002_中医学基礎2

『漢方基礎②』 【漢方は「病名ではなく、人を診る」】

《おいしい食材が漢方生薬に》
漢方薬というと「何か特別なもの」と、そんなイメージを持っていらっしゃる方が多いかもしれません。しかし、本来漢方薬は生活に根付いたとても身近なものなのです。『葛(かっ)根(こん)湯(とう)』など、漢方薬は『湯』とつくものが多いですが、『湯』は元々スープを意味しています。漢方薬に用いられている生薬はなかなか手に入らないものも多いですが、スーパーで手に入るものもたくさんあるんですよ。

例えば「山芋」。漢方では生薬名を「山(さん)薬(やく)」といい、胃腸や肺、腎の働きを高め下痢や頻尿を改善する働きがあるとして乾燥させたものを用います。
「ゆりの根」は生薬名を「百合(びゃくごう)」といい、肺に働き咳を鎮め、不安感や不眠などを改善する働きを持ちます。
紫蘇は「蘇葉(そよう)」といい、気の巡りをよくして胃腸の働きを整えるので、お腹の張りや吐き気などに用います。その他、小豆、ラッキョウなどたくさんの身近な食材も漢方薬として用いられています。

《体質や症状を慎重に見際め》
ただし、漢方薬はしっかりとした中国伝統医学の理論を基に用いられるものです。ただやみくもに使うわけではなく、その人の体質や症状により用いる漢方薬は例え同じ病気でも違うことはよくあります。これを「同病(どうびょう)異治(いち)」といい、反対に全く違う病気でも同じ漢方薬を使うこともあり、これを「異病(いびょう)同治(どうち)」といいます。このように漢方の優れた点は『病名ではなく人を診る』ところにあるのですね。

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