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台湾に来たばかりの時1番信頼していた台湾人に裏切られた話

2020年11月、中国語も喋れない私は1人で台湾へやってきた。
流石に頼れる友達が1人もいないと心細いし不安もたくさんなので、日本へいる間にオンラインの言語交換アプリで友達を作っておいたんだ。
彼の名はJくん。日本語が堪能で、中国語を学び始めたばかりの私にとても熱心に台湾の中国語を教えてくれていた。私が台湾へ来る直前は週に2回2時間程度オンラインで中国語のレッスンもしてくれた。
当時台湾の入国隔離は厳しく、ホテルの値段も安くはなかった。するとそこで、Jくんのおばさんは新竹で部屋を貸しているから、隔離ホテルの代わりにその部屋を安く貸してあげられると言われた。もしその部屋が気に入ったらそのまま住んでも良いと。
正直当てがなかった私にはとっても美味しい話だったんだ。さらにJくんは、彼のガールフレンドは私と気が合うと思うって、オンラインレッスン中に何度か挨拶をかわしたりもした。台湾に行ったらこの2人と一緒に過ごせると思うと楽しみで仕方なかった。もちろん安全のために私の母とJくんは連絡先LINEも交換して、とりあえず準備万端で飛びだったんだ。

見知らぬ日本人の私を家族みんなで歓迎してくれた台湾人一家

台湾に着いた日からJくんとおばさんたちは私をとても気にかけてくれた。
隔離中必要なものは全て買ってきてくれたし、おばさんは家賃を光熱費水道代全て込みで月5000元で良いよと。正直2LDKの大きなマンションの一部屋、たった1人で使うのには勿体無すぎるほど。広すぎて1人じゃ夜中は怖く、リビングにはとてもいられなかった。ただキッチンも大きくて毎日料理するのがとても楽しかったのは良い思い出。
おばさんは私の事をとても気に入ってくれて、ずっと住んでいてほしいと言われたほど。どうやら掃除好きの私に、このまま部屋を綺麗に使ってもらいたかったよう。学校までも近いし、このまま他に家が見つからないようであれば言葉に甘えて住み続けるつもりだった。

Eちゃんとの交流

Jくんの彼女のEちゃんは英語が話せるので、私とは英語で会話していた。Eちゃんと私は趣味がとても似ていて、音楽やファッションなどの話でいつも盛り上がっていたんだ。いつのまにか私とJくんより、私とEちゃんの方が仲良くなっていた気もする。Eちゃんは私を台北に連れて行ってくれたり、Eちゃんの家でお泊まり会もしたり、とっても大好きなお姉ちゃんの存在になった。

急に訪れる奇妙な変化

Eちゃんと遊ぶ機会が増えた一方でクリスマス間際になってJくんからの連絡が突然減った。
気づけばJくんと会う事もなく新年も迎え、なぜか連絡取らなくなってしまった。相変わらずEちゃんとは連絡を取り続け、年明けも一緒に遊んだりした。
しかし1月下旬、Eちゃんから急に、「おばさんの息子が帰ってくるらしいから部屋を空けてほしい。2月の初めには帰ってきてその部屋に住み始める」とLINEが来た。私は急いで新しい部屋を探した。クラスメートの台湾人の旦那さんに週末手伝ってもらって、2日間で内見した部屋を契約した。本当に緊迫した状況だったんだ。
ただ一つ疑問なのは、どうしてJくんは直接私に連絡を入れず全てEちゃん伝えになっていたのだろう。私が引っ越しの際に最後のメッセージとして、「お世話になった部屋ともお別れなのは少し寂しい」なんていうLINEを送ってみたのだが、既読も付かずに日が経っていった。

おばさんに告げられた事実

引っ越し当日、おばさんとおばさんの妹さんが2人揃って私のお見送りに来てくれた。台湾へ来たばかりの時私の中国語はまだ貧しくおばさんともうまくコミュニケーションが取れなかったのだが、2ヶ月経った頃には少し進歩していたのでおばさんにもしっかり感謝の気持ちを伝えられた。
ところがおばさんたちは顔をしかめて私にこう尋ねたんだ。

「なぜこんな突然引っ越すの?この家が嫌いなの?学校行くのが不便なの?」

私「.…おばさんの息子が帰ってくるんじゃないの?」

おばさん「私の息子は嘉義に住んでて仕事もあって家も持ってて、帰ってくるわけないじゃない」

この時の血の気が引いて絶望感に襲われたあの感覚は今でも忘れない。おばさんたちも、JくんとEちゃんの仕業だと知って驚いた。おばさん2人は、1人で外国に来たのにこんなに酷くて辛い思いをさせてごめんね、と、おばさんが泣き出してしまった。私も悔しくなって涙が止まらなくなる。そんな私を抱きしめて励ましてくれたおばさんには本当に感謝しかない。もし新しい家が気に入らなかったらいつでも戻っておいでと言ってくれた。


永遠に葬られた事実

完全にEちゃんのことも信頼できなくなった私は彼女とも連絡を取るのをやめた。
おばさんはその数ヶ月後、私をご飯へ連れて行ってくれて、果物屋で沢山の果物を私に買って持ち帰らせてくれたんだ。Jくんたちの知らないところで私にまで良くしてくれるおばさんだけが私の真の救い人だった。

結局今の今まで、なぜ私がそのような仕打ちをされたのか、何が起こったのかわからない。永遠の謎だが、今となってはどうでも良い事。(まあ単純に考えて考えられる理由は一つしかないのだけど)あの頃にこの2人の元を去っていなかったら今頃もっと酷いイジメをされていたのかもしれないと考えると心からゾッとする。

人間不信になった。


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