章 革作りの機械

45年間 ありがとう‼️

10章では、
今まで数々の名品を生み出してくれた『三番太鼓』のお話し。

そもそも太鼓(Drum)とは…
皮革と薬剤の水溶液を入れて使う、太鼓型の回転容器。強化プラスチック製のものもあるが、木で作られたものが多い。
製革工程の準備作業やなめし工程、再鞣(さいじゅう)、染色、加脂工程における水場処理、空打ちの際に使用する。
大・中・小があり、各工程において、適切な大きさのものを用いている。

俺がこの『三番太鼓』に出会ったのは、沼田産業時代「2課」と呼ばれる、鞣し、染色と言う部署だった。
俺が10代の終りか20代前半の頃だったかもしれない。

当時沼田では、原皮専用太鼓、ハスペル、タンニン鞣し用の太鼓、クロム鞣し&染色太鼓(大、中、小、S、試験)、空打ち太鼓と全部で18機あった(記憶が正しければ…)。

三番太鼓は、主に鞣し、染色で活躍していた大太鼓と言う分類にしていた。
大きさは、8尺6尺(約2.42m 1.8m)で、どれくらい量が入るのかと言うと、鞣し時で1350キロ/120~130枚 染色時で300キロ/50枚くらい入る(この数字はちょうど良いキャパ数)。

俺が三番太鼓に出会った頃は、画像のようにはなっておらず比較的新しい太鼓だった。
大太鼓は6番太鼓まであったが、三番太鼓が一番使いやすかったし、なぜか好きだった(笑)

この太鼓で、よく染めてたのがミズプロのキップでオレンジ80枚と、ミズプロのエリート(USステア)でオレンジ50枚だった。
その他のカラーもあったが、圧倒的にオレンジが多かった。
俺は今でもこの時の、オレンジが好きです。
深みのある力強い高級感のあるオレンジだった…
個人的にオレンジが好きになったのもこの時からだった…

草加の工場を離れて、今の第二工場へと場所を移したときにも、この三番太鼓は移動して持ってきて使った。

第二工場でやるようになって20年くらいになるが、懸命に動いてくれていた。(補修も何回もしました)
分厚い木も、スカスカになってきていて、乾いたらおしまいだと思い慎重に扱ってきたが…

しかし、一昨年の夏にあまりにも猛暑日が続いた時に、通常は1週間くらいは使わなくても乾かないが、3日間で乾いてしまい、いくら水を含ませても水漏れが治らなかった…

約45年間の数々の名品を作ってきた、三番太鼓も静かに幕を閉じたのであった…

現在も静かに、第二工場で じっと仕事を見つめている…

三番太鼓よ、長い間、本当にありがとうございました。

ジュテルのホームページのトップ画像で、現役バリバリの頃が写してある。

http://juteru-leather.jp/


10章 終わり

つづく

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