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ジュウ・ショのサブカル音楽マガジン

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音楽についてサブカルチャー的な視点から紹介・解説。 学術書とか解説本みたいに小難しくなく、 極めてやさしく、おもしろく、深ーく書きまーす。
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記事一覧

乃木坂46時間TVを45時間40分観た、過激派女ヲタの喜怒哀楽が暴走した話

「もしもし……あのさ、今それスマホで喋ってるよね。ちょっとPC通話に切り替えて。あの、あれね。画面ありでね。ちょい、メシ食おう」 昨晩、2時過ぎの電話である。繰り返す。深夜2時過ぎである。 電話の相手は最近なぜかちょこちょこnoteで紹介している過激派の女性乃木ヲタだ。ちなみに本職は映像制作会社の編集者で、なんかよく知らんがいろんな番組をつくっている。以下の記事でも紹介した。私が昔、某アイドル雑誌で書いていたころに知り合った友だちだ。 彼女はかつて大園桃子のために、一回

人間がヲタクになり推し活を終えるまでを4ステップで解読してみた

私は主にアート、マンガ、音楽、小説といった分野でライティングをしている。これらの創作物は、広義で「文化(カルチャー)」という枠でくくられる。 ただ、カルチャーは決してエンタメだけに特化した言葉じゃない。カップ焼きそばUFOのパッケージとか、無印良品のオーガニック食材とか、そういうものもひっくるめて文化だ。決して一過性のブームではない。何人かのヲタがソレを推して歴史を作ったもの。それが文化となる。 カルチャーについては以下の記事で紹介していますので、暇すぎてもう飲料の原材料

アイドルヲタ4人でBiSHの今後について喋った話|地下→地上→解散という稀有な例について

「師走」の語源になった師匠を見てみたい。弟子の僧侶がこう床の雑巾掛けとかしながらさ…… 「あー、ヤベェ。12月マジ多忙で死ぬわコレ」「それな、年賀に歳暮に大掃除に仏名会だもんな〜」「………おい見ろ。師匠すら走ってんぞ」「大事件じゃんこれ……。あの師匠が走る……こりゃ師走だな」ってなったわけやん。 いや、普段どんだけゆったりしてんだよ。絶対に太ってるでしょ。かっけぇなって感じで見習いたい気持ちになるわけですが、語源を調べると「師が走るから師走」ってわけじゃないらしい。 ま

一所懸命に鼻をほじる自分に嫌気がさしたので定期投稿を再開します

「最終更新148日前」 なんとなく眺めていたスマホに、そんなあまりに衝撃的な文面が現れ、思わず鼻をほじる指が深層部で止まりました。 「そんなに長くマガジンを更新していなかったのか」と冷や汗が噴き出したんです。シーブリーズのCMくらい汗出たんです。そりゃもうツツーじゃなくてドバドバと。指は鼻腔です。冷や汗が出過ぎて、鼻奥の変なスイッチ押したかと思った。 作るより前に私は熱心に鼻くそをほじっていた え、148日……? いやいやネタが完全に死んだわけじゃない。おかげさまでい

1990年代〜2020年の邦楽バンドの思い出を5つのジャンルで振り返る

以前、邦楽ロックの歴史について1950年から1980年代までまとめてみました。プレスリー旋風から、インディーズ〜渋谷系ブームくらいまでですね。 記事の終わりに、1990年代以降のバンドブームをちょろっと書いたんです。これが非常に多様化していて、もはや「つかみどころがなくてかけない」のが現状なんですね。 インターネットが発達したこともあって、いろんなカルチャーが同時多発的に誕生するわけだ。だからほとんどのメディアでは、渋谷系を終着点として歴史を語るのをやめているんです。

なぜラッパーはやたらと親に感謝するのか|HIPHOP文化から理由を探る

「育ててくれた親にマジ感謝 今日からは巻くのやめるぜガンジャ」。 ………お粗末な韻をぶっ放したところで、さてラッパーという職業の方々はやたらと親に感謝するイメージがあるのは私だけだろうか。 手を合わせながら「サンキューマイマザー」と歌うのは、いつだって平べったいキャップをかぶって、ちょっと髭生やしているヤツだ。 HIPHOPはもともと白人の中流階級のメインストリームに対して、アフリカ系民族が起こしたサブカルチャーだ。そこには若干カウンターカルチャー性もあって、特に「ギャ

"不思議ちゃん女性歌手"の歴史|水森亜土から大森靖子までを追ってみた

戸川純、椎名林檎、大森靖子……「不思議ちゃんの女性歌手」という音楽文化は日本において長らく育ってきた。 アングラめいた表現だが、シーンはメジャー、という不思議な広がりを見せているのがおもしろい。カルト的に売れるんだから、いくらヤバい人でもメジャーでセールスをかける。 80年代にビョーキ、90年代以降から不思議ちゃんと呼ばれるようになるこの系譜は、とにかく周りを寄せ付けないほどキャラクターが強い。なので「熱狂的・盲目的信者」を生み出しやすく、それぞれがビッグ・バン的にカルチ

サブカルとアングラの違いとは|ヤバい世界について本気で考えてみる

「アングラとサブカルの違い」は一般のメインカルチャーで生きている人には理解し難いものがある。「いやいや、どっちも絡みにくいでしょ」とまとめてしまいがちだ。 しかし気をつけてほしい。アングラ畑で"毒"を撒布している人と、サブカル畑で"無駄"を耕している人は違う生き物だ。当人からすると「一緒にしないでくれ」と思っているパターンは結構ある。 アングラの人に「お前、ほんっとにサブカルだな」と安易に声をかけるのはマズい。「ちげぇよ。俺はアングラだよ」と血走った眼で返されるだろう。な

邦楽ロックの歴史|1950年から1990年までを一気にまとめてみた

歪んだギターをジャァーンと鳴らし、しゃがれた声で社会や大衆に向けたメッセージを歌い上げる。なぜか全員革ジャンを着ていて、さっき起きたようなボサボサ頭で「ベイビー!ロケンロー!」と絶叫している……。 酩酊状態の客はバンドと一緒になって拳を突き上げて、地下のライブハウスのボルテージはぐんぐん高まり「なんかマジで日本を変えられそうだ」なんて予感に満ち溢れている……。ロックという音楽には力がある。私たちを突き動かす衝動のようなものがあるんです。 しかし音楽ジャンルとしての「ロック

日本のアイドルの歴史を年表でまとめ|1970年代〜2021年までの流れを徹底解説

日本の音楽を振り返るうえで「女性アイドル」は外せない。日本音楽シーンを席巻してきた「歌謡」とはまた違う。アイドルはアイドルだけのカルチャーを築いてきた。 以前の記事でもさらっと触れたが、私は数年前まで女性アイドル雑誌で書いていた。もともとまったく興味がなかったのだが、メジャーにもインディーにもインタビューをしていくうちに「あ、これはハマるな」と気持ちが分かった。 インタビューの現場はだいたいアイドル、マネージャー、カメラマン、私くらいだ。でも彼女たちはステージ上と同じなの

ナゴムレコードとは|サブカル音楽を構築した伝説の変態たち

1980年代の日本音楽シーンには「インディーズ」という流行りがあった。このスタートなるのは、1970年代の終わりから始まったパンクブームだ。そのインディーバンドの歴史において1980年代後半からムーブメントを起こしたのが音楽レーベルの「ナゴムレコード」である。主催者はケラリーノ・サンドロヴィッチ。たまや人生、筋肉少女帯などを世に輩出したアングラ集団だ。 ナゴムはやばい。前衛、悪趣味、エログロなんでもありのパフォーマンスが特徴。安易に「ナゴム好きなんだよね」なんて言うと「そ、

【2021】インストバンドとは|言葉の意味・代表的な日本のバンド5選など

日本語は、とんでもなくおもしろい。それは「日本語」というものが単なる記号ではなく、微妙なニュアンスを伝える役割を果たすからだ。 例えば日本語の場合は主語→修飾語→術語という順番で文章が成り立つ。しかし英語の場合は主語→術語→修飾語となる。 英語はとにかく要件を円滑に、さっぱりと伝えるのがコミュニケーションの手段。しかし日本語の場合は述語に行き着くまでに、修飾語で微妙なニュアンスを表現するわけである。「私はおにぎりを食べたい」と「私はできればおにぎりを食べたい」では、まった

タモリの魅力を14個のキーワードで読解!若い頃の伝説・名言など

私は博多の出身だ。中学生のとき隣の南区のあたりを車で走っていると「そういえば、タモリは高宮中学校だよ」と母親から言われた。「へぇ」と答えた記憶がある。当時はそれほどまでに興味がなかったのだ。タモリといえば、学校をサボった日に見るいいとも!でなんかボソボソ喋ってるサングラスのおじさんという印象だった。 あれから15年、タモリをここまで好きになろうとは夢想だにしなかった。あやしい雰囲気、飄々とした生き方、物事を好きになる力、私はすべてにおいてタモリに憧れている。「好きなタレント

Yellow Magic Orchestra(YMO)について|日本にテクノポップを輸入した天才たち

細野晴臣・坂本龍一・高橋幸宏。20代の私たちからすれば、この3人はそれぞれに有名人であり「Yellow Magic Orchestra」という、同じグループにいたことが衝撃だ。悟空とドラえもんとコナンが同じ作品に出てる、くらい胸が熱い。 以前、クラフトワークの音楽についてたっぷり解説した。クラフトワークが1970年代に世界にテクノポップムーブメントを巻き起こしたのはこの記事で書いた通りだ。 Yellow Magic Orchestraはこのテクノポップというジャンルを日本