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ジュウ・ショのサブカルアニメマガジン

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アニメについてサブカルチャー的な視点から紹介・解説。 学術書とか解説本みたいに小難しくなく、極めてやさしく、おもしろく、深ーく書きまーす。
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#映画

「フランダースの犬」でルーベンスのキリスト画が描かれた理由とは

『フランダースの犬』と『火垂るの墓』は、ちょっとマジで発禁にしてほしい。いや子どものころは「なにこれ、かわいそう……」って、そんだけだった。しかし大人になってから観ると、救いがなすぎてバウンスビートくらい動悸がしてオロオロ泣く。18才以上禁止とかにしてほしい。O-18。オーバー18歳だこんな作品は、やめろ。観せるなもう(泣)。 そんなフランダースの犬といえば、やっぱり最終回。主人公のネロと愛犬のパトラッシュが寄り添ってルーベンスの「キリスト昇架」と「キリスト降架」を観て「な

人間がヲタクになり推し活を終えるまでを4ステップで解読してみた

私は主にアート、マンガ、音楽、小説といった分野でライティングをしている。これらの創作物は、広義で「文化(カルチャー)」という枠でくくられる。 ただ、カルチャーは決してエンタメだけに特化した言葉じゃない。カップ焼きそばUFOのパッケージとか、無印良品のオーガニック食材とか、そういうものもひっくるめて文化だ。決して一過性のブームではない。何人かのヲタがソレを推して歴史を作ったもの。それが文化となる。 カルチャーについては以下の記事で紹介していますので、暇すぎてもう飲料の原材料

【ザ・今さら】「えんとつ町のプペル」について思ったことをそのまま書いてみる

ちょっと前に読者の方から、メールで質問をいただきました。いつも読んでくださって、ありがとうございます。しかしメール質問への回答へのメール質問とはおもしろい。 おでこの冷汗を拭いながら震える指で書きますが、私は「えんとつ町のプペル」を観ていません。でも岡田斗司夫さんの動画は見ました。正直いうとけっこう共感して「あー、それそれ」と思った。 要するに彼はプペルを見ない理由について、以下の3点を挙げている。うん。分かるぞ。非常に分かる。 ・感動ポルノだから ・二次創作がない(心

「うる星やつらが萌えの元祖」といわれる理由を語らせてくれ

「高橋留美子の『うる星やつら』が、萌えの元祖らしい」と聞いたとき、正直ピンとこなかった。「うる星やつら」の発表は1978〜1987年。しかしそれ以前にもいわゆる「萌えキャラ」は生まれている。 例えば日本初の少女マンガ・リボンの騎士は1953年に出ている。主人公のサファイアは両性具有であるがゆえに、かなりツンデレ。しかも女性兵士というコスプレ感も、今の萌えに近い。 セクシー系ドタバタコメディでは、1968年の永井豪「ハレンチ学園」がすでに存在し、PTAのおばさま方をめちゃめ

エヴァンゲリオンが流行った理由とは|時代性・革新性・キャラ設定などから徹底分析

「『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』の初日興行収入8億らしいぞ」と聞いたとき、正直「え?」とびっくりした。感動すら覚えた。コロナ下の月曜だったのに……まだこんなに愛されているのがすごいと心底尊敬したわけです。 前作から9年ぶりということもあるが、まだまだ日本でのエヴァ人気は高い。もはやオタクとかサブカルとか、そんな話ではなく、立派なメインストリームだ。アニメ放送が1995年、社会現象化したのが1997年。新劇場版までの間が10年間あったにしても、もう25年くらいずっと愛

日本アニメ史を全まとめ|1917年〜2000年までの流れを代表作で振り返る

皆さんはいつからアニメを観はじめただろう。またテレビでどのアニメを観て育っただろうか。こんな質問が当たり前にできるくらい、日本では「アニメ」という文化が育ってきたんですよね。 「今や日本のアニメは世界のものだ」。アメリカ人がワンピースのアニメを観て「オゥ…ノゥノゥノゥ! オォ……オーマイガァ……ッ」と頭を抱える様子を観たりするとそう思います。 もともとディズニーに憧れて生まれた日本のアニメを、今やアメリカ人が夢中になって観ている。すごいことだな、としみじみ嬉しくなっちゃい

サブカルとアングラの違いとは|ヤバい世界について本気で考えてみる

「アングラとサブカルの違い」は一般のメインカルチャーで生きている人には理解し難いものがある。「いやいや、どっちも絡みにくいでしょ」とまとめてしまいがちだ。 しかし気をつけてほしい。アングラ畑で"毒"を撒布している人と、サブカル畑で"無駄"を耕している人は違う生き物だ。当人からすると「一緒にしないでくれ」と思っているパターンは結構ある。 アングラの人に「お前、ほんっとにサブカルだな」と安易に声をかけるのはマズい。「ちげぇよ。俺はアングラだよ」と血走った眼で返されるだろう。な

今敏について|46年の生涯、パプリカ・パーフェクトブルーなどの作品解説

今敏(こん さとし)の作品は、アニメ史のなかでも明らかに異質なものだ。ジャパニメーションブームが去った後に颯爽と現れて、海外に日本アニメの価値を再認識させたのは、今敏の功績が大きいでしょう。 このメディアでも何度か記事を書いてきました。 そんな今敏の作品には、いまだに熱狂的なファンが多いんです。サブカルオタクのなかで勝手に神格化され、崇め奉られているんですね。「パプリカしか観ていない」けど「今敏はすごい」と言いたくなるサブカル諸君もいるだろう。アレは「NEVER MIND

AKIRAとは|漫画・アニメ映画の両方について「何がすごいのか」を徹底解説

「ジャパン・カルチャー」といえば、今やフジヤマ、サムライ、スモウレスラーよりも先に「アニメ」「マンガ」がくる。 しかしもともとは、アニメもマンガも海外で生まれたメディアである。以下の記事でアニメやマンガの起こりを書いています。 ただ、今やマンガ・アニメといえば日本を代表するカルチャーであり、最近は「日本アニメを楽しむ海外オタク」の動画をYouTubeで観ることも増えた。 では、なぜ日本のアニメ文化がこんなにも海外でヒットしたのか……。その立役者は間違いなく「AKIRA」

ファム・ファタールとは|起源や言葉の意味、キャラクター紹介など

ファム・ファタール……それは美術、マンガ、アニメなどの世界で「男を惑わせる魅惑の女性」を指す言葉だ。本来の意味は「赤い糸で結ばれた運命の女性」となる。 「赤い糸」と書くとロマンチックに聞こえるが、いやいや、そんなに良いものでもない。もっと妖しくてキケンな存在であり、男はいつだってファム・ファタールの虜になって破滅してしまうものだ。 ではファム・ファタールとは具体的にどんな女性を指すのか。そしてなぜ長い間、クリエイターから愛され続けているテーマとなったのだろうか。 今回は

チャージマン研!という日本史上最高に「雑」なサブカルアニメを語らせてくれ

「チャージ!ゴーゴーケン!ゴーゴーケン!その名も〜僕らの〜チャージマーンー♪」という声が聞こえてきたら画面の前に集合だ。最高で最低な10分アニメが始まるぞ。 もう言わずとも分かるだろう……そのアニメとは「チャージマン研!」だ。1974年に制作されたこのアニメは、その圧倒的な質の低さから、2000年代後半からサブカル界隈にて有名になった。 とにかくバンクの使いまわし、そして明らかな尺稼ぎ、鳴らないSE、合わない口の動きなど、とにかく観れば観るほど低クオリティ。その結果、ちょ

アニメ・美少女戦士セーラームーンはここがすごい! 幻の原作や変身シーンなどを解説

「月に代わってお仕置きよ!」 1990年代当時を生きた方はもちろん、現代に至るまであらゆる女の子を魅了してきた決め台詞だ。 「月に代わって」ってヤバいですよね。月の仕事を代行してるわけだ。とんでもないスケール感のお仕置きである。私が敵だったら「まず死は免れない」と悟る。スライディング土下座決めて詫びる。 このセリフで有名な作品はもちろん「美少女戦士セーラームーン」だ。日本国民なら誰もが知っている超名作だろう。 「セーラームーン」は、まさにアニメの歴史を塗り替えた作品と

サブカル界の奇祭・アニメ最萌トーナメントを振り返る【歴代優勝者一覧】

2ちゃんの祭りかつ、メディア学の重要資料なのが「アニメ最萌トーナメント」である。電車男などで2chとヲタク文化が浸透した2000年代においてアニメにどっぷり浸かっていた方々なら、懐かしい祭りなのではないか。 このトーナメントこそ、2000年代のいわゆる萌えアニメ全盛期のアニメカルチャーの盛り上がりを代表するようなイベントだ。 「ま〜た2chの酔狂か」と思われがちだが、実はこの祭りにはサブカル研究の大学教授なども注目している。当時の2chのスレは、今から15年前くらいのサブ

カルチャーとは?メイン・ハイ・サブ・カウンターの4つの意味を事例で紹介

さてさて、私は「サブカルマガジン」と銘打って、マンガ・アニメ・映画・音楽・映画・美術などなどについて日々記事を更新しています。 ただ「そもそもカルチャーってなに?」という前提を書いておかないと、このマガジンがなんのこっちゃ分からない。いやこれホント全力で自省の念が爆発したわけでございます。今年はマジで毎日、記事を更新していく姿勢ですので、ここでバァーンとはじめての方に向けて、カルチャーの概要について大紹介します。 そもそも文化(カルチャー)には4種類あるまず「カルチャー」