METライブビューイング イドメネオ
NYのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラが、METライブビューイングとして映画になり世界中に配信されています。以前配信された演目からのアンコール上映が東劇(東銀座)であり行ってきました。昨日はイドメネオ(モーツアルト)でした。
クレタ王イドメネオは航海中に嵐に会い、海神ネプチューンに助けを乞い「命を助けてくれれば陸に上がって最初に会った人物を人質として差し出す」と約束、ところが、初めに会った人物が息子のイダマンテであった、というところから話は展開していきます。2017年の上演でレヴァインの指揮。
モーツアルトの音楽に身を任せて気分の良い4時間でした。映画ですからアップの場面が多く、歌手の顔も歌いっぷりも良く見え、聴きどころのアリアも良かったですね。身体が喜んでいました。細胞一つ一つがモーツアルトを堪能したと言っています。
METの歌手さんたちはさすがで素晴らしいの一言。ちょっと感じたこと。
悩める王イドメネオは軽めのテノールで、通りが良くない声は聴きづらくて(映画なのに)、一方のイダマンテはベテランのメゾ、太い落ち着いた声で堂々と歌い上げている感じ。父親と息子・・・どちらが・・・でした・・
モーツアルトのオペラにはよくヒステリックなソプラノが出てきますよね。例えば夜の女王(魔笛)とかですが、イドメネオではエレットラで、彼女の気違いじみた激しさの歌は拍手喝采でした。
METライブビューイングはいつもは横浜で観ていまして、昨シーズンはドンジョバンニなど2~3観ました。その時のドンジョバンニを演じたバリトンはすごくソフトでそれが以外に思えたのですよ。それまでのドンジョバンニはその時代の象徴的存在であり、その時代の闇を背負っている時代の悪の権化でもあって、力強くて逞しい、時代のひずみを利用して得をしている階級の人であり、それでも時にぽろっと人間的な弱さを見せることもある人物と思っていましたので、ソフトな声のソフトなドンジョバンニがすごく意外で、もっと力強い声の歌が良いと思いました。プロデューサーの意向とかあるのかもしれません。
オペラはというのは、同じセリフと同じ歌で劇を作り上げていくもの、だとするとその舞台を作るときの製作者は、劇の方向性を決めることもできそうですね。音楽と歌を楽しむために見ていましたが、その奥に吹き込まれているものが見えてくると、それが私の考えと同じ方向を向いているかどうかが気になってきますね。
なかなか見ることができない演目を観ることができるMETは楽しみでしたが
自分の考えがはっきりしてくるにつれ、今までは、オペラであれば観に行きたいでしたが、昨今はちょっと違ってきました。「自分の好みに仕立てられたものを楽しみたい」のですよね。これって歳のなせる業でしょうか・・・
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