エンディングノートで救われた話
僕の父は5年前に急死しました。
誰よりも本人が驚いていたかと思います。
僕を含めた家族はみんな突然の別れに泣きまくりました。
ちゃんと悲しみたいけど、もっと父のことを想いたいけど、口座やカードの手続き、お世話になった方への連絡などしばらくはバタバタでした。
数週間が経ち、ひと段落したところで遺品整理をはじめました。
ついこないだ書いたであろうメモや予定していたスケジュールが手書きされてるカレンダー、僕が小さい頃にあげた誕生日の手紙が出てきたり、写真が出てきたり、、、もうどれをとっても涙が止まりませんでした。
棚の整理をしているとエンディングノートが出てきました。
母に聞いたところ、数年前に保険会社からもらったみたいで、父に書いとくように言ったことがあったみたいです。
いざエンディングノートを見てみると、ほとんどが未記入でした。生年月日とか住所とか、そんなん知ってるっちゅーねんみたいな情報は書いていましたが、口座の暗証番号とかなんかのパスワードとかそんなものは一つも書かれておらず、これもまた父らしいなと涙しました。
パラパラめくっていると1箇所だけちゃんと書かれていた項目がありました。
「その他普段考えていること、望むことがあれば以下に書いてみましょう。」
この項目に、達筆な字でこう書いていました。
「葬式後、遺骨を下記順にて巡ってもらえれば幸いです。」
そして、箇条書きで、父の思い出の場所とそこでの思い出が一言書かれていました。
・〇〇マンション→家庭を持って初めての住まいで母さんとの思い出の場所
・〇〇公園→子どもたちやよく遊んだ思い出の場所
どれも日常の場所が書かれていましたが、父にとっては全てにたくさんの思い出が染み込んでいる場所になっていたことをそこで知りました。そしてそのどれもに家族との思い出が書かれていて母と共に涙を流しました。
後日、家族そろって、父の遺骨を抱いて全てを回りました。
母は、ここが初めて夫婦で住んだところやわとか、ここの神社によく行ってたわとか僕らが知らない父と母の思い出に振り返っていました。移動中は、家族で父のことを話して、久しぶりにみんなの笑顔を見た気がしました。
このエンディングノートに書かれていた思い出の地巡りは、父が連れて行ってくれた最後の家族旅行のような気がしました。
思い出の地巡りしてほしいとしか書かれていなかったですが、それでも僕ら家族はメンタル的に救われましたし、父をそばに感じることができました。
以上です。
元気なうちはなかなか書く気にならないですが、でもいつ何が起こるかわからない時代なので大切な人がいるのであれば、なんでもいいので、手書きで残しておくことをお勧めします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
生前の父のことは以下の記事に書いてますので、読んでもらえると僕はもちろん父も嬉しいと思います。
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