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〜ものだ・ことだ 意味・使い方【例文付き】


そもそも「もの」「こと」の役割とは?

ひらがなの「もの」「こと」は形式名詞に分類されます。形式名詞とは、名詞としての役割を持っているものの、それ単体で意味内容を持たない名詞のことです。

普通名詞:りんご ゴリラ ランドセル → 絵がイメージでき、それ自体が具体的に意味を持つ
形式名詞: こと もの ところ →その言葉自体の絵がイメージできず、抽象的な意味しか持たない

【もの】
・スリッパは家の中で履くものです。
・人から借りたものは大切に使いましょう。
【こと】
・趣味は一人でカラオケに行くこと(ヒトカラ)です。
・それはやっちゃいけないことだよ。

抽象的な意味しか持たないため広く様々な場面で使われ、「もの・こと」は両方とも前に修飾する言葉を持つ。

「もの」:ある物体(もの)について「どんな」ものなのかを説明しているイメージ (例:スリッパ=家の中で履くもの)
「こと」:動詞(V)を名詞(N)にして、文の中に入れ込むイメージ (例:一人でカラオケに行く(V)→行くこと(N))

〜ものだ

【形】Vル・Vナイ+ものだ/Aイ・Naナ+ものだ

【意味】本来そうである(場合によっては「そうあるべき」という理想)状態や行為

【例文】
・満腹になったら眠くなるものだ。
・大事な発表の前は緊張するものだ。
・娘から手紙をもらったら、父親はうれしいものだよ。
・他の人に何かしてもらったら「ありがとう」と言うものだ。

【ポイント】
一般常識などについて話すときに使われる表現であるため、個人や個別の事例には使わないと思います。

 ○ X社は今回の事件について謝罪するべきだ。
 △ X社は今回の事件について謝罪するものだ。

扱う内容・例文によっては、受け手が偏見や思い込みを押し付けられているように感じられるので注意!性差や特定のカテゴリーに関するもの・文化差のあるものよりも、なるべく普遍的なトピック(生理現象など)学習者にもわかりやすいのではないかと思います🌱

 △子育ては母親がするものだ。
 △子どもは外で遊ぶものだ。

〜ことだ

【形】Vル・Vナイ+ことだ

【意味】何か目的や目標を達成するために必要となる行為

【例文】(目的:ダイエット・痩せる)
・まずは毎日たくさん歩くことだ。
・次に甘いものはなるべく食べないことだ。
・そして、毎日鏡の前に立って自分の体を見ることだ。

【ポイント】
何らかの目標・目的は個人それぞれが持つものであることが多いため、「〜もの」とは異なり、「〜ことだ」は個人への助言などの発話内で用いられることが多いです。

A:なんとか、夏までに5キロは減らしたいんだよね!
B:うーん、まずは今食べているどら焼きから手を離すことだね、、、、

<類似表現>「Vナイことだ」VS「Vルことはない」
「Vナイことだ」:その行為(V)をしないことが目標達成に必要である (例:健康でいたければ、夜更かしはしないことだ。)
「Vルことはない」:その行為(V)が重要ではない・不必要なことを表す (例:他人の評価なんて気にすることはないよ。)

まとめ

・「もの/こと」はそれぞれ物体と事象を表す形式名詞であり、抽象度が高い
・「〜もの」は本来そうである(場合によっては「そうあるべき」という理想)状態や行為について表すのに対して、「〜こと」は何か目的や目標を達成するために必要となる行為について表す。
・「〜もの」は一般常識や自然の摂理などについて表すため、「個」に対しては基本使用しないのに対して「〜ことだ」は個人への助言などの発話内で用いられることが多い

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