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ジュウ・ショのサブカルアニメマガジン

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アニメについてサブカルチャー的な視点から紹介・解説。 学術書とか解説本みたいに小難しくなく、極めてやさしく、おもしろく、深ーく書きまーす。
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#エッセイ

「うる星やつらが萌えの元祖」といわれる理由を語らせてくれ

「高橋留美子の『うる星やつら』が、萌えの元祖らしい」と聞いたとき、正直ピンとこなかった。「うる星やつら」の発表は1978〜1987年。しかしそれ以前にもいわゆる「萌えキャラ」は生まれている。 例えば日本初の少女マンガ・リボンの騎士は1953年に出ている。主人公のサファイアは両性具有であるがゆえに、かなりツンデレ。しかも女性兵士というコスプレ感も、今の萌えに近い。 セクシー系ドタバタコメディでは、1968年の永井豪「ハレンチ学園」がすでに存在し、PTAのおばさま方をめちゃめ

メンヘラ女がマイメロ好きになる理由|アニメとTweetでマイメロ論の答えを出してみた

「私はマイメロだよ〜☆ 難しいことはよくわかんないしイチゴ食べたいでーす」 Quick Japanの2017年6月号に掲載された宇垣美里のエッセイ「マイメロ論」のパワーフレーズである。すごくいい言葉だ。最高。 そしてこのころから「マイメロ好き=メンヘラ」の法則という新しいステレオタイプが生まれた。つまり「マイメロ好き=宇垣美里=メンヘラ」という数式となる。彼女は辛いときに病まないための処世術を書いたのに、逆に「メンヘラ」という刻印を押されることになったわけだ。変な話である

日本アニメ史を全まとめ|1917年〜2000年までの流れを代表作で振り返る

皆さんはいつからアニメを観はじめただろう。またテレビでどのアニメを観て育っただろうか。こんな質問が当たり前にできるくらい、日本では「アニメ」という文化が育ってきたんですよね。 「今や日本のアニメは世界のものだ」。アメリカ人がワンピースのアニメを観て「オゥ…ノゥノゥノゥ! オォ……オーマイガァ……ッ」と頭を抱える様子を観たりするとそう思います。 もともとディズニーに憧れて生まれた日本のアニメを、今やアメリカ人が夢中になって観ている。すごいことだな、としみじみ嬉しくなっちゃい

ファム・ファタールとは|起源や言葉の意味、キャラクター紹介など

ファム・ファタール……それは美術、マンガ、アニメなどの世界で「男を惑わせる魅惑の女性」を指す言葉だ。本来の意味は「赤い糸で結ばれた運命の女性」となる。 「赤い糸」と書くとロマンチックに聞こえるが、いやいや、そんなに良いものでもない。もっと妖しくてキケンな存在であり、男はいつだってファム・ファタールの虜になって破滅してしまうものだ。 ではファム・ファタールとは具体的にどんな女性を指すのか。そしてなぜ長い間、クリエイターから愛され続けているテーマとなったのだろうか。 今回は

チャージマン研!という日本史上最高に「雑」なサブカルアニメを語らせてくれ

「チャージ!ゴーゴーケン!ゴーゴーケン!その名も〜僕らの〜チャージマーンー♪」という声が聞こえてきたら画面の前に集合だ。最高で最低な10分アニメが始まるぞ。 もう言わずとも分かるだろう……そのアニメとは「チャージマン研!」だ。1974年に制作されたこのアニメは、その圧倒的な質の低さから、2000年代後半からサブカル界隈にて有名になった。 とにかくバンクの使いまわし、そして明らかな尺稼ぎ、鳴らないSE、合わない口の動きなど、とにかく観れば観るほど低クオリティ。その結果、ちょ

アニメ・美少女戦士セーラームーンはここがすごい! 幻の原作や変身シーンなどを解説

「月に代わってお仕置きよ!」 1990年代当時を生きた方はもちろん、現代に至るまであらゆる女の子を魅了してきた決め台詞だ。 「月に代わって」ってヤバいですよね。月の仕事を代行してるわけだ。とんでもないスケール感のお仕置きである。私が敵だったら「まず死は免れない」と悟る。スライディング土下座決めて詫びる。 このセリフで有名な作品はもちろん「美少女戦士セーラームーン」だ。日本国民なら誰もが知っている超名作だろう。 「セーラームーン」は、まさにアニメの歴史を塗り替えた作品と

サブカル界の奇祭・アニメ最萌トーナメントを振り返る【歴代優勝者一覧】

2ちゃんの祭りかつ、メディア学の重要資料なのが「アニメ最萌トーナメント」である。電車男などで2chとヲタク文化が浸透した2000年代においてアニメにどっぷり浸かっていた方々なら、懐かしい祭りなのではないか。 このトーナメントこそ、2000年代のいわゆる萌えアニメ全盛期のアニメカルチャーの盛り上がりを代表するようなイベントだ。 「ま〜た2chの酔狂か」と思われがちだが、実はこの祭りにはサブカル研究の大学教授なども注目している。当時の2chのスレは、今から15年前くらいのサブ

カルチャーとは?メイン・ハイ・サブ・カウンターの4つの意味を事例で紹介

さてさて、私は「サブカルマガジン」と銘打って、マンガ・アニメ・映画・音楽・映画・美術などなどについて日々記事を更新しています。 ただ「そもそもカルチャーってなに?」という前提を書いておかないと、このマガジンがなんのこっちゃ分からない。いやこれホント全力で自省の念が爆発したわけでございます。今年はマジで毎日、記事を更新していく姿勢ですので、ここでバァーンとはじめての方に向けて、カルチャーの概要について大紹介します。 そもそも文化(カルチャー)には4種類あるまず「カルチャー」

ディズニーアニメ・白雪姫は長編アニメの原点であり至高だ

現在、日本国内で作られるアニメの数は332本(2018年現在、日本動画協会調べ)。2000年が109本であり、この20年での増え方はまったく異常だ。「日本といえばアニメ!」みたいな文化が根付き始めたのも、ここ10年だろう。 しかしもちろん世界で最初にアニメを作ったのは日本人ではない。1892年にフランス出身のピエール・レイノーが作った「哀れなピエロ」という約15分の作品だ。最初のアニメ作品のタイトルが「哀れなピエロ」という謎のメッセージ性に笑う。 この作品の作画枚数は50

【自己紹介】私がnoteでやっていること・やらないと決めていること

突然ですが、フォロワーさんからこんなメールが届きました。(送信先は伏せますが、ご本人さまにちゃんと了承をいただいてます〜!) 月に数件ほど、法人だけじゃなくて個人の方からもメールとかTwitterのDMとかをいただけるのですが、正直めちゃんこ嬉しいです。はしゃいでます。勝手に友だちと思ってます。懇切丁寧にお返事させていただきますので、お気軽にどしどしください。 話を戻そう。私「カルチャーを知ると、もっと作品がおもしろくなる」をコンセプトに記事を書いとりますが、そもそも「こ

サブカルチャーとは? 日本と海外の意味の違いを事例で簡単に解説【アニメ・マンガなど】

前回の記事で「カルチャーとは」について「メインカルチャー・サブカルチャー・ハイカルチャー・カウンターカルチャー」に分かれまっせ!」ということを、そこそこちゃんと説明した。 しかし、実はすごく大事なことが抜け落ちているんです。土下寝しつつ白状します。この4つのカルチャーのなかでも「サブカルチャー」に関してはちょっとややこしいのだ。 この部分はそもそも人種的な背景もあるし、日本で使う際は少し違う意味になったりする。ちなみに私のマガジンは「日本でいうサブカル」ですので悪しからず

没後10年、今敏のアニメ作品を映画館で観てきた

今 敏が没後10年とのことで高田馬場の映画館・早稲田松竹にて再上映された。「東京ゴッドファーザーズ」「パプリカ」「パーフェクトブルー」「千年女優」の4作品が上映される。コロナの影響もあって席数は55。チケットの先行販売は無し。10時から現地にて購入可能、ということで朝8時にはもうこんな感じだった。 早稲田松竹を知る方いわく「え、こんな行列見たことないよ」とのこと。死後10年が経っても、いまだに今 敏のカリスマ性に惹かれる人はこんなに多い。比較的、若い方が多い。早稲田や目白の