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俺と革 7章

 5~6章と『俺と革』とは違った話を書いたが、7章では革の話を書きたいと思う

 noteでタイトルを『俺と革』にして、続き風に書いてしまっているが、実は書けない事も非常に多い。 それが面白いところなのにと考えると複雑になる。(笑)

では、革の話にしよう…
当時は、作っていた革の中でも、型押しという革も多かった。

『型押し革というのは、凹凸を刻印した鉄板で加熱、加圧し、革の表面に種々な凹凸模様をつけた革の総称である。』

型押しは 革の傷等、すなわち生きた証を隠すという事で、安物という人もいるが、当時そういうとらわれ方は少なかった。ちゃんと型押しでもその革の良さを熟視してる人が多かったと言った方が正解かもしれない。(勿論現在でもちゃんとこういう人は居ますよ) 

型押しと言えば、一般の方には、クロコダイルの型押し革とかは知ってる人も多いと思う。

うちでは、クロコダイル系爬虫類系の型押しの要望はゼロと言うくらい少なかった。(厚塗りではなく革の素肌を重視した革が多かった)

中でも、記憶にある型押しは、象さんの型押しで『象の鼻』という名前の型押しがあった。
本物の象の革に、似ていると言って製造中止になった事もあった。

忘れられないのが、『Mr.ジュンコ』のブランドで使われた バッファローの型。
来る日も来る日も、染色した記憶がある。
大量に作ったせいで、型押しの鉄の版が割れてしまった事もあった位だった。
素上(薄化粧)で、軽くツートーンで革っぽい風合いの革だった。色合わせが難しかったのを覚えてる。

当時はとにかく型押しは多かった。革がまだまだ売れた時代だったんだろうな… 現在はほとんどうちには型押しの注文は無くなった…(苦笑)

俺は個人的には、型押しは好きだ。
ジュテルの製品には、どんどん取り入れようと思っている。
この原皮で、型押しで、この配色で、この風合いでと、アイディアは俺の頭の中にはいっぱいある(時間が足りない(笑))

世間には流行とかがある。型押しはまさにそれに当てはまる敏感なアイテムだが、流行を飛び越えるようなデザインの革を、いつか作ってみたい(笑) 
自分のブランドなら、それが可能と思う……

つづく。

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