見出し画像

天邪鬼の巡礼

旅なら数日かけてじっくり楽しみたいけれど、日帰りだったらそんなに遠くまで行きたくない。
そんな天邪鬼を満たす場所として目をつけたのが秩父札所34霊場だ。
これならば一度に3~4箇所ずつ回って数回に分けて楽しむことができそうだ。

本来ならしっかりと歩いて回り、それぞれでお経を唱えて(奉納して)行くものだそうで、事実、何度か現役のお坊さんと思しき人がお経を唱えているのに出会ったことがあった。そんなときはそっと後ろでお経が終わるまで(便乗して)合掌していた。

卸もその年は12年に一度の午年総開帳。御本尊が収められている厨子の扉が開く年。
一番札所の四万部寺で御朱印帳を買って御朱印を頂いてスタートした。
それまでオートバイで出かけると、ご飯と少しの休憩を取るだけで先を急ぐように時間を過ごしていたけれど、札所巡りではオートバイを停めた後に近隣の札所を歩いて回ったりできるところもあって、普段見落としそうな蕎麦屋を見つけたり、接待所でお茶をもらったり、お寺で居合わせたおばさんからアメ玉をもらうこともあった。結局、8回に分けて巡りおえた。

この年は途中で親父が死んだので、その後は「親父をよろしくお願いします。」というお願いも追加した。
宗派の違うお寺でもお願いしたのでちょっと迷惑だったかもしれないけれど、そこは秩父の仏様。きっと聞いてくれたに違いない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?